日本のおすすめホラー映画をお探しのあなたへ最恐の15作[2019年改訂版]

ホラー

ホラー好きを自称するならば、日本のホラー映画は観ておきたい。「思いっきり怖い映画を観たい!」と思うなら、やはり日本のホラーをオススメしたい。

当ブログが観たなかで「もっとも怖い」と評価できる最恐の15作を紹介していく。

恐怖したあと、きっと満足感に浸れるはずだ。

古い映画がぼくたちにトラウマを植えつけた

当ブログのホラー体験は40年ほど前にさかのぼる。子どものころテレビで観た1本の映画に、強烈な恐怖心を植えつけられた。そして、〈恐怖〉という不思議な感情に魅了されていったのだ。

【1】『震える舌』

『震える舌』

少女が病魔と闘う姿から目をそらしてはならない

泥遊びをしていた5歳の少女が指にケガをする。そこから病原菌が入り込み、少女に恐るべき症状をもたらす。

本作は厳密にはホラー映画とはいえないかもしれない。両親や医師たちが病気を治そうと奮闘する話だからだ。しかし、少女が苦しむ姿はあまりに悲惨で、同情や哀れみを通り越し、観る者に恐怖を与える

そして、いつしかこんな感情がわきあがる。「もういっそのこと殺してラクにしてあげて!」。そんな自分の非情さにまた恐怖する

だが、主人公の少女はあきらめない。観る者が目をそらしても、持ち前の生命力で懸命に病原菌と闘う。意識はなく話をすることもできないが、必死に生きようとする

だからこそ、最後まで行く末を見届ける義務がある。観るのが苦痛で耐えられなくても。

「チョコパンが食べたい」。そのコトバを聞くまでは、決して観るのを止めてはならない。

震える舌
監督野村芳太郎
脚本井手雅人
原作三木卓
出演渡瀬恒彦・十朱幸代・若命真裕子・中野良子・越村公一
公開年1980年
©1980 松竹株式会社

かつてぼくたちは幽霊が怖かった

ぼくたちに恐怖を覚えさせるもの。その筆頭はやはり〈幽霊〉だろう。日本のホラー映画に登場する〈幽霊〉は、あからさまに怖がらせることをしない。存在をはっきりと感じさせないのに、じわじわと観る者の心に忍び寄る。だから、映画を観終わったあとも、自分の部屋のどこかに「いる」のではないか。そんな気がしてならなかったのだ。

【2】『女優霊』

『女優霊』

全編にそこはかとなく漂う気色の悪さに心は落ちつかない

映画の撮影所で次々と怪事件が起こる。そこには得体の知れない何かが巣くっているらしい。

のちに『リング』でもタッグを組む、中田秀夫監督&高橋洋脚本による作品。『リング』よりも本作のほうが恐怖度は高い

本作のなかで撮影されている映画も〈死〉をあつかっていて、どことなく不気味さが漂っている。そこへ奇怪な現象が起こり、観る者の心をざわめかせる。

現象そのものは、いまでは目新しいものではなく、強い恐怖心を覚えるところまではいかないかもしれない。だが、王道な心霊表現だけに、盤石な気色の悪さを味わうことになる。

この映画そのものが呪われてしまっているような感覚。それを観終わったあとも拭いされないところに本作の魅力がある。

女優霊
監督中田秀夫
脚本高橋洋
出演柳憂怜・白島靖代・石橋けい・大杉漣・菊池孝典
公開年1996年
©バンダイビジュアル/WOWOW

【3】『リング』

『リング』

呪いのビデオと〈貞子〉のふるまいは色褪せない

見ると死ぬと言われている「呪いのビデオ」を再生してしまう。「呪い」の謎を説くため奮闘する。

いまや日本のホラー映画の象徴ともいうべき〈貞子〉が登場する。あまりに有名な作品。

小説の映画化だが、じつは原作のほうはあまり怖くない。「呪いをかけたのはだれか?」「呪いはどうすれば解けるのか?」といったミステリー・サスペンスの色合いが濃いからだ。

