つまらない作品に出逢っても『日常』はかせを見習いたい

つまらない作品を「つまらない」ということほどつまらないものはありません。

本ブログは「作品レビュー」をうたっているわけですが、ある方針にしたがってレビューをおこなっています。それは「つまらないと思った作品はとりあげない」ことです。

レビュー系のサイトやブログのなかには、レビューの名のもとに悪口を書きつらねたり悪態をついたりするものもあります。本ブログの記事にも過去に例がないわけではありませんが、最近はひかえるようにしています。

その理由は「つまらない作品を『つまらない』ということほどつまらないものはない」という真実に気づいたからです。

もちろん、実際に作品を鑑賞していれば、「つまらない」と思ってしまう作品に出逢うことはあります。けれども、そのときのやるせない想いをブログに書かないのはもちろん、自分のココロのなかでも、けっして作品をくさすことはしないのです。

では、ココロに生まれたモヤモヤはどうしているのか? つまらない作品に出逢ってしまった場合の対処法を『日常』のはかせから学びました。

片づけをしたくないから詭弁を弄した

『日常』(「日常の第二話」)の「片付け」では、東雲しののめなのが部屋を片づけています。あたりを散らかしながら本を読みふけるはかせに対しなのは言います。「はかせ、ちょっと部屋のゴミを片づけてもらっていいですか?」。はかせはおもむろに立ちあがり、次のような言葉を口にします。

はかせにはまだちょっと早いかもしれない

声:[はかせ]今野宏美

『日常』日常の第二話(「片づけ」)
©あらゐけいいち・角川書店/東雲研究所

そして、「遊んできます」と言いながら頭を下げると、あたりを散らかしたまま部屋から出ていってしまうのでした。

このはかせのふるまいから、なにを学べるのでしょう?

「片づけて」というなのの頼みに対して、「やりたくない」「やだ」などと否定的な返事をしていない点がポイントです。相手の要求は正当なものであるとは認めている。相手ではなく自分のほうに否があり、それゆえ要求に応えられない。そんなふうにはかせは言っているわけです。

もちろん、これは詭弁です。表面的なロジックは上記のとおりですが、はかせの言動は正当化されるものではないでしょう。ただ、「片づけ」ではなく、作品鑑賞における態度に置きかえれば、はかせの理屈は詭弁ではなく、人生において有効な考えかただと思うのです。

作品の感想は〈否定形〉ではなく〈肯定形〉で表現したい

最近、こんな出来事がありました。

若い頃にある作品を観ました。残念ながらあまりおもしろいと思えませんでした。それから数十年が経ち、おなじ作品を再び鑑賞してみました。不思議なことに、とても楽しめたのです。

当然ながら、作品の内容が変わっていたわけではありません。変わったのは自分のほうなのです。作品がおもしろいかどうか、その根拠は作品ではなく、あくまで自分自身のなかにあることがわかります。

ということは、作品を鑑賞し「つまらない」と思ったとしても、口汚くののしるのは、それが自分のココロのなかであろうと、あまりよろしくないふるまいといえます。ましてやSNSやブログなどで中傷するなどもってのほかです。

自分が「つまらない」と感じた作品であっても、「おもしろい」と思う人はいるはずです。私が経験したように時間が経てば評価が変わるかもしれません。いたずらに作品を罵倒すれば、作品を満喫した人(未来の自分も含む)を傷つけることになります。なにより、自分のなかにマイナスの感情を生むことにつながる。そうなれば、自分自身のココロも傷つけることになってしまいます。

作品の評価や感想を述べるときは、「おもしろくない」と〈否定形〉ではなく、

はかせにはまだちょっと早いかもしれない

などと〈肯定形〉のニュアンスで表現したいものです。そうすれば、誰も傷つけないし、自分のココロも守られる。すべてが丸くおさまる気がします。

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