畑村洋太郎『回復力 失敗からの復活』を読んで生き延びろ

〈失敗学〉の第一人者・畑村洋太郎先生による「失敗したあと復活する」ための本です。

会社や学校、家庭で失敗し、落ち込み、うつ状態になる。これは誰にでも起こり得ることです。最悪の場合、うつ病になり命に関わることもあります。

そうならないための方法が述べられているわけですが、個人的にとくに有効だと思ったのが「逃げる」ということです。

失敗しても、すぐに対処しようとせず、ひとまず「逃げる」。なぜなら、失敗した直後は、適切に対処できるような力は残っていないから。まずは逃げて、回復を待つ。

ただの精神論やスピリチュアルな観点から“やる気を出す”方法を述べた本は他にいくらでもあります。しかし、畑村先生のように、きちんと学問として研究している人が主張すると、もっと説得力があります。

また、この本では、個人レベルの「失敗」のほかに、会社レベルの「失敗」(最近の例で言えば“偽装”とか)における「回復」のしかたも解説しています。

しかし、この部分は企業側の視点ではなく、あくまで消費者・ユーザー側の視点で読むべきではないかと思いました。

会社の「失敗」とその「回復」には、〈社会〉を正確に捉える目が必要です。そのためには、これまで正しいと思われてきた既成概念を捨て、自分の頭で〈理念〉を作ることが必要であると、この本では説いています。

こういう人たちの多くは、「閉塞感」という言葉を口にしながら、社会のシステムが変わったことを大いに嘆いています。しかし、これは「オレがキリギリスでいられなくなったのは社会のせいだ」と言っているように聞こえてしまいます。

以前にも書いたように、これからの時代、「自分を変える」「社会を変える」の両方が求められると考えています。

この本は、そのための参考になる良書といえます。

  • コメント: 0

ケーティ・ペリー「ロアー」でガオー!ってしたい

大橋巨泉『「第二の人生」これが正解!』はほんとに正解なの?

関連記事

  1. ブログの記事をまとめた本『ぎゃふん5』の電子書籍…

    あけましておめでとうございます。この「ぎゃふん工房の作品レビュー」も今日で1…

  2. 『かーそる』

    電子雑誌『かーそる』とは良い名前をつけたもんだ

    『かーそる』は、セルフ・パブリッシングの電子雑誌だ。同誌の「創刊にあたって」…

  3. 横山秀夫『64(ロクヨン)』は“横山作品にハズレ…

    昭和64年に起きた誘拐殺人事件を巡る警察内部の抗争を描く、横山秀夫『64(ロ…

  4. 『少女幻想譚』

    【敵情視察】伊藤なむあひ『少女幻想譚』が〈隙間社…

    〈敵情視察〉は、セルフ・パブリッシングの人気作・話題作から、美味しいところを…

  5. 『ゲーム・レジスタンス』表紙

    『ゲーム・レジスタンス』で想い出す原田さんとのた…

    『ユーズド・ゲームズ』『ゲーム批評』『CONTINUE』『ゲームサイド』とい…

  6. 黒沢清+蓮實重彦『東京から 現代アメリカ映画談義…

    黒沢清と蓮實重彦の“師弟対談”で、まあこれほどの映画のプロ(いいかえれば「映…

  7. オウム真理教の裁判を見つめる森達也『A3』を読ん…

    森達也『A3 エー・スリー』は、オウム真理教の裁判に迫るドキュメンタリーだ。…

  8. 皮算積人『子連れ中年っ!(魔法中年っ!シリーズ2…

    自分の書いている小説『天使の街』に似ているセルフ・パブリッシングの作品を“敵…

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

このサイトは……?

映画・音楽・ゲーム・本など、いろいろなジャンルの作品をみなさんといっしょに楽しむ〈ネタバレなし〉ブログです。フリーランス・ライターのユニット〈Gyahun工房〉が趣味を全開にしてお届けしています。

Gyahun工房のバナー

おすすめの記事

  1. 『龍三と七人の子分たち』イメージ
  2. ponysmasher
  3. 『ぎゃふん8』リリース
PAGE TOP