それを見事に心霊ホラーとして仕上げたところが、中田秀夫監督&高橋洋脚本の功績といえる。

『女優霊』と同様、全編に不気味さが漂い、一時たりとも気が抜けない。突然大きな音が鳴る「ビックリ表現」に注目しがちだが、鑑賞中、つねに緊張感を強いられるところに魅力がある。

とくに、「呪いのビデオ」の映像と、ラストの〈貞子〉のふるまいは、映画史に残るホラー表現。公開から20年以上経ったいまも色褪いろあせていない。

リング
監督中田秀夫
脚本高橋洋
原作鈴木光司
出演松嶋菜々子・真田広之・中谷美紀・沼田曜一・雅子
公開年1998年
©1998「リング」「らせん」製作委員会

幽霊の次は人間が怖くなった

何作もホラー映画を観ていくうちに、人こそが恐怖の対象なのだと気づいた。得体の知れないのは、あの世からやってくるモノではなく、この世界で生きる人間そのものだったのだ。

【4】『CURE』

『CURE』

荒唐無稽な設定が現実味を帯びてしまった

首を十文字に切り裂く連続殺人事件が発生。主人公の刑事が捜査を開始する。

事件の被疑者はすぐに逮捕される。“黒幕”らしい人物も中盤で捕まる。だが、そこですべてが解決するわけではない

「なぜ殺したのか?」。動機がわからない。“霊”にかれたとか、そんな超常的な原因でもない。だからこそ、観る者の住む現実世界でも起こり得るのではないか。自分もちょっと足を踏みはずせば殺人を犯してしまうのではないか。そんな不安を覚えるところに本作の〈恐怖〉がある。

本作の企画段階では「設定が荒唐無稽すぎる」ため、なかなか映画化が実現しなかったという。しかし、社会の状況が変わり「これは危ない。リアルすぎる」という評価に変わったらしい。

それほどまでに本作の〈恐怖〉には現実味がある

CURE
監督黒沢清
脚本黒沢清
出演役所広司・萩原聖人・うじきつよし・中川安奈・洞口依子
公開年1997年
©1997 角川映画

【5】『オーディション』

『オーディション』

「ふつうのドラマ」が残虐な拷問へと変わる

自分の再婚相手を探すため、映画のオーディションを開催。選んだ女はサイコだった。

発端こそやや特異なものの、とどのつまりは「男と女の恋愛」の話だ。日中にテレビで放映してもよさそうなほど、ふつうのドラマが展開していく。「恋の行く末はどうなるの?」。そんな想いで観つづけることになる。

だが、監督はあの三池崇史なのだ。「ふつうのドラマ」で終わるわけがない

ちょっとずつ女が異常さを見せはじめ、ラストには「怖い」というより「痛い」シーンへと発展していく。

怖いのはこの残酷描写だと思いがちだが、恐怖の源泉はあくまでこの女の〈情念〉にある

オーディション
監督三池崇史
脚本天願大介
原作村上龍
出演石橋凌・椎名英姫・沢木哲・國村隼・石橋蓮司
公開年2000年
©1999 Omega Project Inc.

新しい幽霊がぼくたちを震えさせた

もっとも怖いのは〈幽霊〉である——。日本のホラー映画が見出したこの法則は現在にいたるまで変わらない。けれど、「どんな〈幽霊〉が出てくるか?」という点は変化した。新しいカタチの〈幽霊〉に震えなければならなくなったのだ。

【6】『回路』

『回路』

幽霊たちは〈死〉より恐ろしいものを人に与える

花屋で働く主人公の女のまわりで人々が謎の失踪をとげていく。一方、大学生がインターネットにアクセスすると「幽霊に会いたいですか」という謎のメッセージを受け取ってしまう。

