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AKB48『鈴懸』を聴いた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの

音楽

AKB48の新曲『鈴懸』は、絵に描いたようなAKB48というかアイドルグループが歌う曲という感じで、卒がありません。

しかし、なんでしょう、とても良い曲だと思えるのだけど──作曲は織田哲郎氏だから個人的にもドンピシャ感があるのだけど──なぜか満足感が得られません。でも、その理由がわからない。「僕なりに何日か考えた上」でわかったことは──。

音楽のリズムやメロディーというものには、適度な〈意外性〉が必要です。最初から最後まで音がずっと予想の範囲内で収まっていたら凡庸な曲だと思ってしまうでしょう。

この『鈴懸』の前の『ハート・エレキ』や『恋するフォーンチューンクッキー』は、いわば“変化球”つまり〈意外性〉のある曲でした。ここでいう〈意外性〉は、リズムやメロディーといった「ひとつの曲の中における音の運び」だけでなく、リリースしていく楽曲のラインナップにも必要である──ということなのではないでしょうか。

そう考えると、最初に述べたように『鈴懸』は意外でもなんでもない。だから手放しで喜べない。

……と思ったのですが──。

たしかに音楽に〈意外性〉は必要ですが、その一方で〈必然性〉も大切なのではないか、とも思います。なぜなら、聴いている音が全編にわたり予想外なもので満たされていたら不協和音になってしまう。ある程度、聴いている者が期待した部分に音が鳴るから快楽が得られる。音楽にはそんな側面もあるはずです。

前の2曲が「意外」だったから今回の『鈴懸』は予想の範囲に収めた、とも考えられるわけです。

そうだとすると、なぜ今回は心の底から良かったと思えないのかということの説明はつきません。話は振り出しに戻ってしまいます。

その理由を「僕なりに何日か考えた上でのやや気恥ずかしい結論のようなもの」。それは──。

『ハート・エレキ』と『恋するフォーンチューンクッキー』が良すぎた。

赤根夕樹

赤根夕樹

ミュージックビデオ評論家(自称)。このサイトでは音楽系のレビューを担当。洋楽・邦楽・アニソンと、さまざまなジャンルの音楽をつまみ食いしている。名前の由来は夜見野レイの小説『天使のしるし』の主人公・赤根夕子から。

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ぎゃふん工房(米田政行)

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〈ぎゃふん工房〉はフリーランス ライター・米田政行のユニット〈Gyahun工房〉のプライベートブランドです。このサイトでは、さまざまなジャンルの作品をレビューしていきます。

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