『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の謎を徹底的に解明する[準備編 その3]インフィニティとインパクト

〈インフィニティ〉の正体と6つの〈インパクト〉の真相に迫る。

モノゴトは別の角度から眺めると、新しい光景が見えてくることがある。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズもまた例外ではない。

『新劇場版』をこれまでとは別の視点からとらえなおすとなにがわかるか? 今回は“虫メガネ”を片手に、あらためて『エヴァ』の物語を眺めてみよう。

この“虫メガネ”は、これまで考察の対象にはしていなかった〈コア化〉や〈インフィニティ〉に焦点をあてる。

また、下の6つの〈インパクト〉にも“虫メガネ”をかざしてみる。

  1. ファーストインパクト
  2. セカンドインパクト
  3. ニアサードインパクト
  4. サードインパクト
  5. フォースインパクト
  6. ファイナルインパクト(フィフスインパクト)

先日、シン・エヴァンゲリオン劇場版 AVANT 1(冒頭10分40秒00コマ) 0706版』と題して、本編の一部が公開された。「特報2」でも断片的に本編の映像を見られるようになった。

それらの映像からは多くの情報が得られたが、あくまで本編の一部でしかなく全貌はあきらかになっていない。これまでどおり、〈想像力イマジネーション〉と〈ひらめきインスピレーション〉を最大限働かせて謎解きにチャレンジしていこう。しばし当ブログの考察におつきあいいただければ幸いだ。

今回も過去の考察を前提としている。まだお読みでない方はまずはそちらからご覧ください。

 icon-arrow-circle-down 下の図は、当ブログの謎解きの核心。『シン・エヴァ』は虚構世界からの突破を試みる物語になると予想する。過去の考察でメタフィクションをあつかった作品について述べているが、どれも傑作。『シン・エヴァ』もそのひとつになることを願っている。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の虚構の構造(改)

当ブログは、作品のレビューにあたっては〈ネタバレ〉なしを心がけていますが、〈謎解き〉という記事の趣旨上、壮大な〈ネタバレ〉が含まれます。あらかじめご了承ください。

〈インパクト〉とはひたすら〈インフィニティ〉を創造すること

今回はなぜ6つもの〈インパクト〉について考察するのか。それは『エヴァ』の物語がとどのつまり「〈インパクト〉を起こす話」だからだ。

『序』『破』は〈サードインパクト〉を起こすお話だし、『Q』では〈フォースインパクト〉のてんまつが描かれている。『シン・エヴァ』では〈ファイナルインパクト(フィフスインパクト)〉が物語の中心になるだろう。ようするに『エヴァ』=〈インパクト〉なのだ。

また、〈インパクト〉の主たる当事者プレイヤーは碇ゲンドウと〈ゼーレ〉だけなので、物語を単純化できる。これも〈インパクト〉に着目するメリットだ。『序』『破』では、碇シンジや葛城ミサトたちはゲンドウの命令にしたがって行動しているだけ。『Q』のシンジは引きつづきゲンドウに利用されていたし、ミサトはゲンドウに反抗していたものの、〈インパクト〉の当事者ではない。

〈インパクト〉に焦点をあてれば、ミサトやシンジの言動は枝葉の部分として切り捨てることが可能なのだ。

〈インパクト〉は〈ゼーレ〉の“やり直し”のプロセス

では、そもそも〈インパクト〉とはなんだろうか。過去の考察では次のように説明してきた。

〈インパクト〉とは〈虚構〉から〈現実〉に行くために〈ガフの扉〉を開くプロセス

〈インパクト〉が起こると出現する〈ガフの扉〉は、上図の〈虚構A〉と〈虚構B〉をつなげる、まさに“扉”。そんな想像ができる。

ただし、この説明だけでは不十分であることに気がついた。ゲンドウの視点からしか語っていないのだ。それは『エヴァ』の物語がゲンドウの側から描かれている(〈ゼーレ〉の側からではない)のだから、むしろ当然といえる。

しかしながら、〈インパクト〉の本質を正確にとらえるには、〈ゼーレ〉の視点から考えることも必要だろう。

では、〈ゼーレ〉にとって〈インパクト〉とはなんなのか?

それを探るために参考になるのが、劇中の以下の発言だ。

まず、〈サードインパクト〉が発生したとき、赤木リツコが次のように語っている。

そう
セカンドインパクトの続き…
サードインパクトが始まる

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
©カラー

さらに、〈フォースインパクト〉の際には、式波=アスカ=ラングレーが次のようなコトバを口にする。

サードインパクトの続きが
始まる前に——
こいつを片づける!

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
©カラー

これらのセリフにある「続き」という表現から連想できるのは、〈インパクト〉はそれぞれ独立したものではなく、前の〈インパクト〉のつづき、もしくはやり直しである、という真実だ。

なぜ、やり直したのか? いずれの〈インパクト〉においても、本来の目的が達成されていないからだ。では、「本来の目的」とはなんだろうか?