これまでの作品とおなじように、本作にも〈幽霊〉は登場する。だが、恨みを晴らすためとか、呪い殺すためとか、そんな甘っちょろい動機ではない。人間の社会を侵略するのが目的なのだ。

人は死ぬと〈幽霊〉になるわけだが、〈幽霊〉たちはそれを許さない。人が死ぬ前に存在そのものを消してしまうという暴挙に出る。

〈死ぬ〉よりも恐ろしいことがこの世にはあった。それが「存在を消される」ということ。

その恐怖は尋常ではない

回路
監督黒沢清
脚本黒沢清
出演加藤晴彦・麻生久美子・小雪・有坂来瞳・松尾政寿
公開年2001年
©角川大映映画/日本テレビ/博報堂/IMAGICA 2001

【7】『呪怨2 劇場版』

呪怨2 劇場版

〈幽霊〉が直接的な攻撃をしかけ命を取りにくる

「ホラー・クイーン」の異名を持つ女優が、テレビの心霊番組で“呪われた家”をレポートする。

ひと昔前(『女優霊』や『リング』)の〈幽霊〉は、姿をはっきりと見せることなく、その存在をほのめかすことで不気味さを醸し出していた(だからこそ、『リング』はラストが映える)。画面に端にチラッと映る。あれっ? と思ったときにはもういない。気のせいかも? そんなふうに表現されていた。

本作の〈伽椰子〉はちがう。あからさまに存在感を誇示する。画面には何十秒も映りつづける。気のせいなどではない。そればかりか、物理的に攻撃をしかけてくる。〈死〉への恐怖がダイレクトに表現されるのだ

『呪怨』シリーズは、もともとは清水崇監督の自主制作作品で、のちにオリジナルビデオ、そして劇場用映画から、ハリウッド映画へと発展してきた。ただし、〈恐怖度〉にはそれぞれ温度差がある。つまり、間口を広げ、より多くの人に観てもらえるよう恐怖演出に“手ごころ”を加えた作品も含まれているのだ。

この『呪怨2』こそは、シリーズのなかでもっとも高い〈恐怖度〉を味わうことができる

呪怨2
監督清水崇
脚本清水崇
出演酒井法子・新山千春・葛山信吾・堀江慶・市川由衣
公開年2003年
©「呪怨2」製作委員会

恐怖は心のなかにあるのを知った

〈幽霊〉や〈人〉に脅えつづけてきた。でも、ほんとうに怖いのは「怖い」と思う自分の心そのものだとわかった。恐怖は自分の心からやってくる。自分の心を見つめなおせば、恐怖を克服できる……はずだった。実際はもっと恐ろしいモノに出逢ってしまったのだ。

【8】『感染』

感染

「感染」というホラー要素によって正気を保てる

経営危機に瀕した病院で医療事故が発生。医師たちはそれを隠蔽しようとする。そんななか、不可解な患者が運びこまれる。

私たちは、多かれ少なかれ、現実世界と断絶したいがために映画を観る。現実逃避のひとつの手段として観る。

ところが、本作は断絶どころか、現実世界と地続きであるという違和感がずっと消えない。医療事故と隠蔽、医師不足、老人介護……。ふだんテレビや新聞のニュースで見聞きしている「嫌な感じ」がこの映画を観ているあいだ、ずっとつきまとう。

本作の核心となる“医療事故”のシーンは、医師の立ち会いのもと実際にあり得るものになっているという。フィクションだからと安心して観ているわけにはいかない。

皮肉なことだが、主題である「感染」というホラー要素によってリアリティが薄められ、観る者はかろうじて正気を保てるようになる

感染
監督落合正幸
脚本落合正幸
原案君塚良一
出演佐藤浩市・高嶋政伸・南果歩・佐野史郎・星野真里
公開年2004年
©2004 「感染」製作委員会

【9】『予言』

予言

「新聞怖い」という新しい恐怖感を味わえる

大学講師が自分の娘の死亡記事の書かれた新聞を発見する。すると、目の前にいた娘が本当に事故にあってしまう。

『リング』の中田秀夫・高橋洋にも影響を与えた鶴田法男監督作品。〈幽霊〉やバケモノの出てくる作品を多く手がけているが、本作で恐怖をもたらすのは、なんと〈新聞〉だ。「新聞が怖い」というまったく新しい恐怖感を創出している

