「ここから先の展開は絶対に読めない」という予告編の挑発に乗って映画館に行こうとしたのですが、結局見逃してしまったので、レンタルブルーレイで観賞しました。
賛否両論ある予告編ですが、正しい宣伝のありかただと思う。だって、「観たい」と思わせたのですから。
しかし、ミステリーなどのように物語展開をひねり、観客をいい意味で騙すようなタイプの映画なのかといえば、違います。
予告編で隠そうとしている要素というのは、最初の犠牲者が出た時点でなんとなく想像がつきます。
ですから、『ソウ』とか『ステイ』とか『“アイデンティティー”』とか、はたまた、かつてのシャマラン作品のような「最後にあっと驚く大どんでん返し」を狙った映画ではない、ということです。いたずらに予告編に躍らされて「この先の展開を予想してやるぞ!」と意気込みすぎると、本作品の魅力は堪能できないかもしれないのです(その意味では予告編は罪作りともいえます)。
この映画を「ホラー」と呼ぶのかどうか、ちょっと躊躇してしまうものの、かといって「ホラー」をおちょくっているとか、軽視しているとかいうことはないし、けっしてホラー好きを裏切るような映画ではありません。
「こういうの観たかったんだろ? オレたちもだよ」というホラー映画に対する制作者の〈愛〉が感じられますし、もちろん私たちもそれに同調できます。
そして、「こういうの観たかったんだろ?」という想いが、この映画の中でどんな役割を果たしているかを考えると、なかなか計算し尽くされた設定であることがわかります。
過去の作品をリスペクトしながら、自分たちのやりたいことをやり、まったく新しい作品を創り出す。なおかつ観客も満足させる。
まさに作り手にも受け手にも幸福をもたらす傑作といえましょう。
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