人の音楽の趣味は二十代のころには決まってしまうという。しかし、当ブログが洋楽を本格的に聴くようになったのは四十代になってからだ。それまでは、もっぱらJ-popを聴いていた。
今回は、そんなJ-pop好きがオススメしたい洋楽アーティストを挙げてみる。音楽の好みが二十代から変わらないのなら、ここで紹介するアーティストは、どこかJ-popらしさを持っているのかもしれない。洋楽になじみのない人も聴きやすいものばかりが集まっているはずだ。
ミュージックビデオは最新のものに随時さしかえています[最終更新2018年10月10日]。
もくじ
至高の洋楽アーティストのリスト
それでは、洋楽初心者向けのアーティストを挙げていこう。
TAYLOR SWIFT(テイラー・スウィフト)
ほとばしるセレブ感
テイラー・スウィフトの勢いは、いまだに衰えない。曲を出すたびにヒットチャートにランク入り。まさに無双状態。もちろん、売れている曲が良いとは限らない。限らないが、ディープな洋楽ユーザーでないのなら、素直にテイラー・スウィフトを受け入れられるはずだ。
本人はカジュアルに、ときに粗野に歌っているつもりでも、つねに高級感や清潔感が滲み出てしまう。楽曲そのものの完成度が高いのもあるけれども、やはり本人が身にまとっている“セレブ感”が大きな特徴になっている。その持ち味を楽曲といっしょに味わうのが正しい聴きかただと思う。
MAROON 5(マルーン5)
透き通るボーカル&サウンド
マルーン5は、ロックバンドなのか、それともポップスか。その区別をつけるのは当ブログのような素人には難しい。また、そうする意味もないだろう。
ただひとつ言えるのは、メロディの運びがどんなに荒々しくても、彼らのサウンドは澄んでいること。とくにボーカルの高音が美しい。だから、品が下らない。透明感があってクセがなく、洋楽の初心者には聴きやすいのだ。こだわりのある人は、物足りないかもしれないけど。
JASON DERULO(ジェイソン・デルーロ)
宇宙規模で広がるラブ・ソング
ジェイソン・デルーロを聴いてまず思うのが「スケールがでかいな」ということ。歌詞の内容が、というわけじゃない。音の広がり、音場作りがなんとなく“宇宙空間”を思わせる。ただし、宇宙のように無限に“音の空間”が続いているようで、じつは彼の作り出した世界に聴く者はガシッと閉じ込められてしまう。
そんなふうに楽曲に浸っているうちにやがて感じるのは〈懐かしさ〉。1980年代のサウンド。ジェイソン・デルーロはまだ20代の若者だけど、やっていることは、いわばレトロ・フューチャーなのだ。
ARIANA GRANDE(アリアナ・グランデ)
甘さが濃縮された歌声
アリアナ・グランデは、ちょっとズルい。IGGY AZALEA、ZEDD、THE WEEKNDといったヒットメーカーに手伝ってもらったりもしているのだから。売れないわけがない。ひとのフンドシで相撲をとっているようなもんだ。
では、「アリアナ・グランデ」単体の部分、すなわちボーカルにだけ着目してみるとどうだろう? これが良いのである。ハスキーボイスのようでいて、すなわち苦いようでいて、実際は果実を口に含んでいるような“甘み”がある。要は、ボーカルだけでも(他人の胸を借りなくても)十分聴かせるわけだ。とくに高音の伸びは素晴らしく、聴く者を高みへと上げてくれる。
BRUNO MARS(ブルーノ・マーズ)
古き良き音楽を再現
曲を聴いて懐かしさを覚える点で、ジェイソン・デルーロに似ている。しかし、あちらがあくまで往年の音楽をリスペクトしつつ新しい音を作っているのに対し、ブルーノ・マーズは古い音楽そのものをやっている。そんな気がする。
ただ、当ブログが素人だから「気がする」だけで、専門家から見れば違うかも。本人もそんなつもりはないかもしれない。それでも、もう少しこの方向で突っ込んで考えてみる。すると、ここで挙げているほかのアーティストからは感じられない情感、“心の叫び”のようなものが聴こえてくる。これがもしかすると、昔の音楽にあって今のヒット曲にはない要素なのかもしれない。
KATY PERRY(ケイティ・ペリー)
貫禄たっぷりのボーカル
ケイティ・ペリーの歌声を聴くと、その重量感に圧倒される。聴く者を包み込む──というよりも、ボーカルという“魔法の絨毯”にむりやり乗せられ、体ごとどこかへ運ばれてしまうような。そんなパワー、そんな馬力に満ちている。
体が運ばれるのは、もちろん比喩。実際は体はそのままで心だけがが引っ張られる感じ。べつの言いかたをすれば「元気がわいてくる」。ケイティ・ペリーには静かな曲もあるけれど、持ち味はやはりこの〈高揚感〉なのだ。
MEGHAN TRAINOR(メーガン・トレイナー)
ボムボム音は体(たい)を表わす
メーガン・トレイナーの曲には、つねに“ボムボム音”がつきまとう。これはデビュー曲「ALL ABOUT THAT BASS」だけでなく、ことごとくそうなのだ。この曲の歌詞は「肥満体型を悩むのではなく、むしろチャームポイントとして押し出そう」という内容。“ボムボム音”が彼女の体型を表わしているのは言うまでもない。
