ホラーマニアが震えた『闇動画』の最恐エピソード15選

闇動画』は、巷にはびこる実話系〈心霊・オカルト〉映像作品の中で、『ほんとにあった!呪いのビデオ』『封印映像』などと肩を並べる傑作シリーズだ。

ひとつひとつのエピソードが丁寧に作りこまれ、時間も長い。ハズレの作品がほとんどないのが魅力だ。

すべてのエピソードが必見といえるが、今回はあえて作品をりわけ、とくにおすすめしたいものを紹介していこう。

見逃すことは許されぬ〈松〉レベルのエピソード

『闇動画』の実力を知りたいなら、まずはこの5本を視聴しよう。自分が本シリーズを楽しめる人間かどうか。それも見極められるはずだ。

いすのおじさん

『闇動画12』いすのおじさん

©2015『闇動画』製作委員会

廃墟を探索していると奇妙な〈いす〉が現れる。

とにもかくにも、〈いす〉の造形が秀逸。ただでさえ不気味な廃墟のなかで、この〈いす〉がさらに気色の悪さを深める。そして、出現のしかた。これも巧みに恐怖感をあおっていく。

映像に映るのは若者のようだが、ほかの作品に見られがちな軽薄さがない。廃墟を歩きまわっている時点で愚かともいえるが、怪異に対して的確に行動しているように見える。

だからこそ、異形に追いつめられる彼らに観る者は感情移入する。自分たちもちゅうに放りこまれたような臨場感を味わう。

設定、構成、カメラワーク。どれをとってもクォリティが高く、確実に恐怖に結びついている。

最後のオチは、蛇足のように一見おもえるが、これがあるからこそ提供映像から得られる恐怖感が引きたつのだ。

(『闇動画12』に収録)

事故物件

『闇動画12』事故物件

©2015『闇動画』製作委員会

テレビの心霊番組のアシスタント・ディレクター(AD)たちが、いわくつきの物件で寝泊まりする。

過去に“何か”があった部屋──。心霊モノでよく扱われるモチーフだが、実際そこで何が起こるのか、決まったセオリーはない。

本作では、大小さまざまな怪異が出現する。その現れかたがじつに的確。じわじわと真綿で首を絞めるようにADの女性ふたりを追いこんでいく。

なによりADたちの反応がよい。はじめは半信半疑だった怪奇現象も、実際に体験することで戦慄の対象となる。その心理の移りかわりを見事に表現している。

玄関に鍵はかかっておらず、逃げ出そうと思えばできる。だが、「仕事」という足かせが彼女らを部屋に閉じこめる。

本作の最大の恐怖は、異形たちのふるまいではなく、「部屋から出られない」という心理状態なのかもしれない。

(『闇動画12』に収録)

ようすけくん

『闇動画10』ようすけくん

©2014『闇動画』製作委員会

精神に異常をきたしているとおぼしき中年の女性。映像の提供者の部屋を何度も訪れる。「ようすけくんいますか?」という問いをしつように繰りかえしながら。

相手は精神障害者であり、まともにコミュニケーションをとれない。それ自体は恐怖ではないが、女性が異界と通じているような雰囲気をかもしているのが不気味だ。

たしかに怪異は起こる。しかし、本作の肝はやはり中年女性のふるまいだ。話が通じないもどかしさによって、特別な焦燥感が観る者に生まれるのだ。

(『闇動画10』に収録)

夜の峠道

『闇動画3』夜の峠道

©2012『闇動画』製作委員会

夜の峠道をドライブしている若者ふたり。車を運転していた男が奇怪な行動に出る。

深夜のドライブは、怪奇現象の起こりやすいシチュエーションといえる。だから、本作もありふれた展開を見せるのではないか。最初はそんな想像をする。

だが、映像の中で起こる怪異は画期的なもの。いや、怪談として耳にしたような展開かもしれない。「なるほど、そういうことか」と理屈で考えて合点もいく。わけのわからない怖さではない。