過去の考察で、〈ゼーレ〉の目的は次のようなものであることが判明している。

人類補完計画 = 〈インフィニティ〉の創造

以上の考察をつなぎあわせると、次のような結論が導き出される。

〈ゼーレ〉は、〈インフィニティ〉を創造するために〈インパクト〉を起こしているが、失敗して中断したために、何度もくりかえしている

『Q』の中盤、シンジと渚カヲルはピアノの連弾に励む。そのときカヲルは次のように言う。

反復練習さ
同じ事を何度も繰り返す
自分が“いいな”って
感じられるまでね

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
©カラー

『エヴァ』の物語において、〈ゼーレ〉は〈インパクト〉を「“いいな”って感じられるまで」「反復練習」しているわけだ。

ちなみに、過去の考察では、

〈ゼーレ〉はゲンドウが〈インパクト〉を起こすのを望んでいない

と述べているが、これはゲンドウの起こす〈インパクト〉が〈ゼーレ〉の目的にかなっていないからだ。〈ゼーレ〉にとっても、〈インパクト〉を起こすことは重要なプロセスであると考えられる。

だからこそ、〈ゼーレ〉にとっての〈インパクト〉の意義を考察することは、『エヴァ』の物語を解明することにつながるわけだ。

〈人類補完計画〉は〈自分〉と〈世界〉の禁じられた融合

〈ゼーレ〉の目的である〈人類補完計画〉。過去の考察でも紹介したように、これについてもっともくわしく語っているのはカヲルだ。

しかし、『エヴァ』の読解においてきわめて重要なセリフでありながら、その内容には矛盾がある、と述べた。くりかえしになるが、再度説明しておこう。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』

生命とは本来 世界に合わせて
自らを変えていく存在だからね
しかし リリンは自らではなく
世界のほうを変えていく
だから 自らを人工的に
進化させるための儀式を起こした
いにしえの生命体をニエとし
生命の実を与えた新たな生命体を
作り出すためにね
全てが太古より
プログラムされていた絶滅行動だ
ネルフでは
“人類補完計画”と呼んでいたよ

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
©カラー

カヲルは「リリンは〈自分〉を変えた」と言いながら、一方で「〈世界〉も変えた」と語っている(ように思える)。その点が矛盾している。それに対し、「自分を変えること」と「世界を変えること」は同時に起こるか、あるいは一方がもう一方の前提条件になっている、と考えれば矛盾が解消できるとも述べた。

今回、この問題を解決できる別の論理ロジックを発見した。むしろそちらのほうが真実に近いと思われる。

次のような論理だ。

そもそもカヲルの発言に矛盾を感じるのは、〈自分〉と〈世界〉の二者択一と考えているからだ。〈自分〉と〈世界〉のどちらなのだ? 

じつは、「〈自分〉を変えること」と「〈世界〉を変えること」はまったくおなじ現象を指しているのではないか。〈自分〉と〈世界〉を区別する必要はない。もっといえば、

〈自分〉と〈世界〉の禁じられた融合

これが〈人類補完計画〉の終着点なのだ。

旧劇場版の〈人類補完計画〉は「〈自分〉と〈他人〉の区別をなくし、みんなをひとつにしてしまいましょう」というものだった。そこから類推すると、『新劇場版』の〈人類補完計画〉は、〈自分〉と〈他人〉はもちろん、〈自分〉と〈世界〉もいっしょにしてしまう。そんな計画なのではなかろうか。

仏教などの宗教では、〈自分〉と〈世界〉を同一化することが究極の目的となっていたりする。「悟りを開く」「成仏する」とは、〈自分〉と〈世界〉が一体化すること。〈ゼーレ〉もそんな“宗教”を信仰しているのかもしれない。

「一体化」といっても、仏教のそれは精神的なものであって、物理的・肉体的にいっしょになるわけではなかろう。だが、『エヴァ』の世界では、文字どおり「一体化」してしまうわけだ。

ただし、過去の考察でも述べたように、あくまで〈ゼーレ〉は人類リリンに活動してもらうために、高尚な思想であるかのように装っているだけ。その点は注意したい。〈自分〉と〈世界〉が一体化するのは、あくまで人類であって〈ゼーレ〉たち自身ではない。

これまでの考察を整理してみよう。

〈ゼーレ〉は、〈インパクト〉を起こして人類リリンに〈自分と世界の禁じられた融合〉をさせようとしているが、いずれも失敗して中断している

と考えられる。

そうなると、必然的に次のような疑問が生まれる。

人類が〈自分と世界の禁じられた融合〉を果たすとどうなるのか?

