映画『キャビン』の感想を〈ネタバレ〉なしで書く

「ここから先の展開は絶対に読めない」という予告編の挑発に乗って映画館に行こうとしたのですが、結局見逃してしまったので、レンタルブルーレイで観賞しました。

賛否両論ある予告編ですが、正しい宣伝のありかただと思う。だって、「観たい」と思わせたのですから。

しかし、ミステリーなどのように物語展開をひねり、観客をいい意味で騙すようなタイプの映画なのかといえば、違います。

予告編で隠そうとしている要素というのは、最初の犠牲者が出た時点でなんとなく想像がつきます。

ですから、『ソウ』とか『ステイ』とか『“アイデンティティー”』とか、はたまた、かつてのシャマラン作品のような「最後にあっと驚く大どんでん返し」を狙った映画ではない、ということです。いたずらに予告編に躍らされて「この先の展開を予想してやるぞ!」と意気込みすぎると、本作品の魅力は堪能できないかもしれないのです(その意味では予告編は罪作りともいえます)。

この映画を「ホラー」と呼ぶのかどうか、ちょっと躊躇してしまうものの、かといって「ホラー」をおちょくっているとか、軽視しているとかいうことはないし、けっしてホラー好きを裏切るような映画ではありません。

「こういうの観たかったんだろ? オレたちもだよ」というホラー映画に対する制作者の〈愛〉が感じられますし、もちろん私たちもそれに同調できます。

そして、「こういうの観たかったんだろ?」という想いが、この映画の中でどんな役割を果たしているかを考えると、なかなか計算し尽くされた設定であることがわかります。

過去の作品をリスペクトしながら、自分たちのやりたいことをやり、まったく新しい作品を創り出す。なおかつ観客も満足させる。

まさに作り手にも受け手にも幸福をもたらす傑作といえましょう。

『荒木飛呂彦の超偏愛! 映画の掟』を自称・小説家が読んだ感想

『まんが道』はすべての人の〈バイブル〉だ

関連記事

  1. 『バイオハザード ヴィレッジ』は最後に“ゾンビゲ…

    『バイオハザード ヴィレッジ』は最後に“ゾンビゲーム”だったことがわかる—…

  2. 『呪怨:呪いの家』が甦らせた“呪怨のもうひとつの…

    『呪怨:呪いの家』について語るとき、下のスクリーンショットがよく使われる。…

  3. 『おおかみこどもの雨と雪』を独身・子なしの“負け…

    なんか“家族の絆”みたいなのを描いているらしいよ。え〜、独身で子どももいない…

  4. 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の謎を徹底的に解…

    モノゴトは別の角度から眺めると、新しい光景が見えてくることがある。『ヱヴァ…

  5. 『闇動画』

    ホラーマニアが震えた『闇動画』の最恐エピソード1…

    『闇動画』は、巷にはびこる実話系〈心霊・オカルト〉映像作品の中で、『ほんと…

  6. クロユリ団地

    『クロユリ団地』は前田敦子の名刺代わりの映画

    『リング』『女優霊』の中田秀夫監督だから期待するなというほうが無理ってもんで…

  7. 『劇場版 零』スチール

    射影機が登場しない『劇場版 零~ゼロ~』なんて『…

    原作ゲームの『零』シリーズは、好きなホラーゲームのうちのひとつだ。その映画…

  8. 「時間とお金のどちらが大切か」その答えを僕たちは…

    〈時間〉が〈お金〉になった世界の悲劇朝。男は目を覚ますと、腕の時計…

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (0)

  1. この記事へのコメントはありません。

ぎゃふん工房とは……?

Gyahun工房のアイコン

〈ぎゃふん工房〉は、フリーランス ライター ユニット〈Gyahun工房〉のプライベートブランドです。

このサイトは、収益を目的とせず、みなさんといっしょにさまざまなジャンルの作品を楽しむために制作しています。

プロフィール

このサイトのコンテンツは無料でお楽しみいただけますが、もし内容がお気に召しましたら、下のボタンより“コーヒー代”のご寄付をお願いします。

『天使の街』ミュージックビデオ

最近の記事

PAGE TOP