華原朋美「夢やぶれて」「I’m proud」のコンボで泣けぃ!

音楽

7年ぶりのシングル。彼女の復帰を永らく待ち望んでいた。いや、待ち望んでいた自分に気がついた。

「夢やぶれて」は、ミュージカル「レ・ミゼラブル」の劇中歌。つまり、彼女自身の歌ではなく借り物だ。

したがって、詞や曲ではなく、彼女という存在そのものが“メッセージ”となる。

ミュージックビデオで歌う姿には、鬼気迫るものがあった。夜叉。鬼。阿修羅──。そんな形容が似つかわしいほど凄みがあった。

歌い方と表情のみで「夢やぶれて」を表現する。

夢は悪夢に
狼の牙が
望み引き裂き 夢喰いちぎり

詞や曲こそ借り物ではあるが、彼女自身の言葉として聴く者の心に届く。

だから。

まるごとを受け止めていられない。そんな度量はない。こちらの心も引き裂かれてしまう。

なぜなら、みずからも「夢やぶれ」た者だから。もう夢も希望も未来もある若者ではないから。

そこで。

「夢やぶれて」は、2曲目の「I’m proud」とセットで聞かなければならない。

声にならなくても想いが時には伝わらなくても
笑顔も泣き顔も全てみんな
かならずあなたに知ってもらうの… I’m proud

 引き裂かれた心は、「I’m proud」で癒される。闇の中に一条の光が差す。

それこそが、この復帰シングル『夢やぶれて -I DREAMED A DREAM-」に秘められた彼女からの“メッセージ”だったのだ。

赤根夕樹

赤根夕樹

ミュージックビデオ評論家(自称)。このサイトでは音楽系のレビューを担当。洋楽・邦楽・アニソンと、さまざまなジャンルの音楽をつまみ食いしている。名前の由来は夜見野レイの小説『天使のしるし』の主人公・赤根夕子から。

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