この点を考察するヒントは劇中に示されている。〈自分と世界の禁じられた融合〉の途中経過が描かれているのだ。どこに? これはすぐにおわかりかと思う。そう。〈インパクト〉の跡地だ。

〈コア化〉こそが〈自分と世界の禁じられた融合〉である

〈インパクト〉の跡地の様子が劇中でもっともくわしく描写されているのは、『Q』における〈サードインパクト〉のそれだろう。確認してみよう。

 icon-arrow-circle-down 大地は裂け、あちこちが赤く染まり、見慣れたはずの街は様相が一変している。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
©カラー

 icon-arrow-circle-down エヴァのような巨人と街が一体化しているようにも思える。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
©カラー

これらが〈サードインパクト〉の結果であることは、カヲルが説明している。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』

君が初号機と
同化している間に起こった——
サードインパクトの結果だよ

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
©カラー

先に述べたように、〈サードインパクト〉が究極の目的を果たせずに中断した状態であるならば、この光景は〈自分と世界の禁じられた融合〉が果たせず中断した状態と考えることができる。逆にいえば、〈自分と世界の禁じられた融合〉があるていど進んだ状態だ。

そこは、人類はもちろん、あらゆる生物が生存できる環境ではないのだろう。

もしも〈自分と世界の禁じられた融合〉が失敗せず完了していたとしたら、どんな状態になっていたのか? これは想像するしかないが、街や巨人の融合はさらに進み、原形を留めないほど“別のなにか”になっていたはずだ。

さて、ここに興味深い資料がある。『Q』の画コンテだ。カヲルがシンジに変わり果てた街の様子を見せた場面にこう記されている。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 画コンテ集』

穴だらけでコア状になっている月

月の下に広がるコア化した赤い大地と海

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 画コンテ集』
(株式会社カラー)

完成フィルムの描写は下のようになっている。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
©カラー

赤く変質した大地や街は〈コア化〉とか〈コア状〉になる、と言うらしい。したがって、

自分と世界の禁じられた融合 = コア化

だと結論づけられる(ただし劇中で表現されているのは、あくまでその途中経過)。

ここで別の謎も解明が一歩前進する。シャフトにへばりつくエヴァのような巨人を指してカヲルは「インフィニティのなり損ない」と言う。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』

ああ 全て
インフィニティのなり損ないたちだ

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』
©カラー

「なり損ない」という表現から連想すると、

〈インフィニティ〉のなり損ない
=〈コア化〉の失敗
=〈自分と世界の禁じられた融合〉の失敗

という推論が成り立つ。逆にいえば、

インフィニティ化
=コア化
=自分と世界の禁じられた融合

となる。

なお、過去の考察では、

街にある残骸も「なり損ない」なのか、それともいちおうは〈インフィニティ〉の完成形であるのかは不明だ。

としたが、『Q』に登場するのはすべて「なり損ない」であり、「〈インフィニティ〉の完成形」はまだ私たちは目にしていないと結論づけられる。

では、「〈インフィニティ〉の完成形」とはどんなものだろうか?

〈インフィニティ〉は虚構の向こう側で覚醒する

過去の考察をいったん終えたあと、『エヴァ』の世界を理解する参考になりそうなアニメ作品が放映された。今回、新たに考察を始めるたんしょになったアニメだ。

タイトルは『はたらく細胞』。「〈インフィニティ〉の完成形」を解明するのに大いに役立ってくれる。

『はたらく細胞』はヒトのカラダの虚構世界

『はたらく細胞』はその名のとおり、人間の体のなかで活動する細胞たちを擬人化して表現した作品。赤血球は栄養素や酸素を体中に運び、白血球は体内に侵入した病原菌と戦う。赤血球や白血球たちは、人格や感情を持つ存在として描かれ、会話をしたりお茶を飲んだりと、あたかも人とおなじようにふるまう。

 icon-arrow-circle-down 赤血球はいそいそと栄養素を運ぶ。

『はたらく細胞』
©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

さて、この『はたらく細胞』の世界観を『エヴァ』に応用するとどうなるか。おわかりのことと思う。〈虚構A〉はカラダのなかの世界であり、シンジやミサトたち登場人物は、いわばカラダのなかで活動する“はたらく細胞”なのだ。

そう考えると、〈使徒〉の存在も理解しやすい。『はたらく細胞』でいうところの病原菌。エヴァと〈使徒〉の戦いは、白血球と病原菌の戦いのようなもの、というわけだ。

 icon-arrow-circle-down 病原菌が侵入すると、文字どおり“血わき肉躍る”バトルシーンが展開する。

『はたらく細胞』
©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

ただし、病原菌と異なり〈使徒〉はカラダの外からやってきたものではない(と考えられる:後述)。したがって、病原菌というよりは、カラダの細胞が変化したガン細胞といったところだろう。

[2020年9月6日追記]劇中でガン細胞は「バグり野郎」と呼ばれている。

 icon-arrow-circle-down 『はたらく細胞』でガン細胞を演じるのは、奇しくも『エヴァ』の第1の使徒(=石田彰氏)だ。

『はたらく細胞』
©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

さて、『はたらく細胞』には注目すべき点がある。

過去の考察では、『エヴァ』の虚構構造を理解するために『マトリックス』や『宇宙船レッド・ドワーフ号』といった作品を挙げた。『はたらく細胞』はそれらと決定的に異なる点がある。そこはまさにぎょうこうというのにふさわしい。『エヴァ』の謎の解明がぐんと進展するからだ。

『はたらく細胞』の特徴とはなにか?

