『ジョジョ(第4部)』はアニメ化に向かないと思っていた

原作が優れた作品であるがゆえに、そのアニメ化は質の低い再現にしかならないのではないか?

テレビアニメ版『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない(第4部)』は、第1部〜第3部と同じように、たいへん素晴らしい出来栄えだった。

いまは手放しで評価できる。だが、番組が始まる前は「この第4部はアニメ化に向かないのでは?」と思っていた。実際はその予想はいい意味ではずれたわけだ。

当ブログはなぜそんな予想をしたのか?

なぜアニメ化に向かないと思ったか?

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』

まず、なぜ第4部のアニメ化に疑問を持ったか説明する。

アニメとマンガの違いを端的に表現すれば、絵が動くか動かないかだ。第3部までは、殴る・蹴る・跳躍するといったダイナミックなアクションを中心に話が展開する。戦いの基本は腕力の応酬、技のやりとりだ。だから、そこで描かれるシーンは「絵が動く」アニメとの親和性が高い。

一方、第4部になるとやや様子が異なる。現代の日本が舞台、高校生が主人公で、日常的なムードが漂っている。そして、戦いのシーンも、キャラクターの動きそのものより、スタンドの抽象的な攻撃、技巧を凝らした描写のほうが印象深かった。これらはアニメでは表現しにくい。そう考えたのだ。

なるほど、第4部にも第3部などと同じような激しいバトルがないわけではない。そのシーンがアニメで表現されることに期待が高まりもした。だが、バトル以外の場面はどうだろう? 原作がマンガとして優れた作品であるがゆえに、そのアニメ化は質の低い再現にしかならないのではないか? そんな懸念があった。……というのは建前で、制作陣の実力はすでに承知していたから、むしろ「お手並み拝見」が本音だったのだが。

実際のアニメはどうだったか?

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』

アニメの放送を観て、第4部に対して大きな勘違いをしていたことに気づいた。

たしかに「殴る・蹴る・跳躍する」といった単純なアクションは少ないかもしれない。だからといって「動き」が乏しいわけではけっしてない。壊したものが直る、空間を削り取る、擬音の描き文字を投げつける──。そんな独特の「動き」が、圧倒されるほどの爽快感を持って表現されていた。それは単純なキャラクターの手足の挙動ではないから、それまでのシリーズのアクションにひけをとらない──いや、より魅力的に観る側の目には映ったのだ。

第4部も一級の“アクション”だったわけだ。

第4部ならではの魅力とは?

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』

ところで、第3部のレビューでも書いたことだが、『ジョジョ』の原作マンガには、ほかの作品にあまり見られない大きな特徴がある。

それは、とくに第3部以降は、人間ドラマがあまり描かれないことだ。

主人公が葛藤したり成長したりはしない。誰かと対立したり和解したりすることもない。このマンガを一言で説明すれば「とにかく敵と戦う作品」だ。

第4部でもやはりドラマは描かれない。ただし、それは主人公において。視点を広げると、たとえばラブロマンスを展開させる役目は、主人公の親友が負う。ややいびつな愛情は、殺人鬼とその“妻”の間で生まれる。自分をかばって殺人鬼に亡き者にされた少女の霊との出会いは、感動的に展開する。

これらは、もちろん原作で描かれている要素ではある。しかしながら、アニメ化によって、よりドラマチックに、ロマンチックに表現されている。つまり、たしかな人間ドラマがそこにある。

アニメ化によって第4部の魅力がより増幅されたといえるのだ。

アニメ化とは〈魂〉を込めること

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』

「アニメ化する(animate)」とは「魂を入れること」を意味する。マンガにはなかった〈魂〉が、アニメには込められている。

脚本を書き、コンテを切って、作画する。声を吹き込み、音を入れる。アニメの制作過程において、スタッフの〈魂〉が込められた──いや、込めざるをえなかった。

ストーリーや世界観、キャラクターは、当然ながら原作のマンガと変わらない。だが、マンガになくてアニメにあるもの。それが作り手の〈魂〉だ。だからこそ、物語がより魅力的な輝きを放っている。

第4部はアニメ化に向かないどころか、アニメ化によって高い価値が付加された作品に仕上がっているのだ。

©LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険DU製作委員会

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