“クソ仕事”に取り組むときは『エヴァ』戦自師団長の心境になろう

“クソ仕事”の〈真実〉を知れば、精神的な負担が和らぐ。

ふつうの仕事人ビジネスパーソンであれば、“クソみたいな仕事”に取り組まなければならないこともあります。「なぜこんな面倒なことをしなくちゃいけないんだ!」とパソコンのキーボードを叩き壊したくなるような、なんのおもしろ味のない単純作業などです。

何度も往復する担当者とのメールのやりとり。Excelにひたすら数値を打ち込んでいくだけの入力作業。フリーランスなら確定申告なんかも“クソ仕事”と思っている人がいるかもしれませんね。

目の前にある“クソ仕事”を片づけなければ、にっちもさっちもいかない。そんなときは、『新世紀エヴァンゲリオン』劇場版に登場する戦略自衛隊(戦自)の師団長と副長のやりとりが、その場をしのぐヒントになるかもしれません。

『エヴァ』の映画、春と夏のちがいは?

ここでとりあげるのは、2021年に完結した『ヱヴァ新劇場版』ではなく、1997年に公開された旧劇場版です。

主人公たちの所属する組織(ネルフ)が密かに進めていた〈人類補完計画〉。その発動を阻止するため、戦自がネルフ職員を次々と抹殺していきます(真相は逆で、〈人類補完計画〉を発動するために戦自が投入されたのですが)

作戦が開始されてからしばらくすると、戦自の師団長と副長がこんな会話を交わします。

師団長「意外と手間取るか」
副長「われわれに楽な仕事はありませんよ」

声:[師団長]沢木郁也 [副長]松本保典

『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』
©カラー

ネルフの職員たちは、人間を相手にする戦闘には慣れておらず、戦自の隊員たちに一方的に殺されていくだけなのですが、それでも「意外と手間取」っているわけです。

さて、『エヴァ』旧劇場版には、1997年の春に公開された『シト新生』と、同年夏に上映された『Air/まごころを、君に』の2つがありました。師団長と副長の会話シーンは春と夏の両方に入っていますが、声優さんの演技のニュアンスが両者で微妙に異なっていた記憶があります。

春のほうは「(ちっ!)意外と手間取るか」と、わずかながら悔しさをにじませているのに対し、夏は「(ほう)意外と手間取るか」と余裕たっぷりのご様子。春は登場人物のひとりが自分の心情を吐露しただけの場面といえますが、夏は戦自の残虐性がより強調され、物語に深みを与えているシーンになっています。

もっと深読みをするならば、春は「手間取る」ことは、まさしく「意外」だったのに対し、夏は「意外に手間取る」ことも「想定内」だった。そんなニュアンスも読みとれるのです。

さらに、師団長の言葉を受けた副長の「われわれに楽な仕事はありませんよ」。こちらのセリフにも注目してみます。

春は、師団長のぼやきに対し副長が軽く反論しているような感じですが、夏は逆に追認しているような雰囲気があります(「あなたのおっしゃるとおり、楽な仕事じゃないですね」)。つまり、夏のほうは「われわれに楽な仕事はありませんよ」ということを、師団長も重々承知している。そんな表現になっていると思うのです。

クリエイティブな仕事の8割は“クソ仕事”?

私たちが“クソ仕事”に取り組むときは、師団長の境地になるといいのでは? これが今回のご提案です。

どういうことでしょう?

「われわれに楽な仕事はありませんよ」と、目の前の仕事が“クソ”であることをあらかじめ認識しておく。「意外と手間取る」ことを想定しておくのです。“クソ仕事”の〈真実〉を知っておく、と言い換えてもいいでしょう。

そもそもなぜ私たちは、ある種の仕事を“クソ”だと思うのでしょうか?

それは、おそらく仕事に〈創造性〉を感じられないから。

たとえば、ある企画を考えているとします。何日も頭を悩ませて、ようやくアイディアが浮かんだ。どんなに「手間」がかかったとしても、こういうのは“クソ仕事”とは思わないはずです。“生みの苦しみ”として、むしろ達成感を覚える。「クリエイティブな仕事をしているなあ」と充実感を持てるのではないでしょうか。

では、〈創造性〉のない“クソ仕事”は、この世から撲滅すべきなのでしょうか?

少し視点を変えてみると、〈創造性〉のない仕事は、「〈創造性〉のある仕事を行なうための土台づくり」と考えることもできます。

「企画を考える」というクリエイティブな仕事に取り組むには、依頼者が何を求めているかを聞き出さなければなりません。何度もメールをやりとりすることもあるでしょう。アイディアの方向性を決めるために、ひたすらデータを入力し分析するケースもあるかもしれません。

「企画」というと、じつにクリエイティブな香りが漂ってきますが、仕事の内容を細かく分解していくと、地味で単純で面倒くさい、なんの〈創造性〉のない作業も含まれているものです。感覚的には、クリエイティブといわれている仕事の中身は、8割がた“クソ”といえるのではないでしょうか。

そんな“クソ仕事”の〈真実〉を知ることで、

「意外と手間取るか」
「われわれに楽な仕事はありませんよ」

という境地に至ることができれば、“クソ仕事”に取り組む際の精神的な負担も和らぐ気がします。

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