シェネル『アイシテル』『ビリーブ』で〈愛〉のお勉強

音楽

「わたしも初めて見たときに思ったもの。『あ、この人は愛にあふれている人。そして、その愛を他人に分けてあげられる人だ』って」

これは現在制作中の小説『天使の街〜マヨ〜』で、ヒロインのナツミさんが主人公のマヨ先生の印象を語った言葉です。それと同じことを私はシェネル姐さんを初めて見たときに思いました。

「あ、この人は〈愛〉を教えてくれる人だ」

ほかのひとの〈愛〉はつくりごと

「愛」──古今東西、老若男女。「歌謡曲」という世界に絞っても、じつに多くの人が「愛」を歌っています。

でも、ほかの人のそれは言わば戯れ言。ショービジネス。言葉遊び。シェネル姐さんの歌を聴くと、そんなふうに思ってしまいます。

これほど〈愛〉に特化した歌い手がほかにいるでしょうか?

でも、ほんとうの〈愛〉ってなに? ボクは知らない……。

「AISITERU」は特別なコトバ

アルバム『AISITERU』のタイトルナンバーは、原文では「AISITERU」、日本語表記では「アイシテル」、ふつうに書けば「愛してる」。あまりに多くの人が言葉にしすぎて、もはや陳腐な、なんのありがたみもないフレーズかもしれません。

でも、シェネル姐さんの場合はちがいます。なぜなら、日本語のネイティブでない姐さんにとっては特別なコトバだからです。英語の歌詞のなかに、ときどき混ざる日本語のフレーズ。いや、日本語のなかに英語が混ざる?

そんなことはどっちでもいいのです。

その歌声に耳を傾ければ、日本語か英語か、洋楽か邦楽か。そんな区分けはもはやなんの意味もないことに気づかされるはずです。

ぬめりのある歌声が心に沁みる

わたしたちの心に沁みいるような歌声。姐さんの歌唱力の高さをうかがわせるわけですが、単に「歌がうまい」というだけでなく、その声色そのものにも特徴があります。

澄んでいるとか、透明感があるとか。そんなのともちがいます。どちらかというと、ぬめりがある。ネバネバしている。耳から頭に入っていくとき、なにか心地よい肌ざわりがする。

まさに希有な声色の持ち主です。

ビデオのほうを見てみると、これまたゴージャス。貫録たっぷり。そこらへんに転がっている小娘には出せない包容力です。安心感を覚えるし、歌の世界に包まれたいと思ってしまう。だから、ついつい繰り返し観てしまう。また会いたいと思ってしまう……。

はっ! もしかして、これが愛?

ちがうかも。ほんとうの愛ではないかも。

じゃあ、ほんとうの愛ってなに?

これからもシェネル姐さんの歌を聴き、ビデオを観ているうちに、きっとその真実にたどり着ける。そう信じています。

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赤根夕樹

赤根夕樹

ミュージックビデオ評論家(自称)。このサイトでは音楽系のレビューを担当。洋楽・邦楽・アニソンと、さまざまなジャンルの音楽をつまみ食いしている。名前の由来は夜見野レイの小説『天使のしるし』の主人公・赤根夕子から。

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