純粋に映像のインパクト。手持ちのカメラとレコーダーカメラの合わせ技。それが本作を非凡な作品にしている。

(『闇動画3』に収録)

ストーカーの正体

『闇動画2』ストーカーの正体

©2012『闇動画』製作委員会

ストーカーに悩む女性が被害の証拠を記録する。

ストーカーのふるまいには心霊現象とはまた異なる怖さがある。そんな異様な相手への恐怖が、本作のホラーとしてのエッセンスになっている──と、最初はそう誤解する。

しかし、本作は意表を突いた展開を見せていく。「なるほど、そうきたか」と思わず膝を打つ。

恐怖の度合いは心霊現象には劣るかもしれない。しかし、底冷えのする感覚はホラー好きにとって格別なものだ。

(『闇動画2』に収録)

さらに背筋が寒くなる〈竹〉レベルのエピソード

『闇動画』の傑作は、もちろん上の5本だけではない。ちょっと怖い夜を過ごしたいとき、次の5本を観てはいかがだろう?

箱呪

『闇動画3』箱呪

©2012『闇動画』製作委員会

廃墟のホテルでコックリさんを試みる。

廃墟で怪異が起こるのは『闇動画』の定番だ。本作は〈廃虚〉+〈コックリさん〉の合体技。いいとこどりで“あざとい”ともいえる。

廃虚そのものが不気味だが、さらにその中に“開かずの間”がある。けんのんな仕掛けが十重とえ二十重はたえに仕込まれ、ご丁寧に〈コックリさん〉までおまけにつく。下手な作品なら、雑然かつ散漫な仕上がりになりかねない。そこを本作は注意深く繊細にまとめあげている。

誰が見ても〈蛇足〉としか思えぬ雑な“仕事”も含まれてはいる。けれど、それがちょっとしたアクセントになっている。つまり、わざと手ぬかりを見せているのだと思う。

(『闇動画3』に収録)

窓の人影

『闇動画13』窓の人影

©2015『闇動画』製作委員会

廃虚と化したリゾート施設に映像が残されていた。

またしても〈廃虚〉だ。じつは異変が起こる時間より、なにも起こらず廃虚をさまよっている時間のほうが圧倒的に長い。しかし、観る者が緊張するのは、むしろなにも起こらない部分を観ているときなのだ。

しっかりホラーなムードを作ってから、一気に怪現象をたたみかける。効果はバツグンだ。

本作の肝となる現象もあまり類似の例がなく、映像に映る“被害者”の反応も効果的。ホラーの手練れが制作に関わっていることをうかがわせる一編だ。

(『闇動画13』に収録)

告白

『闇動画9』告白

©2014『闇動画』製作委員会

大学生がいたずらで「告白」する。その様子を楽しむために隠し撮りする。

“悪ふざけ”をしている映像だから、あまり愉快な内容ではない。ある種の不快感と、騙される者への憐れみ、もしくは感情移入。観る者の心の中でいつの間にか“ホラームード”が醸成されたところに突然、異界のモノが現れる。

ビックリ系の一種だが、そこに至るまでの段取りが巧みだ。

そのあとも、映像にはなんとも不可解な現象が記録される。かなり陰惨な顛末を観る者に想像させながら、はっきりとは見せない、語らない。

ホラーの基本をおさえて効果を上げた好例といえる。

(『闇動画9』に収録)

振り込め詐欺

『闇動画9』振り込め詐欺

©2014『闇動画』製作委員会

振り込め詐欺グループに潜入取材を行なう。

詐欺に加担するフリをして犯人たちをあざむく。いつ正体がバレるのか、バレないとしても穏便にコトが運ぶのか。怪現象が起こらなくても緊張感がある。

犯人のひとりが詐欺の標的となる家を訪れる。そこで怪異が発生する。その内容は、観る者の想像の一歩先を行っている。

おびただしい“残留物”が家中にあふれ、「なに」が起こったかはわかる。だが、「なぜ」なのかはわからない。得体の知れないモノに対する恐怖。これが本作のエッセンスとなっている。

