「世界を革命する力を!」という言葉はこれからの人生のキャッチフレーズだ

人生のヒント

「世界を革命する力を!」。これは、アニメ『少女革命ウテナ』のなかでとくに印象に残るセリフだ。ここには、私たちがこれから人生を歩んでいくにあたり、〈考える〉ための要素エッセンスが含まれている。

「世界を革命する」とは「自分を変える」という意味

少女革命ウテナ』は、1997年に放映されたテレビアニメーション作品。王子様にあこがれ、自分も王子様になりたいと願う主人公・天上てんじょうウテナが、「世界を革命する力」を賭けてライバルたちと決闘する——と、作品の内容を簡単にまとめるとこうなるのだが、かなり無理がある。そもそも「自分も王子様になりたい」という端緒からして意味不明だし、「世界を革命する力」とはなにか? 「世界」といいながら、物語の大半はウテナの通う学園で進行し、それ以外の場所はほとんど登場しない。「革命する力」もなにを意味するのかわからない。「力」を手に入れることでどんなことができるのかも不明だ。

ことほどさように物語の全容を語ることは不可能だが、結論だけいえば、「世界を革命する」とは「自分の認識を変える」ことだと当ブログは理解した。

そもそも私たちが身を置いているところの〈世界〉。それを認識しているのは〈自分〉だ。〈自分〉という存在がなければ、自分にとって〈世界〉は存在しない。〈世界〉とは、あくまで〈自分〉の創り出したもの。したがって、〈自分〉が変われば〈世界〉も変わるというわけだ。

『ウテナ』では、黒幕として「世界の果て」と呼ばれる組織の存在が示唆されている。「世界の果て」は、『ぎゃふん③』において、既成概念とか「思考の壁」を意味する言葉として使っていこうと述べた(84ページ)。〈世界〉が、〈自分〉の〈考える〉ことで成り立っていると見なせば、『ウテナ』の謎めいた物語も解明できるのではないか。

この先、人生の岐路に立ったら「世界を革命する力を!」と頭のなかで叫ぼう。自分の認識が変われば、人生の戦術を練りなおしたり、具体的な行動に移したりできるはず。そうなれば〈世界〉は革命できるのだ。

少女革命ウテナ
企画・原作ビーパパス
原案・監督幾原邦彦
原案・漫画さいとうちほ
シリーズ構成榎戸洋司
キャラクターデザイン長谷川眞也
美術監督小林七郎
キャスト川上とも子・渕崎ゆり子・子安武人・草尾毅・三石琴乃・久川綾・白鳥由里・小杉十郎太・緑川光・川村万梨阿・折笠愛
©ビーパパス・さいとうちほ/小学館・少革委員会・テレビ東京

ぎゃふん工房がつくるZINE『Gyahun(ぎゃふん)』

この記事は、『ぎゃふん⑩ 考えろ』に掲載された内容を再構成したものです。

もし『Gyahun(ぎゃふん)』にご興味をお持ちになりましたら、ぜひオフィシャル・サイトをご覧ください。

ぎゃふん工房(米田政行)

瑞乃書房株式会社 代表取締役。ゲーム・アニメ・映画・音楽など、いろいろ食い散らかしているレビュアー。中学生のころから、作品のレビューに励む。人生で最初につくったのはゲームの評論本。〈夜見野レイ〉〈赤根夕樹〉のペンネームでも活動。収益を目的とせず、趣味の活動を行なう際に〈ぎゃふん工房〉の名前を付けている。

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ぎゃふん工房(米田政行)

〈ぎゃふん工房〉は瑞乃書房株式会社 代表取締役 米田政行のプライベートブランドです。このサイトでは、さまざまなジャンルの作品をレビューしていきます。

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