一方で、家族愛を中心とした“心温まる”味わいを楽しめるのも本作の魅力といえる。これも鶴田監督の持ち味だ。

「〈幽霊〉がもっとも怖い」という法則にあてはめれば、〈幽霊〉の出てこない本作の恐怖度はそれほど高くはないが、新しい恐怖感を味わえる作品として一度は観ておきたい。

予言
監督鶴田法男
脚本高木登・鶴田法男
脚本協力三宅隆太
原作つのだじろう
出演三上博史・酒井法子・堀北真希・吉行和子・山本圭
公開年2004年
©2004 「予言」製作委員会

【10】『輪廻』

輪廻

静かに積みあげられた物語がクライマックスで恐怖を弾けさせる

かつてホテルで起こった大量殺人。その事件を元にした映画の制作現場で恐怖が巻き起こる。

全編に緊張感あふれる画面が連続する点は、これまでの日本のホラー映画を踏襲しているといえる。それほど派手な出来事が起こるわけではなく、かたんで見守るといった趣。

物語はやや複雑で、頭のなかを整理しながら観ていないとわからなくなる。だから、あまり激しいシーンが連続しても困る。

だが、物語は着実に静かに伏線を積みあげていく。クライマックスに向けて力を蓄えていく。

「バキッバキッ」という骨が砕かれたような不気味な音を合図に、とうの恐怖演出が炸裂する(このとき映画館が騒然となったのをよく覚えている)

まさに“呪怨”的恐怖。清水崇監督の真価を堪能できる。

輪廻
監督清水崇
脚本清水崇・安達正軌
出演優香・香里奈・椎名桔平・治田敦・杉本哲太
公開年2005年
©2005 「輪廻」製作委員会

フェイクドキュメンタリーの時代がやってきた

心霊写真や心霊映像。呪いや祟り。実在するかはわからないけど、ほんとにあったら怖い。そんな感覚を呼び覚ます映画が、日本のホラーの主流となっていく。もちろん、〈フェイク(嘘)〉であることはわかっている。けれど、「本物らしさ」「もっともらしさ」をうまく演出した作品は、ぼくたちのなかにある「ほんとにあったら怖い」という恐怖心を駆り立ててくれるのだ。

【11】『ノロイ』

ノロイ

「フェイク」とわかっていても後味が悪い

怪奇実話作家が恐るべき「ノロイ」の真相に迫っていく。

本作の公開当時、〈フェイク〉であることはうたっていなかった。アンガールズや荒俣宏、飯島愛など、実在の人物が出演するテレビ番組も流されるし、主人公の名前で検索すると、取材の進捗をつづったブログがヒットした(現在は見つからないようだ)

だから、ホントかウソか見分けられない人もいたかもしれない。いま観ても「どこまでほんとうなの?」「え? ほかはともかく、この部分だけは真実なんだよね?」と疑心暗鬼にかられるだろう

正解を言えば、もちろん、いずれも作り物だ。

だが、「全部ウソ」とわかっていても、観終わったあと、喉に魚の骨が刺さっているかのように、スッキリしないものが残る。その理由は、本作が〈人間〉という存在の恐怖を描いているからだ。

