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『映画館のまわし者』で知った映写技師の意外な仕事
サブタイトルは「ある映写技術者のつぶやき」。『まわし者』は、映写機を「操作する人」という意味と「関係者」をかけているわけです──なんて説明は野暮ですな。
ぼく自身は、映画館に足を運ぶことはほとんどなくなってしまいましたが、頻繁に映画館で映画を観る人も、上映中、自分の背後にいるはずの「映写技師」にまで想いをはせることは少ないのではないでしょうか?
では、実際、映写技師はどんな仕事をしているのか?
そりゃあ、「映写機をまわす」ってことは想像がつくけど、プロとしてどんな矜持を持っているのか、そこにはどんな苦悩があるのか、などといった点が本書でつづられており、「映画」が好きな人は興味が惹かれるはずです。
現在の映写は、募集があって採用されれば、なんの資格がなくても出来る仕事です。
え? と一瞬思いました。著者の謙遜もあるかもしれませんが、映写技師は誰でもなれるそうです。
また、映画の上映中、映写技師はひたすら見守っているだけの「簡単なお仕事」(失礼)だと思っていました。たしかに第一の仕事は
現在上映中の映画を可能な限りベストな状態で映写すること
なのですが、
では、第二は……と尋ねられたら、『編集』、つまり次回上映作品のフィルムをつなぐことだと答えるでしょう。
フィルムを上映できる状態に切ったりつないだりするのは、配給会社がやっていると漠然と想像していたのですが、実際は映画館の映写技師がやるのですね。初めて知りました。
映画館によっては、昔の映画を上映する場合もあり、そうなるとフィルムも相当いたんでいるから、苦労は絶えないようです。
ふだんスポットが当たることのない職業だけに、とても興味深く読み進めていける本です。
最近は、フィルムを使わないデジタル上映なども増えていると思いますが、やっぱり映画もフィルムという〈モノ〉に魂が宿っているんだなあ。まさに本が紙という〈モノ〉に印刷されることで価値が上がるのと同じように──なんてことも考えてしまいました。
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