(『闇動画9』に収録)

帰り道などない

『闇動画8』帰り道などない

©2013『闇動画』製作委員会

集団自殺の様子を隠し撮りした映像。

ただの集団自殺でないことは目星がつく。では、なにが起こるのかといえば、予想はできない。

自殺の現場だから、そこが死と隣りあわせの空間であることはたしかだ。撮影者に自殺の意思はなくても、うまく立ちまわらなければ命が危ない。そんな死への恐怖がホラーな雰囲気を盛りあげる。

終盤、この集団自殺の真相があきらかになる。それはじつに興味深いシロモノ。荒唐無稽のようでいて、しかし絶対にあり得ないとも断言できない不気味さがある。それだけリアリティを持たせた秀作といえる。

(『闇動画8』に収録)

怖い気分をもう一段上げる〈梅〉レベルのエピソード

ここに挙げる5作は、かならずしも上の〈松〉や〈竹〉に劣るわけではない。人によっては〈松〉レベルに推したいものもあろう。そんな佳作を紹介。

霊をつかまえる

『闇動画15』霊をつかまえる

©2016『闇動画』製作委員会

かつて女性が監禁されていたという噂のある廃墟を訪ねる。

本作は登場人物の設定が面白い。なにせ「霊をつかまえる」というのが廃墟を探索する目的なのだから。

『闇動画』でおなじみの廃墟モノだが、キャラクターの設定が凝っているために、目新しさを感じさせる。

小道具や飾りつけにも工夫がほどこされ、抜群の効果を上げている。唐突に結末を迎える構成も見事。

(『闇動画15』に収録)

死の円環

『闇動画』死の円環

©2016『闇動画』製作委員会

幽霊が出るという噂の廃校を探索する。

ホラー好きなら、舞台となる学校に見覚えがあるかもしれない。そこで起こる怪異にも既視感があり、登場人物の名字を見て、「あっ、これはあの作品のオマージュか!?」と気づくだろう。

元の作品を知っているかどうかに関わらず、練りこまれた構成には舌を巻くはず。「廃墟の探索」という『闇動画』でおなじみのパターンでありながら、トリッキーな展開で楽しませてくれる。

ただ、怖さという点では、ほかのエピソードに劣るのが惜しいところ。単純な恐怖の表現に重きを置いていないのかもしれないが、もっと観る者が怖がれる余地はあったようにも思う。

(『闇動画14』に収録)

栄光の手

『闇動画』栄光の手

©2012『闇動画』製作委員会

怪しげな新興宗教団体のメンバーが、とある儀式を行なう。

『闇動画』に何作かある“グロ系”のひとつ。ここまであからさまだと、かえって現実感がない。ただ、それは制作者の意図するところのように思う。

ラストで、さらに荒唐無稽な現象が起こる。アニメやファンタジー映画などでは目にした光景だが、“実話系”の作品ではやりすぎともいえる。しかしながら、序盤から嘘っぽさが漂っていたので、むしろ違和感はない。

「どうせ作り物だ」と我に返ってしまえば、冷める。でも、うまく作品世界に入りこめば、どうしてどうして、よくできた作品だと思えるはずだ。

(『闇動画4』に収録)

黒い人

『闇動画12』黒い人

©2015『闇動画』製作委員会

交通事故で心の病を患った男性が治療の一環として撮影をする。

なかなかの異色作。男性が事故現場で体験したことを語る。それが事実なのか、それとも幻覚なのかはわからない。男性の内面に巣食う“闇”のようなものが、最初は言葉で語られ、最後は目に見える形で現れる(まさに「動画」というわけだ)。

“それ”は霊と呼ぶべきなのか? 死んだ人間の魂だというなら、おなじみの結論だから腑に落ちる。だが、正体が得体の知れないのは、不安でしょうがない。そこに本作の不気味さがある。