『マトリックス』などの作品において〈虚構A〉はコンピュータのシミュレーション。つまり実体を持たない世界だ。それに対し『はたらく細胞』における〈虚構A〉はヒトのカラダだから実体がある。この点が根本的に異なるわけだ。

当ブログは『エヴァ』の〈虚構A〉もコンピュータのシミュレーションであり、実体のないバーチャルな世界だと考えていた。しかし、じつは〈虚構A〉はヒトのカラダのように実体を持った存在のなかにある世界なのではないか。そんな仮説を立てられる。

そう考えると、〈インフィニティ〉の正体が判明する。

ずばり、

〈インフィニティ〉は(〈虚構B〉において)ヒトのカラダのように実体を持った生命体

なのだ。上図に改良を加えて示すと下のようになる。

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の虚構の構造(新)

ただし、『エヴァ』の〈虚構A〉をヒトのカラダと考えてしまうと、いろいろ問題が生じる。これまで考察してきたように、〈虚構A〉は〈ゼーレ〉が外側から操作できる(たとえば、なかの人とコミュニケーションをとれる)モノでなければならない。〈ゼーレ〉が〈虚構B〉の世界でコンピュータを操作して〈虚構A〉の世界を創っている、というこれまでの解釈は変わらない。

とすると、「ヒトのカラダ」といっても、あくまで人工的なモノ(人造人間やアンドロイド、あるいはそれこそエヴァのようなロボット)だと考えられる*1

*1:とはいうものの、〈虚構A〉はやはりふつうの人体であり、〈使徒〉は病原菌、〈ゼーレ〉は医療活動を行なっている、と解釈する余地は残されている。

過去の考察では、〈インフィニティ〉は〈虚構A〉の世界における“なにか”だと考えていた。その“なにか”が〈虚構A〉から〈虚構B〉に飛び出すことで〈巨神兵〉もしくは〈巨神兵〉に対抗する存在になるのだ、と。

より正確には〈インフィニティ〉は〈虚構B〉の世界における“なにか”と考えるべきだったのだ。

 icon-arrow-circle-down 〈ゼーレ〉のいる世界では、〈インフィニティ〉のことを「巨神兵」と呼んでいる……かもしれない。

『巨神兵、東京に現わる』

『巨神兵東京に現わる 劇場版』
©2012二馬力・G

ここまでの話をまとめれば、次のようになる。

  • これまで私たちが観てきた『新劇場版』の物語は、ずっと〈インフィニティ〉のカラダのなかで展開していた。
  • この〈インフィニティ〉はまだ完成していない。
  • 〈ゼーレ〉の〈インパクト〉の目的とは、〈インフィニティ〉を完成させることである。

ここで、もうひとり〈人類補完計画〉について語っているとおぼしい人物のセリフを検証してみる。リツコが『破』の終盤にこんなことを言っている。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』

この世界の理を超えた
新たな生命の誕生
代償として
古の生命は滅びる…
世界が終わるのよ

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』
©カラー

過去の考察では、このセリフはカヲルのものと微妙に食い違っており、より真実に近いとおぼしいカヲルのほうが正しいのではないかと述べた。

先のリツコやカヲルのセリフからは、「〈インフィニティ〉が生まれて人類が消滅する」(リツコのニュアンス)のか、あるいは「いまの人類が人工進化して〈インフィニティ〉に変わる」(カヲルのニュアンス)のかは定かではない。リツコはすべての真相を知っていたわけではないだろうから、カヲルが正しいのかもしれない。

だが、上記の〈インフィニティ〉の真実をふまえると、じつはリツコもカヲルも正しいことがわかる。

〈インフィニティ〉と人類がおなじ世界の存在だと考えると矛盾が生じるが、メタフィクションの世界から眺めると、両者は別次元の存在であり、「〈インフィニティ〉の創造」と「人類の消滅(人工進化)」はまったくおなじ現象をそれぞれの次元から言い表わしたにすぎないからだ。

リツコのセリフは次のように解釈すべきなのだろう*2

  • 「この世界の理を超えた 新たな生命の誕生」 → 〈虚構B〉では新たな人工生命体の誕生
  • 「代償として 古の生命は滅びる… 世界が終わるのよ」 → 〈虚構A〉では世界の〈コア化〉

*2:とはいえ、なぜリツコがそこまで知っているのか、慎重に検証する必要はありそうだ。

画コンテに〈インフィニティ〉の否定材料がある

とはいうものの、「〈インフィニティ〉は〈虚構B〉に存在する人工生命体」とする今回の仮説には、じつは有力な反証がある。

 icon-arrow-circle-down 画コンテ集には、「黒き月」が〈インフィニティ〉を吐き出しているとある。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 画コンテ集』

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 画コンテ集』
(株式会社カラー)

少なくとも画コンテ段階では、赤いエヴァのような巨人のことを「インフィニティ」と称している。これは当ブログの仮説と大きく矛盾する。

ここでは3点“言い訳”を述べておきたい。

まず、ひとつは「インフィニティのなり損ない」の略称として「インフィニティ」と呼んでいる可能性がある点。画コンテは本来は一般の観客に公開するものではなく、スタッフの間で情報を共有するために作成される。「インフィニティ = インフィニティのなり損ない」というコンセンサスがあるならば、コトバを省略してもまったく問題ないわけだ。