メーガン・トレイナーは、音楽用語では「ドゥワップ」と説明される。けれど、音楽的素養がないとピンとこないし、用語の意味だけを知っても仕方がない。むしろ彼女の〈音〉の驚き、インパクトを味わうのがメーガン・トレイナーの聴き方になる。そんな〈音〉の魅力こそが「ドゥワップ」なのだ──。そう解釈しても、まるっきり見当はずれでもあるまい。
ED SHEERAN(エド・シーラン)
とにかく歌とギターのハーモニー
エド・シーランにはテンポの速い激しい曲もあるのだけど、よく聴くと演奏している楽器が意外に少ない。つまり、あくまで楽曲の主体はボーカルで、伴奏はそれを引き立てる役割を負っているに過ぎない。そんなポップスの基本(といっていいのかわからないけど)を守っている。
とはいえ、添え物だったはずのギターにも存在感がある。その旋律に耳を傾けると心地よさを覚える。メロディーとボーカルの美しいハーモニー。これがエド・シーランの魅力だ。
CARLY RAE JEPSEN(カーリー・レイ・ジェプセン)
まさに弾けるポップス
洋楽の素人である当ブログから見ると、洋楽の多くはあまりメロディーを重視していないように思える。一方、J-popは主旋律に重きを置く。邦楽と洋楽のポップスの違いは、そこにある気がする。
そんななか、カーリー・レイ・ジェプセンはメロディーラインが面白い。彼女の魅力はこれに尽きる。まさに絵に描いたような歌謡曲。だから、J-pop好きにもウケる。日本のCMソングとしてよく採用されているのも、うなずける。
5 SECONDS OF SUMMER(ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー)
歯止めの効かないサウンド
ファイヴ・セカンズ・オブ・サマーはJ-popである──。何を言っているかわからないと思うが、つまりはそういうこと。英語で歌っているから洋楽に聴こえるが、たとえば日本のアニメの主題歌として流れてきてもなんの違和感もない。音楽に国境はない。それを地でいくバンドだ。
さらに付け加えるなら、ファイヴ・セカンズ・オブ・サマーの魅力は〈若さ〉だと思う。ほかのアーティストなら無難に手堅く仕上げるところでも、歯止めを効かせていない。合格点の80点を目指すのではなく、200点を取ろうとしてヘタを打ってしまう危うさ。もちろん、実際は失敗せず、どの曲もしっかり聴かせるのだから「たいしたもんだ」と感心することしきりだ。
J-popっぽい洋楽の選び方
ヒットチャートをチェックする
ここまで、洋楽初心者向けのアーティストを挙げてきた。「なんだ、最近ヒット曲を出した人たちを並べているだけじゃん」と思ったかたもいよう。
ご慧眼。しかし、それは当たり前なのだ。
そもそも洋楽にどんな音楽があるか。それを初心者が知るには、まずはヒットチャートを見るのが手っ取り早い。
そして、チャートに入る曲は、多くの人が良いと思えるように仕上げられている(だから、ヒットする)。そういう曲はJ-pop好きが気に入る可能性が高いわけだ。
J-popらしさを考える
J-popっぽい洋楽を探すには、そもそも「J-popらしさとは何か」を知っていなければならない。しかし、いくら音楽好きでも、J-popの音楽性を一言で言い表わすのは簡単ではないだろう。
とはいえ、ここで足踏みをしているわけにはいかない。なんとか「J-popらしい音楽」の特徴を考え出してみよう。
あくまでボーカルが主役
J-popと比べると、洋楽は音の広がり、音場づくりに重きを置いている。そこでは、ボーカルは楽曲を構成する要素のひとつに過ぎない。
一方、J-popはボーカルがあくまでメインだ。編曲だけでなく、ボーカリストの個性やタレント性を全面的に押し出し、そこから楽曲の世界観をつくりあげていく。
メロディーラインを重視
ボーカルが主役だから、J-popはやはり主旋律が美しい。音の運びや鼓動で聴く者に驚きを与える。これもJ-popの魅力だ。
ギターかピアノがかっこいい
誰にでもはっきりとわかるJ-popの特徴が、この「ギターやピアノのかっこよさ」だと思う。J-popというのは、〈ポップス〉だけでなく、〈ロック〉や〈ジャズ〉、ときに〈クラシック〉のエッセンスも含んでいる。それを、ギターやピアノという楽器が表現している。当ブログは、そんな仮説を立てている。
まあ、そんな理屈をこねなくても、ギターやピアノががんばっていると、単純に心地よいし、胸が躍る。
だから、J-pop好きが洋楽を探すときは、「ボーカリストのキャラが立っていて、ギターやピアノがかっこいい曲」を探せばいい。
これまでJ-popしか聴いていなかった人、洋楽になじみのなかった人がこの記事を読んで、音楽人生を充実させるのに少しでも役立ていただければ幸いだ。
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