(『闇動画12』に収録)

消失点

『闇動画9』消失点

©2014『闇動画』製作委員会

街の一角に、歩いている人がこつぜんと消えてしまう場所がある。

ペットボトルなどモノをそこに投げても消える。映像そのものは、初歩的な編集技術で実現できるシロモノだから、あまりインパクトはない。問題の場所も何の変哲もない住宅街だ。

本作がいったいどこに着地するのか、途中までまったく予想できない。できないが、誰もが心の奥底で“期待”していた展開にはなる。そして、“着地点”も興味深いものになっている。

何より撮影者の安否が気にかかる。観る者にそんな想いを抱かせるところが、本作がホラーたるゆえんだ。

(『闇動画9』に収録)

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各巻のエピソード簡単レビュー

ここからは、各巻におさめられたエピソードをあらためて見ていこう。上で〈松〉レベルとしたエピソードには★★★★★、〈竹〉レベルは★★★★、〈梅〉は★★★を付した。

ここでは、上で取り上げていないものを中心にレビューし、★印0〜2個で評価している。

ところで、『闇動画』には、エピソードとエピソードをつなぐように、2〜3分ていどの短編も収録されている。これらは、画面の端に“何か”がチラリと映りこんだとか、ちょっと不可解なことが起こったとか、一発ネタの映像になっている。本題のエピソードが始まる前の箸休め、アクセントとして入れてあるもので、本題と優劣を比較するのは適切ではない。

とはいえ、この短編にも興味深い作品がちらほら見受けられる。そこで、短編もレビューの対象とし、これらの評価は☆印の数で表わしてみた。

『闇動画』

  • 晩夏の夜に招く者 ★★
  • 通りすがりの女 ★★
  • 墓参り代行 ★★
  • 五目ならべ
  • 復讐 ★

晩夏の夜に招く者」は、記念すべき第1作目。卒なくまとまっているとは思うが、あらためて振りかえると地味な印象を受けてしまう。

通りすがりの女」は、奇妙な女が映りこむ。ありがちなパターンと思わせながらも、少しひねりを加えている。ほどよい怖さが好感触だ。

墓参り代行」は、なかなか面白い発想。設定に野暮ったさを残しつつも、観る者を楽しませようという気概を感じる。〈蛇足〉のようなネタも含まれているが、よいスパイスになっていると評価できる。

五目ならべ」は短編で、テレビの心霊映像番組のような小粒の作品。

復讐」は、『闇動画』にたまにある“グロ系”の一編。映像そのものは(ホラーマニアなら)どうということはないが、設定や展開は残虐だ。“グロ系”だから評価を下げるわけではなく、もうひとひねり欲しかった気がする。

『闇動画2』

  • デジャヴ ★★
  • 温泉旅館
  • ストーカーの正体 ★★★★★
  • ある一家
  • 思い出の校舎 ★★

デジャブ」のモチーフとなるのは、タイトルの「デジャヴ」だが、その部分は大したことはない。また、前半の展開は冗長な印象を受ける。本作は、終盤のとうの展開。これに尽きる。構成、カメラワーク、編集のリズム。どれも的確に観る者の恐怖心をかきたてる。この終盤の展開が前半の欠点を補っている。

温泉旅館」と「ある一家」は、箸休めの短編で、テレビの心霊映像番組レベル。可もなく不可もなくといった印象。

思い出の校舎」は、夜の、半ば廃虚と化した学校が舞台。怪現象の起こるシチュエーションとしてはありふれているが、『闇動画』の十八番おはことする設定でもある。怪現象に派手さはないものの、「もしかすると実際にあり得るかも」と思わせる“もっともらしさ”がある。ちょっとしたことだけれども、その場に居合わせたら背筋が凍る。そんな想像ができてしまう。幽霊よりも、人が生前に持っていた負の感情のほうが怖い。そこも本作のポイントになる。

