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『バイオハザード ダムネーション』をとりあえず観ておいてよかった

バイオハザード

『バイオハザード』のCGアニメーション第2弾。前作『バイオハザード ディジェネレーション』は、駄作とまでは言わないまでも、なんとも締まらない出来栄えではあった。だから、期待はしていなかった。本来ならスルーしたまま一生を終えても後悔はなかった。とはいえ、いちおう曲がりなりにも『バイオハザード』である。チェックしないわけにはいかない。

だが──。

天は我に味方した。アタリだった。明らかに前作よりおもしろい。

[良い1]退廃した東欧の空気を再現

いまさらちょっとばかりCGのクォリティが上がったところで驚かない。こちとら最新技術を駆使したゲームをプレイしている身だ。

それでも今作の画面づくりには目をみはるものがある。単純に技術が向上したとかではない。この物語の舞台を東欧の退廃した街としたところに勝因がある。

ほんとうに「今そこにある」実在感はゲーム以上だ。

[良い2]あえてディフォルメしたアクション

上記のように、見た目はとことんリアリティを追究している。しかし、それとは対照的に、キャラクターの「動き」は、あえてリアルを捨て、ディフォルメを施している。

これによって得られるのは、生理的快楽だ。つまり見ていて「気持ちいい」。

とくにエイダと大統領の女同士でくりひろげられる“殺陣”のシーンは秀逸。実写では再現できない、まさに理想の格闘シーンが展開する。これぞ見たかった映画だと素直に思わせる。

[悪い?]ストーリーがつまらない

ここまで素敵な画面が展開するなら、ストーリーなどどうでもよい。そんな考え方もあるだろう。そもそも原作のゲームの物語そのものが大したことない。だから、原作を踏襲したということもできよう。

いまいち物語の行く末が気になったりワクワクしたりしない。そういう意味ではゲームのほうがまだマシという気もする。

やはりゲーム中に挿入されるムービーシーンではなく、ひとつの映画なのだから、もう少し脚本に力を入れてもよかったのではないか。

ベタでいい。絵に描いたような“らぶろまんす”なんかでいい。むしろ「ベタ」すぎるくらいのほうがCGが活きる。そんな気がする。

まあ、じょぼびっちのよりマシだけどね。

いや、じょぼびっちに罪はないけど、ハリウッド製のヤツより全然マシで、今作は原作ゲームの制作者の面目躍如といえる。

©2012カプコン / バイオハザードCG2製作委員会

夜見野レイ

夜見野レイ

このサイトでは、ホラー作品のレビューを担当。幼いころ、テレビで最初に観た映画がホラー作品だったことから無類のホラー好きに。ガールズラブ&心霊学園ホラー小説『天使の街』シリーズをセルフパブリッシングで執筆。ライターとしては、清水崇・鶴田法男・一瀬隆重・落合正幸・木原浩勝の各氏にインタビュー経験を持つ(名義は「米田政行」)。

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ぎゃふん工房(米田政行)

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