〈シド・ミード展〉は誰でも未来を創造するヒントを得られる

未来を創造するには人々の息吹への視点が欠かせない。

世界的に著名なインダストリアル・デザイナーで、日本でも映画『ブレードランナー』のアートなどで知られるシド=ミード氏の展覧会〈シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019〉がArts Chiyodaにて催されている(終了しました)。

展覧会の概要と、会場で得たインスピレーションをメモしておきたい。

未来世界を見通した60年の軌跡をたどる

シド・ミード展

会場は4つのパートで構成されている。

PROGRESSIONS」では、氏の60年にわたるキャリアのなかから厳選した作品を展示。ヴィークル(自動車)、建物、宇宙ステーションなどの独創的なデザインを堪能できる。

The Movie Art」は、映画『スタートレック』『ブレードランナー』『エイリアン2』などのデザイン・スケッチ、イラストレーションを紹介。未発表の初期デザインやプロモーション用のアートなども見られる。

TYO Special」は、日本での活動に焦点をあてる。『YAMATO 2520』のCADによる設計図、『∀ガンダム』のモビルスーツデザインなどが見どころとなる。

Memories Of The Future」は、シド=ミード研究家・コレクターである松井博司氏の秘蔵コレクションを公開する。鉛筆による下絵やマーカーによるスケッチなど、貴重な資料が展示されている。

未来を創造するには〈人々の息吹〉を想像する

シド・ミード展

シド=ミード氏がデザインしてきたのは、未来の世界を走る自動車であり、宇宙船であり、ガンダムである——すなわち、“それぞれが自己完結しているモノ”という先入観があった。自動車はどこまでいっても自動車であり、宇宙船は宇宙船以外の何ものでもない。あらかじめ創造された世界があり、そこに氏のデザインが存在している——そんなイメージを持っていた。おそらくそれは当ブログの不勉強のせいもあるだろう。

本展覧会であきらかになったのは、氏はモノ(マテリアル)だけではなく、“時代の空気”といったものまでも想像し、そして創造していることだ。

モノは、世界が〈閉じて〉いる。だが、氏のデザインやイラストレーションは世界が〈開いて〉いる。モノの向こう側に世界が広がっているのを感じるのだ。

とくに「PROGRESSIONS」のイラストレーションにおいて、それを実感できる。

“時代の空気”とは、コトバを変えれば“人々の息吹”だ。未来の世界では、人々はどんな暮らしをしているのか、どんな娯楽を楽しんでいるのか……。そこまで徹底的に煮詰めなければ、けっしてモノのデザインはできない、ということなのだ。

もしかすると、それはデザインを専門としている人にはイロハのイなのかもしれない。だが、門外漢には目からウロコであった。

もう少し考察を深めるなら——。

氏がデザインしているのは〈具象物〉であるが、抽象的なものやカタチを持たないものをデザインする際も、「人々の息吹」を想像することが大切なのかもしれない。

「カタチを持たないもの」とは、たとえばビジネスとか理論とか。そういったものに「時代の空気」を含ませるには、「人々の息吹」が不可欠なのだ。

デザインを専門としている人だけでなく、現代社会で活動する者ならだれでも、この展覧会で得られるものは大きい。

シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019
開催日時……2019年4月27日(土)〜2019年5月19日(日)会期中無休 11:00~20:00
会場……3331 Arts Chiyoda 1Fメインギャラリー(東京都千代田区)
料金……一般2,000円 学生(大学生・専門学校生以下)1,000円 小学生以下 無料
〈シド・ミード展 PROGRESSIONS TYO 2019〉公式サイト https://sydmead.skyfall.me

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