『闇動画3』

  • 夜の峠道 ★★★★★
  • 赤い影 ☆☆☆
  • グラビア動画 ★
  • 地底の怪
  • 箱呪 ★★★★

赤い影」は短編。ジャパニーズホラーにありがちな映像ではあるものの、短いがゆえに、有無を言わさぬすごみがある。

グラビア動画」の“なにかが起こりそうな雰囲気”は買うが、恐怖の密度がやや薄い。もちろん、駄作ではないので、★を1つ付けた。

地底の怪」は短編。怪異は地味め。

『闇動画4』

  • 合い鍵 ★★
  • 顔面陥没 ☆☆
  • 同棲の相手 前編 ★★
  • 栄光の手 ★★★
  • 同棲の相手 後編 ★★

合い鍵」は、構成・映像ともに悪くない。〈竹〉レベルに入れても良いくらいの秀作。

顔面陥没」は、一発ネタの短編。「奇妙なモノが映った」系だが、モノが意味不明であり、そこに不気味さが漂う。

同棲の相手 前・後編」は、構成も映像も手が込んでおり、なかなかの力作。前後編にわたる長編だが、もう少し刈りこんで短くできた気はする。

『闇動画5』

  • イタズラ電話 ★★
  • 迎える女
  • デリヘルの客 ★★
  • 漁港の眼 ☆
  • 奇妙なキャンプ場 ★★

イタズラ電話」は、やや冗長な印象はあるものの、それなりに不気味さを漂わせる良作。

迎える女」は短編で、テレビ番組レベル。

デリヘルの客」は、怪異の背景にあるものが珍しい。心霊現象とはまた異なる怖さがある。

短編の「漁港の眼」は、かなりの異色作。なぜこんなことを思いついたのか、そもそも映像が何を意味しているのか理解不能だ。ただ、独特の味わいがあり、当ブログは評価する。

奇妙なキャンプ場」で起こる異変は奇抜なものではないが、立てつづけに発生するため、気が抜けない。登場する異形の造形もよくできている。

『闇動画6』

  • 死は誰も経験したことがない ★★
  • 通行者 
  • 場を乱す者 ★★
  • 老少女 ☆
  • 呪縛地帯 ★★

死は誰も経験したことがない」は、首つり自殺が頻発する現場を撮影するという内容で、全編に緊張感がある。映像は面白いが、インタビューで語られる後日談がやや稚拙で、興を削いでいる観がある。

通行者」は短編。それなりの出来栄え。

場を乱す者」は、スピリチャルのセミナー会場が舞台。全編に剣呑な雰囲気が充満している。肝となるのはクライマックスの惨劇だが、作品中にまったく語られない怪異の原因や背景のほうが気になる。

短編の「老少女」はよくあるパターンだが、異形のモノの造形は不気味。

呪縛地帯」は、心霊スポットで霊を呼び出そうとする話。細かいネタを丁寧に積みあげていく。クライマックスへの期待と恐怖がいたずらに高まってしまい、いざ現れたモノに対する驚きが薄まってしまったのが惜しい。