そもそも「黒き月」から吐き出されているモノと、カヲルが「なり損ない」と称したモノとに大きな違いがあるようには思えない。

次に述べておきたいのは、謎の考察における画コンテの位置づけだ。画コンテは、あくまで作品の制作過程でつくられる資料であって、作品そのものではない。実際、設定や描写・セリフなどが画コンテと完成したフィルムで異なるのはよくある話だ。

人によって考えかたは異なると思うが、当ブログはあくまで完成した作品の解釈をしている。その解釈が劇中の描写と矛盾しないのであれば、たとえ画コンテの表現とは異なってもかまわない、という立場をとる。

百歩譲って、やはり『Q』に登場する赤い巨人こそが紛れもない〈インフィニティ〉だったとする。しかし、今回の仮説の核心は「〈虚構A〉は人工生命体のカラダのなか」という点であって、その「人工生命体」にどんな名前をつけるかは、もはやどんなレッテルを貼るかの問題に過ぎない。これが3番めに言っておきたいことだ。

「人工生命体」の名前は、それこそ「巨神兵」でもいいし、「シン・ゴジラ」であっても本質は変わらないわけだ。

 icon-arrow-circle-down 『シン・ゴジラ』のラスト、ゴジラの尻尾に群がる謎の存在は、「インフィニティのなり損ない」がゴジラの体内という虚構から突破してきた姿なのかもしれない。

『シン・ゴジラ』
©2016 TOHO CO.,LTD.

「〈虚構B〉に存在する人工生命体」のことをなんと呼ぶかは自由だが、ここでは当初の提案どおり〈インフィニティ〉として論を進めていきたい。

〈コア〉とはまさしくカラダの重要な部分

ところで、〈自分と世界の禁じられた融合〉のことをなぜ〈コア化〉というのだろうか? 「コア」というコトバに「自分」「世界」「融合」といった意味はないだろうし、「赤く変容する」といったニュアンスも含まれていないはずだ。

一見すると重箱の隅をつつくような疑問だが、少し考えてみたい。

辞書を引くと「コア」というコトバには

  1. モノの中心。中核
  2. コイルなどの鉄心

などといった意味がある。ようするに「モノを構成する大切な部分」ということだ。

「モノ」を〈インフィニティ〉のことだと解釈すれば

コア化 = 〈インフィニティ〉の部品に変化する

ということになる。

とどのつまり、人類も〈使徒〉も街も山も空も、〈虚構A〉の世界に存在するもの(『新劇場版』の画面に映るもの)はことごとく〈インフィニティ〉の部品の材料にすぎない、というわけだ。

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『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の謎を徹底的に解明する[準備編 その2]特報2

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コメント

  1. アバター
    • 匿名
    • 2019年 8月 19日

    0706においてマリの足が赤くなっているのはエヴァ4444Cの攻撃を受けたためです。エヴァ本体の足は赤くなってません。
    またコア化については接触によりコア化する、ではなく侵食の方が良いと思います。
    また、エヴァのプラグスーツを着ている場合はコア化されません。復元オペにおいてもオペレーター達はプラグスーツ同様の服装です。

    • おっしゃるとおり、「〈コア〉に触れると〈コア化〉する」については、再検証の必要がありそうですね。今後の参考にします。

      ありがとうございました!

  2. アバター
    • かおり
    • 2019年 10月 04日

    このブログにたどり着けて
    本当に良かった!
    目からウロコが取れたような
    読んでいて
    とても気持ちの良い考察でした!

    気付いたら朝になっていましたよ(笑)

    本当に楽しかったです、
    ありがとう!

  3. アバター
    • 匿名
    • 2019年 10月 04日

    気付いたら朝になっていました!
    一気読みです。

    楽しかった、ありがとう!

    • ぎゃふん工房

      こちらこそ、お読みいただきありがとうございました。

      エヴァの考察って、書くのも読むもの楽しいですよね(私もいろいろな人の考察を見たりします)。

      これからもお互いエヴァを堪能していきましょう!

      • アバター
        • 伊勢雲
        • 2020年 7月 13日

        虚構から現実へとあがく物語としてゼーガペイン(2006)は外せません。またこの物語はループからの脱出劇でもあります。
        カヲルが今度はと呟くのはループのなかでのソゴルキョウたちの想いにもつながります。
        このサイトの考察に照らせばゲンドウたちは全てミサキシズノで、ユイが唯一の量子化人類、ゼーレがナーガ、インフィニティは復元者とガルズオルムと言うことになるでしょうか。
        エヴァンゲリヲン序(2007)からエヴァンゲリオンの蛍光部分が輝くようになったのは、ホロニックアーマーへのオマージュとも思えます。

