「毎日がつまらない」「どうも満たされない日々を送っている」。そんなふうに“なんとなく不幸”を感じてしまうことがあります。
幸福感や充実感を持てない理由は、知らず識らずのうちに〈幸福〉とは逆のことをしているからかもしれません。
たとえば、「自分を他人と比べる」こともそのひとつ。
自分より華やかな人生を送っている人を目にすると、ついつい〈嫉妬〉してしまう。「この人はこんなに成功しているのに」「すごく楽しそうなのに」「それにひきかえ自分は……」とココロを揺さぶられ、やがて暗い気分になっていってしまう。
「他人と比べなければいい」「気にしてはいけない」「嫉妬なんてするな」と言われても、〈感情〉は自分でコントロールできません。人生において〈嫉妬〉することはどうしても避けられないようです。
〈嫉妬〉にかられてどうしようもないとき、私は『あそびあそばせ』の本田華子のふるまいを思い出すようにしています。
〈嫉妬〉のココロがこの世ならざる反応に
『あそびあそばせ』の第7話「CONTENTS 26 おっぱいの悲劇」では、華子・オリヴィア・野村香純の3人が家庭科の課題に取り組んでいます。香純はシャツづくりに挑戦したのですが、いざ完成品を着込んでみると、自分の胸が大きすぎるためにボタンがはめられなくなってしまいます。
その様子を見ていた華子がココロのなかでこう言います。
「そんなんなるん?」
声:[本田華子]木野日菜
『あそびあそばせ』第7話「CONTENTS 26 おっぱいの悲劇」
©涼川りん・白泉社/「あそびあそばせ」製作委員会
華子の表情は尋常ではないのですが、声も金切り声というか、小動物の断末魔というか、この世のモノではない感じです。
華子は自分の胸が小さいことにコンプレックスを抱いているため、〈嫉妬〉のあまり香純の様子に異様な反応を示したわけです。
自分の〈感情〉を“明後日の方向”に向ける
華子のふるまいから、なにが学べるのでしょう?
それは、「自分の負の〈感情〉を他人にぶつけない」ことだと思います。
「あいつが成功しているのは、裏で悪いことをしているからだ」「たくさん金を儲けているのは実力じゃない、ただ運がよかっただけだ」などと、往々にして自分の〈感情〉を素直に受け止めずに、他人の行動や境遇に意識を向けてしまいがちです。頭で考えるだけならまだしも、SNSなどでぶちまけるような攻撃的な行動をとってしまいそうになることもあります(なるべく慎むようにはしていますが)。
自分の負の〈感情〉を他人にぶつければ、他人を傷つけてしまうという害もさることながら、なにより自分自身のココロを壊すことにつながってしまいます。まさに「知らず識らずのうちに〈幸福〉とは逆のことをしている」わけです。
まずは自分が〈嫉妬〉している事実を受け入れることから始めたいものです。
〈嫉妬〉そのものは悪いことではないかもしれません。自分には追い求めている〈理想〉があり、〈理想〉と〈現実〉のギャップが、〈嫉妬〉として表われているともいえます。
負の〈感情〉は他人に対してではなく、“明後日の方向”にぶつけるのです。
具体的には華子のように、
そんなんなるん?
と、〈嫉妬〉を極限までにデフォルメしてしまう。自分の〈感情〉を「茶化す」「ギャグにしてしまう」と言い換えてもいいかもしれません。
そうすると、不思議なことに自分の〈感情〉に素直に向き合えるようになります。そして、華子の顔を(アニメを観たら声も)思い出して、笑いがこみあげてきます。
いつの間にか、ココロに平穏を取りもどせます。
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