『闇動画7』

  • 不在の視線、非在の視線 ★★
  • 赤い乗客 ☆
  • 超越と俗悪の関係 ★
  • 盗視者 ☆
  • 魔の領域 ★

不在の視線、非在の視線」の映像はなかなかの恐怖感。映像が撮られた経緯がわからないところもよい。

短編の「赤い乗客」に映る“乗客”は、まずまずの造形。それだけでは評価しないのだが、付け足しがうまく効いている。

超越と俗悪の関係」は万引き犯を捕まえる実録モノのテレビ番組。意外な展開を見せるが、これも付け足しの映像が秀逸。

盗視者」は、ズバリ『闇動画5』の「漁港の眼」と同じネタ。やはり意味不明だが、いちおうナレーションで「意味」は説明してくれる。

魔の領域」は、心霊スポットの古い神社で、さまざまな怪現象が起こる。力作で十分楽しめる一編だが、やや散漫な印象も受ける。

『闇動画8』

おつかれさま」は、観る者を怖がらせよう(楽しませよう)という気概は伝わってくるが、ほかの作品と比べると構成に詰めの甘さを感じてしまう。

爆光」は短編で、何が起こったのかわからないところがよい。

短編の「牢獄」はテレビの心霊映像、しかも30年くらい前のテイスト。

邪教」は、『闇動画』が得意とする廃虚探索モノ。新鮮味がないともばんじゃくともいえる。つまり、核となるネタや小道具が差しかわっているだけなのだが、本作はなかなかの恐怖を味わえる。

『闇動画9』

箸休めの短編「叫び」は、意外に面白い趣向。

もうひとつの短編「古戦場」は凡庸な印象を受けるが、長編の3作が良すぎるせいかもしれない。

『闇動画10』

  • 浮気の現場 ★
  • 黒い手 ☆
  • 腐臭 ★★
  • 観光船
  • ようすけくん ★★★★★

浮気の現場」は、作り手の意図は理解できるものの、それが恐怖につながっていないのが惜しい。

黒い手」は『7』に収録されている「非在の視線と不在の視線」の続編だが、短編として扱われている。やや白々さが漂うも、それなりに恐怖感は味わえる。

腐臭」は、全体的な恐怖度はほかの作品に劣るが、ここぞというところでは怖がらせてくれる。

短編の「観光船」は、テレビ番組レベルだが、だからこそ良いアクセントになっているともいえる。

『闇動画11』

  • 片思い ★★
  • 大道芸
  • 当てつけ ★
  • 古民家
  • 盗撮の顛末 ★★

片思い」は、設定は興味深いのだが、やや理屈めいていて、それが興を削いでいる。

橋渡しの短編「大道芸」は、特筆すべきことはない。

当てつけ」は、シリーズとしては異色作。怪奇現象が起こるわけではなく、不快な映像が延々と続く。駄作ではないが、積極的に評価するほど衝撃もないのは残念。

短編「古民家」に映る異界のモノは、珍しい造形ではあるが、いまいちインパクトに欠ける。

盗撮の顛末」は、デルヘリを盗撮するというシチュエーション。客や女性、店長の言動が楽しい。そこで起こる怪現象はそれほど怖いものではないにしても、全体的に面白い映像に仕上がっている。

『闇動画12』

この巻から、たわむれの短編はなくなり、本題を単刀直入にぶつける構成となる。とくにこの『12』に収録されたエピソードはいずれもクォリティが高い。

『闇動画13』

  • 神社の怪 ★
  • 出会い系の女 ★
  • 窓の人影 ★★★★

神社の怪」は悪くはないが、シリーズ13巻目に収録された作品にしては、やや密度が薄い観がある。肝となるシーンは評価したいが。

出会い系の女」も悪い出来ではないし洗練されてもきているが、もう少しネタを仕込んでもよかった気がする。

『闇動画14』

  • 義母の家 ★★
  • 友人の結婚 ★★
  • 死の円環 ★★★

義母の家」で映し出されるのは、オーソドックスな怪奇現象ながら、じっくり丹念に作りこまれているため完成度が高い。〈梅〉や〈竹〉レベルの作品として扱うこともできると思う。

友人の結婚」は、心霊の怖さではなく、生きた人間の負の情念に触れなければならない不快感。それがホラーの要素となっている。その意味で意欲作であり異色作。ただ、異色ぶりは楽しめるが、ラストの展開は予想からあまりはずれないので、もうひとひねり欲しかった──というのはぜいたくか。