        • 『ゼーガペイン』は未見ですが、なるほど、『エヴァ』の理解にもつながりそうですね。

          dアニメストアでも配信されているようなので、いま観ているアニメシリーズが終わったら、ぜひ拝見したいと思います。

          参考になる情報をありがとうございました。

  4. アバター
    • 匿名希望
    • 2020年 7月 06日

    旧エヴァのシンジの「自慰行為」など、意図的に性的な表現がされている。
    そしてこのブログを読んで、次のように感じました。
    生命の誕生(卵子と精子の出会い)→ファーストインパクト
    生殖器の発達→セカンドインパクト(女性『卵子』がリリン、男性『精子』がアダム)
    性行為→サードインパクト、フォースインパクト
    生命の誕生(卵子と精子の出会い)→ファイナルインパクト=ファーストインパクト=ループ→虚空Aもしくはリアルの世界。
    自分の中で、エヴァへの理解がひと段落したような、そんな感じです。

    • なるほど。〈世界の創造〉を〈生命の誕生〉になぞらえる。なかなか興味深い視点ですね。

      旧劇場版では〈生と死〉がモチーフになっていて、とくに〈死〉に重きが置かれていた観がありましたが、新劇場版では逆に〈生〉に重きを置いているのかもしれませんね。

      このたびはとても参考になるコメントをいただきありがとうございました。

  5. アバター
    • ミキ・プルーン
    • 2020年 7月 08日

    4ページ目の
    >『Q』のエンドクレジットのあと、〈Mark.06〉に搭乗するカヲルが〈カシウス〉を〈初号機〉に投げつけ、〈インパクト〉を中断させる描写がある。

    これはだと思うのですが(._.)

    • ご指摘ありがとうございます!
      修正しました。
      今後ともよろしくお願いします。

  6. アバター
    • 匿名
    • 2020年 8月 14日

    クソみたいな考察でガッカリしました。
    拙い文章で読み辛いです。
    わざわざこんなもの載せるなんて
    よほどの暇人ですか?

    • 「ごめん。これは君の望む“考察”ではなかった」
      「君が心配することはない」
      「君は、安らぎと自分の場所を見つければいい」
      「縁が君を導くだろう」
      「そんな顔をしないで」
      「希望は残っているよ。どんな時にもね」

  7. アバター
    • いのり
    • 2020年 8月 28日

    初めまして。
    私自身はアスカのプラグスーツの破損状況から「二つの世界があったら面白いな」派なのですが、インフィニティの考察がとても面白くて読み込んでしまいました。
    考察を巡るのは自分では出せない想像や気付きに出会えて良いですね。
    掲載してくださってありがとうございます。
    (くだらないコメントへの返しもエヴァ愛に溢れていてとてもGoodでした(笑))

    • こちらこそ、お読みいただきありがとうございます。

      他人の解釈や考察も楽しめるのがエヴァのいいところですよね。

      これからも一緒に作品を堪能していきましょう!

  8. アバター
    • 1番マリが好き
    • 2020年 8月 29日

    序盤のある程度は読ませていただきました。これは煽りをしようしてコメントしているのでは全くありません。”(-“”-;)”うーん 率直に言うと途中から考察に矛盾が生じて読むのを辞めました。申し訳ないです ただ指摘したい部分があり今回コメントさせていただきます。不快な気持ちにさせてしまうと思うと申し訳ないです。すみません
    1つ目は、旧劇場版と新劇場版とはそもそも設定が違うと書かれてるのですが途中から旧劇場版等の描写を使用している時点でおかしいなと感じました。
    2つ目は、槍の件です。使徒と槍は一緒に揃っていたはずです。そうすると、初めにアダムが地球へ到達し、アダムとカシウスは共にあるはず。次にリリスが地球へ到達するとこでセカンドインパクトが起きた場面でロンギヌスの槍が2本登場する。リリスと一緒にあるはずのロンギヌスが1本。流れ的にはカシウス→ロンギヌス→ロンギヌス→ロンギヌスの順になるはずと思いました。
    3つ目はカシウスの槍を抜いた初号機についてです。ヱヴァンゲリオン 新劇場版:破で第10使徒から綾波レイを救い出し取り込んだ初号機。1度カシウスの槍で貫かれた事により初号機は活動停止になります。しかしこれの初号機は後にヴンダーへと変わるのはご存じですよね?ヴンダーは初号機の無限のエネルギーを活用して起動しています。この無限のエネルギーが初号機にあるならばカシウスの槍を抜いた時点で初号機が覚醒した時と変わらないため再び活動を再会するはずです。
    4つ目は薄いですが、コア化したMrk.06を槍で貫け無かったはずのになぜリリスを槍で封じたらMrk.06を槍で封じる事ができるのか疑問に思いました。
    5つ目は槍の件です。Mrk.06→アダムの(肉体)渚カヲル→アダムの(魂)でアダム本体といっても偽りはない。アダム本体と似ているためカシウスの槍が使えたとなるなら真のヱヴァンゲリオンを待たずともインパクトを起こすことができる。←この理論でいくと2号機→アダムの(肉体)アスカ→リリスの(肉体と魂)となる。アダム、リリスどちらの本物でもないためインパクトを起こす可能性は低いと思いました。ただし、主さんが書かれていた初号機もしくは零号機なら可能性はあるかもと思いました。
    続いて6つ目です。6つ目は初号機の桶を用意し、宇宙へと運んだとありますが、アスカ、Mrk.07がリリスの結界から脱出できたのだとすると、閉じた結界を再度開け一体誰が初号機に桶まで用意し宇宙へまで運んだのか疑問に思いました。
    長文大変失礼しましたm(_ _)m 主さんの考察が気になったので読ませていただきました。まだまだ分からないこともたくさんあるのでシン・ヱヴァンゲリオンを楽しみに待ちましょう!待ち遠しいです
    ありがとうございました✨

