『荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟』を自称・小説家が読んだ感想

ジョジョ

荒木先生の映画に関する本は『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』に続いて2冊目です。

前作と同様に、映画評論家や映画ライターによる作品論と異なるのは、書き手自身が優れた作り手であるという点です。つまり、作品を観る側ではなく作る側の視点から書かれている。

これは、“自称・小説家”として見逃せないポイントなのです。

よい物語には、サスペンスがある

これは前書きで書かれている一文ですが、この本全体のコンセプトでもあります。そして、この「サスペンス」は映画のジャンルとしてのそれではない。恋愛映画にも「サスペンス」はある。あくまで物語を輝かせるエッセンスとしての「サスペンス」なのです。

「よし! 傑作を書いてやる!」と鼻息を荒くした“自称・小説家”の参考になることはまちがいありませんが、その一方で、もちろん、純粋に作品を鑑賞するだけの立場でも、大いに楽しめます(というより、そっちのほうがメインの読者層です)。

ところどころに入ってくるジョジョの名台詞は、荒木先生ではなく、この本のライターさんが書いたもの──というのが“同業者”として想像がついてしまうので、そこは興ざめと言えなくもないのですが、まあ目くじらを立てるものではなく、肩ひじ張らずに気楽に楽しめる内容になっております。

ぎゃふん工房(米田政行)

瑞乃書房株式会社 代表取締役。ゲーム・アニメ・映画・音楽など、いろいろ食い散らかしているレビュアー。中学生のころから、作品のレビューに励む。人生で最初につくったのはゲームの評論本。〈夜見野レイ〉〈赤根夕樹〉のペンネームでも活動。収益を目的とせず、趣味の活動を行なう際に〈ぎゃふん工房〉の名前を付けている。

関連記事

オススメ記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

CAPTCHA


ぎゃふん工房(米田政行)

〈ぎゃふん工房〉は瑞乃書房株式会社 代表取締役 米田政行のプライベートブランドです。このサイトでは、さまざまなジャンルの作品をレビューしていきます。

好評シリーズ
最近の記事
おすすめ記事
  1. 人生を彩る映画・小説・アニメのきらめきフレーズで癒やされる

  2. 『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』は間違ってないけど正解じゃない

  3. 『呪詛』の“呪いの仕掛け”は虚仮威しだが新たな恐怖を得られる

  1. 哲学者・池田晶子先生から「人生を考えるヒント」をいただく

  2. 『戦慄怪奇ワールド コワすぎ!』は間違ってないけど正解じゃない

  3. 神田神保町〈猫の本棚〉で ぎゃふん工房のZINEを販売!

TOP
CLOSE