武論尊『原作屋稼業 お前はもう死んでいる?』であべし!?

みなさんは著者の武論尊氏をご存知でしょうか? ぼくらの世代なら知らない人はいないはずなのでこれは愚問なのですが、ピンとこない人は「お前はもう死んでいる?」を聞けば、もうおわかりでしょう?

そう。本書は『北斗の拳』を生み出した著者が、マンガ原作者の極意を書いた本というわけです。

ただ、武論尊氏の名前と「原作屋稼業」というタイトルに惹かれて、内容をたしかめずに買ってしまったのですが、じつは氏の自伝ではなく、あくまでも事実を元にしたフィクションになっています(あべし!)。

「我が生涯後悔することだらけ!」のオレは自伝を書くほど立派な人間じゃないし、こんなオッサンの自分語りなんかみんなには迷惑なだけだろう。

いやいやご謙遜を。その「自分語り」を拝聴したいのです──とは個人的には思うものの、〈本〉を商品として考えるなら、これで正しかったのかもしれません。

「バカヤロー、オレに書けるんだ、そんなモン誰にだって書けるさ。売れる売れないは結果に過ぎん。ま、ハッキリ言って運だ」

「でもな、そうやって“オレはまだ60%しか使ってねえ、100%のオレはもっとすげえんだ”って思い込ませているうち、その60%の自分が現実になっていくんだな、これが」

装いこそ青春小説ではありますが、小説を書いている身としては、胸に突き刺さる言葉があちこちにちりばめられた〈人生指南書〉の趣もあります。

“創作者”とか“クリエイター”をめざす人には一読をおすすめしたい本です。

『映画館のまわし者』で知った映写技師の意外な仕事

40歳からの『魔法少女まどか☆マギカ』はじめての考察

関連記事

  1. 伊藤計劃『虐殺器官』がSFでも戦争モノでもなかっ…

    大量虐殺を誘発するという謎の“器官”。その鍵を握る人物を追って、アメリカ軍大…

  2. 『トネガワ』

    『中間管理録トネガワ』の圧倒的レビューっ……!

    『中間管理録トネガワ』は、福本伸行の代表作である『カイジ』シリーズのスピンオ…

  3. 藤井太洋『Gene Mapper -full b…

    セルフ・パブリッシングの電子書籍である藤井太洋『Gene Mapper -c…

  4. やばい!『アーティストのためのハンドブック』が読…

    副題は「制作につきまとう不安との付き合い方」。今、私はガールズ・ラブ&心霊学…

  5. ブログの記事をまとめた本『ぎゃふん5』の電子書籍…

    あけましておめでとうございます。この「ぎゃふん工房の作品レビュー」も今日で1…

  6. 黒澤作品の脚本家・橋本忍『複眼の映像』から神映画…

    橋本忍といえば『羅生門』『生きる』『七人の侍』のシナリオを手がけている。そう…

  7. 『ゲーム・レジスタンス』表紙

    『ゲーム・レジスタンス』で想い出す原田さんとのた…

    『ユーズド・ゲームズ』『ゲーム批評』『CONTINUE』『ゲームサイド』とい…

  8. 江上剛『亡国前夜』は国を憂う貴方・貴女の必読の本…

    不況下の日本で、若者による通り魔事件が頻発。やがて犯行は財界人テロへと激化す…

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

このサイトは……?

映画・音楽・ゲーム・本など、いろいろなジャンルの作品をみなさんといっしょに楽しむ〈ネタバレなし〉ブログです。フリーランス・ライターのユニット〈Gyahun工房〉が趣味を全開にしてお届けしています。

おすすめの記事

  1. アニメ版『ジョジョの奇妙な冒険』
  2. 『封印映像』
PAGE TOP