    • コメントありがとうございます。

      矛盾点の指摘や反論はもちろん大歓迎ですので、どうぞ恐縮なさらずに。

      【1.旧劇場版と新劇場版の設定について】

      正確には「旧劇場版と新劇場版では、一部の設定に異なった部分がある」という意味で、当然、共通している設定も多くあると思われます。

      馬鹿馬鹿しい例を挙げるなら、旧も新も主人公のパイロットは碇シンジで、モノゴトを裏で操っているとおぼしき組織は、旧も新もゼーレですよね。

      問題は、旧と新の設定は、何が同じで何が異なるのかを見極めることだと思います。記事では、いくつかの根拠をもとに、それを明らかにしているつもりです(十分でない部分もあるかもしれませんが)。

      【2.槍について】

      ・使徒と槍は一緒に揃っていた
      ・初めにアダムが地球へ到達
      といった設定は、劇中に描写がないことから、旧劇場版・新劇場版のいずれにおいても確定したものではないかと思います。

      ただ、劇中にないからといって、そのように考えてはいけない、ということにはならないでしょう(そうしないと、ヱヴァの考察そのものが成り立たないですからね)。

      槍の出自については、少なくとも現時点では観る側の解釈に委ねられているといったところでしょうか。

      【3.カシウスの槍を抜いた初号機】

      初号機がヴンダーに変わったというよりも、もともとヴンダーと呼ばれる存在があり、そこに「主機」として組み込んで飛べるようにした、と表現するほうが正確かもしれません(『Q』で初号機を奪還するまでは、ヴンダーは飛べなかったのでしょう)。

      「初号機の無限のエネルギーを活用して起動して」いるというのも、劇中には説明がなく、確定した設定ではないかと思います。

      したがって、「カシウスの槍を抜いた時点で初号機が覚醒した時と変わらないため再び活動を再会」したかどうかは未確定といえます(当然、実際にそうなった可能性は否定できませんが)。

      もちろん、どういう理屈でヴンダーが空中を飛んでいるのか想像がつかないため、おっしゃるとおり、「初号機の無限のエネルギーを活用して」飛んでいると解釈する余地は十分にあるでしょう。

      【4.Mark.06と槍】

      「コア化したMrk.06を槍で貫け無かった」。これもそのような描写は劇中にないし、記事でそのように説明もしてないかと思います(私の勘違いでしたらすみません)。

      【5.槍と魂】

      私の読解が間違っていたら申し訳ないのですが、ここでご指摘いただいていることは、私の考えとは異なります。

      「カヲルがアダムの肉体を持っている」「アダムの魂がカヲルに入っている」とは私は考えていないのです(というより、新劇場版では設定が異なると記事では主張しています)。

      私が「ホンモノ」「ニセモノ」といっているのは、アダムスやリリスではなく2本の槍のことです。

      【6.初号機の桶】

      初号機の桶はサードインパクト時には、セントラルドグマにあったわけではないと私は思っています。では、どこにあったのか? という疑問はありますが、それは今度の課題としています。

      劇中の表現を信用するなら、リリスの結界を開けることは誰にもできないし、実際開けることはできなかったのだと解釈しています。


      こちらも重箱の隅をつつくようなお返事になってしまいましたが、今後のヱヴァ考察にお役に立てれば幸いです。

      今後ともよろしくお願いします。

  9. アバター
    • あきらつかさ
    • 2020年 8月 29日

    はじめまして。
    面白く拝読させていただきました。
    コメント欄も拝見して、そういえば「LCL=羊水」というのが過去にあったことを思い出しました。
    <生命の誕生>とするなら、これも見方のひとつかも知れません。

    拝読して、提唱されている説にあわせて思ったのは、ユイは「仮想世界内にアバターで直接介入できる」権限のあるシステム管理者(ゼーレの一員)では、ということです。その中でゲンドウに惚れてしまったために(裏切り、とすると矛盾が生じないかと)正体を(冬月にも)明かし、自らを犠牲にしてこの(仮想)世界を去った。そのユイのもとへ行くためゲンドウは「虚構世界の突破」を図っている――という流れ。あるいは、自分が無理でも息子(シンジ)を母の元へ送る――
    虚構であることを知っている者そのものがいない上にこの「世界(線)を超越する」というのはカヲルでも想定していないことで、まして他の誰にも理解されないしそもそも知らせていない(ゲンドウの目的がゼーレにバレるのを防ぐためもあるかと)、そのため「インパクトの続きを起こそうとしている世界破壊者」に見せている。