『闇動画15』

復讐代行」は、いわば一発ネタ。誰もやろうとしないことをあえてやった(やってしまった)といったところ。もっと工夫の余地はありそうだが、制作姿勢は買いたい。

友人の行方」は、一部“グロ”が含まれる。設定はよくできているし、怪異もうまく表現されている。十分に及第点をあげられる一編。やや理屈めいているところがマイナスに働いていて、そこが惜しい。

『闇動画16』(レビュー準備中)

『闇動画』の欠点に対する要望

冒頭で述べたように、本シリーズはどのエピソードも完成度が高い。箸にも棒にもかからない作品は稀だ。だから、「欠点」といっても致命的なものではない。改善すればもっとレベルアップした作品に仕上がるのでは? そんな、いち視聴者からのささやかな要望を綴ってみたい。

舞台がワンパターン

『闇動画』でありがちなのが「廃墟を探索する」パターン。これがじつに目立つ。

もちろん、そのせいで面白くないというわけじゃない。むしろ手堅い作りになり、失敗が少ない。だから、文句をつける筋合いではない。それは先刻承知。

でも、もっといろいろな怪異のバリエーションが見たい。あえて危ない橋を制作者には渡ってほしい。制作者の実力を高く買うからこそ、そんなわがままを言わせてほしいのだ。

遊び心がない

本シリーズの制作者は、真面目に作品作りに取り組んでいる。そんな印象を受ける。もちろん非難すべきことではないが、“生真面目すぎる”嫌いもある。映像が綿密に作りこまれているので息がつまる。それがホラーのエッセンスになっているのは十分わかっているが、もう少しだけ緩急が欲しいとも思う。

上で紹介している「短編」が、あるいは〈緩〉の部分を担っているのかもしれない。だとしたら、「短編」は思いきってギャグに走ってもいいのかもしれない。

ヒロインが不在

ほかの実話系〈心霊・オカルト〉映像シリーズには、個性的なスタッフが登場する。これが、ときに観る者の肩の力を抜かせ、ときに体をこわばらせる役割を果たしている。

『闇動画』はスタッフが現地に赴くなどの取材はしないので、スタッフのキャラを立たせるのは難しいかもしれない(対照的に、提供映像にはしばしばユニークな人物が登場する)。

ただ、ほかの作品シリーズで魅力的な要素として含まれているものが、本シリーズには入っていないとなると、じつにもったいない気がする。

ヒロイン(のような存在)が登場することで、恐怖を和らげてしまっては本末転倒。だが、うまくさばけば、作品にぐっと深みが出るはずだ。

『トネガワ』『中間管理録トネガワ』の圧倒的レビューっ……!

『かーそる』電子雑誌『かーそる』とは良い名前をつけたもんだ

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コメント

    • 匿名
    • 2016年 12月 14日

    こんなつまんねぇブログやめちまえバーカ

    • なかなかの「闇」をお持ちなようで。

      • 通りすがり
      • 2017年 1月 21日

      面白かったよ。
      興味のある記事しか読んでないけど。
      匿名じゃないと言えないのだろうけどさ。

    • 匿名
    • 2017年 2月 24日

    死の円環ゲームで調べたらここにたどり着きました。

    死の円環のオマージュって何ですか?
    もしまだ見たことの無い作品だったら見てみたいので、よかったら作品名教えてください。

    • 匿名
    • 2017年 6月 04日

    このシリーズは児玉さんが監修降りてから急激にクオリティが下がった。15巻とか、もはや笑わせにきてるとしか思えない。そういう路線に入ったのかと。
    おまけに刊行ペースも減少(今年は次の16巻1本だけ?)。

    個人的には「邪教」が最恐。「店長も消えたんすか?」の1巻「墓参り代行」も中々。

    • たしかに以前はホンモノ志向だったのに、最近は作り物っぽさがありますね。それでもおもしろければ評価するんですが、そこは意見が分かれるかもしれないですね。

      リリースのペースも寂しいですね。

      「邪教」「墓参り代行」は、作り込みながらもホンモノらしさがあるので、良作だと思います。

      このたびはコメントありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。

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