    ただ、やはり視聴者の多くが期待しているのは「シンジ(とアスカやミサト)の幸せ」だとも思っています。
    そうなると展開としては「虚構世界の再構築(再誕)」とも。TV版であったような「可能性の一つ」としての明るい世界がまた現れるのか、「消されず存続を『許された』世界、そして使徒やその他の戦いがなくなりはしたものの現状のまま」となるのか……(過去作と同じことはしない、と思っていますので「(現実の)観客席を映したシーン」はないと思っています)
    また、シンジには「主人公として」成長することで「テーマ」を視聴者に伝える、という「シナリオの大原則」としての役割もあると思っています。今作再三言われている「大人になる」がここで出てくるとも。

    なんにぜよ、実のところ数多の考察や予測を覆した意外(かつ納得感のある)次作になることを期待しています(笑)

    ありがとうございます。

    • コメントありがとうございます。なかなか興味深い視点で、私の考察でもそこまで踏み込んでいないので、とても参考になります。

      コメントを拝見して思いついたのですが、〈ゼーレ〉というのはじつは存在せず——というより、複数の人格を装っているけども、すべてユイが操作しているのではないか、という仮説を思いつきました。

      旧劇場版では、ユイの罪について追究されていないのですが、人類補完計画の首謀者ともいえるわけで、新劇場版でははっきりと悪の親玉、すべての元凶として登場するのかもしれません(そこが観客の意表を突くポイントというわけです)。

      となると、シンジはユイを選ぶのか、ゲンドウを選ぶのかという選択を迫られ、旧劇場版のように「父にありがとう、母にさようなら」となるのでは? などと考えてみました(いや「母にありがとう、父にさようなら」でしょうか)。

      また、「虚構世界の再構築(再誕)」というお話がありましたが、『序』『破』『Q』が虚構世界だとして、ミサトたちが「現状維持」もしくは「原状回復」をめざしているとすると、虚構世界を維持することになり、やや違和感がありました。そこで、別の方のコメントで教えていただいた『ゼーガペイン』のように、ミサトたちはじつはすでに(『Q』の時点では)ここが虚構世界であることを知っていて、現実世界を自分たちの手に取り戻すために奮闘していると考えると、ヴィレの行動原理に正当性が出てくるかなと思っています。

      その場合、なぜミサトたちはその真実をシンジに告げないのか、あるいはカヲルあたりが説明してもよさそうだが、といった疑問が生じますが、それは今後の考察に活かしたいと思います。

      新たな考察のきっかけをいただき、ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。

  10. アバター
    • すー
    • 2020年 8月 29日

    考察楽しく拝見させていただきました。
    エヴァは難しくて近寄り難かったのですが、こちらの考察を読んで楽しみ方を見つけることができました。

    こちらで展開されているメタフィクション説ですが、SAOのアリシゼーション編に酷似していますね。そちらも思い浮かべていたら分かりやすさが増しました。

    また、素人の勝手な思いつきですが、世界がコア化するとのことですが、コアというとやはり使徒のコアを思い浮かびます。使徒がどのように発生するのかわかりませんが、インパクトが成功すると使徒のコアになるなんて思ったり。そして生まれた使徒は作中で登場した使徒で、シンジたちが戦うとすると、フラクタル図形のようで面白いなと思いました。(妄想)

    シンエヴァが公開される前にエヴァの魅力に気づけてよかったです。公開が楽しみです。

    • おっしゃるとおり、世界のコア化と使徒のコアは何か関係がありそうですよね。ただ、劇中で「コア化」という表現が一度も出てこない点が気になっています(「L結界」というのが正式な言い方なのかもしれません)。

      『シン・エヴァ』において、使徒がどのくらい重要なのかも注目したいですね(使徒は全部倒したはずなので、本来ならもう使徒は出てこないはずですが……)。

      コメントありがとうございました。

  11. アバター
    • おたつむり
    • 2020年 9月 09日

    大変面白く、ご提唱の仮説の通りであってもなくても、理解や想像が一層深まり、感謝しかありません。

    コメントまでは全て目を通していないので既出かもしれませんが、ファーストインパクトとは即ち現世におけるジャイアントインパクト説、月の誕生に由来していると考えるのが自然かなと捉えています。
    そうであれば飛躍するとミクロの量子力学が宇宙の解明に繋がるように、現世の我々やあらゆる存在がまた大きな生命体を構成する分子や元素のようなもの、或いは大きな存在が産み出した仮想現実であるというような世界観の示唆、テーマであるように感じました。

    • ジャイアントインパクト説は考察に組み込んではいないのですが、おっしゃるとおり、さまざまな理論を導入することで、エヴァの世界のみならず、私たちのいるこの現実世界の解明にもつながり、知的好奇心が満たされますね。

      ただ、私はその「理論」に関する知識が乏しいので、なかなか難しいところではありますが(笑)。今後も幅広い勉強の必要がありそうです。

      記事をお役立ていただいたようで、こちらこそありがとうございました。

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