すべての怪異の原因となっているモノは、おぞましい人間の心が作り出していた。そこになんとも言えない後味の悪さを感じてしまうわけだ。

ノロイ
監督白石晃士
公開年2005年
©2005 EF/OZ/GENEON/XANADEUX/PPM

【12】『カルト』

「フェイク」を逆手にとった痛快なストーリー展開

とある番組で女性タレントたちが、霊に取り憑かれているとおぼしい家を訪れる。霊能力者に除霊を頼むが、失敗してしまう。

『ノロイ』の白石晃士監督が手がけるフェイクドキュメンタリー。『ノロイ』とくらべれば、〈ドキュメンタリー(=本物らしさ)〉は薄れ、〈フェイク(=ウソっぽさ)〉のほうに重きが置かれている。本作を本物だと勘違いする人はいないだろう。

どうせウソなんだから、おもしろいことやっちゃえ」。そんなサービス精神にあふれているところが本作の魅力だ。

「おもしろいこと」とは? それはヒーローのような霊能力者が登場するところだ。まるでマンガのようなバトルが展開する。

もちろん、ホラー映画であるからには、〈恐怖〉も忘れていない。“あの世のモノ”とおぼしき存在が姿を見せるシーンではしっかり怖がらせてくれる

さらに、物語の序盤からずっと隠されてきた真相が明らかになる場面では、なんともいえないカタルシスを味わえる。

まさに〈フェイクドキュメンタリー〉のいいとこどりをした快作だ。

カルト
監督白石晃士
出演あびる優・岩佐真悠子・入来茉里・三浦涼介・岡本夏美・林田麻里
公開年2012年
©2012 Next Media Animation Limited. All rights reserved.

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【13】『ほんとにあった!呪いのビデオ55』

日常に問答無用で入りこむ恐怖に怯えるしかない

視聴者によって撮影された奇怪な現象を紹介していく。

本作は、1999年からつづく心霊ドキュメンタリー・シリーズの老舗『ほんとにあった!呪いのビデオ』の劇場版だ。本シリーズは、おもにレンタルDVD(当初はレンタルビデオ)で観られる作品として、劇場で上映されるホラー映画とは異なる発展を遂げてきた

永い時を経て、劇場用作品として制作されたこのパート『55』は、心霊ドキュメンタリーのひとつの頂点といえる

映像が撮影されているのは、家庭用のムービーカメラ、個人の持つケータイやスマートフォン、街角や建物に設置された監視カメラなど。なにげない日常の風景を映しとった映像のなかに、ふと怪異が紛れこむ。劇場用作品のフィルムカメラとは異なり、まさに観る者の日常と隣り合わせにある恐怖が生々しく映し出されるのだ。

なんの前触れもなく日常に侵入してくる怪異に、ふつうの人間はなすすべもなく、ただただおびえているしかない。その恐怖感と絶望感。

下手な映画では、そこまでのホラー体験は味わえないだろう。

ほんとにあった!呪いのビデオ55
演出岩澤宏樹
演出補菊池宣秀・川居尚美・阿草祐己・井ノ上謙介
公開年2013年
©2013 NSW/パル企画

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【14】『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版』

登場キャラクターの言動が独特のテイストをもたらしている

さまざまな怪奇現象を追う制作会社のスタッフたちが、「足を踏み入れた者は必ず発狂してしまう村」の謎の究明に乗り出す。

『ノロイ』『カルト』の白石晃士監督作品。本シリーズもレンタルDVDを中心に展開している。

〈ドキュメンタリータッチ〉ではあるが、“ホンモノ”らしくはつくられていない。『カルト』と同様、「おもしろいことやっちゃおう」に力が入れられている

やはり登場キャラクターのふるまいが秀逸。とくに〈ディレクター〉は、「毒をもって毒を制す」とばかりに、暴力で心霊現象に対抗しようとする。その粗暴な言動は、作品に独特のテイストを加味している。

もちろん、ホラー表現でしっかり怖がらせてくれるところは抜け目ない。

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 史上最恐の劇場版
監督白石晃士
脚本白石晃士
出演大迫茂生・久保山智夏・白石晃士・宇賀神明広・小明
公開年2014年
©ニューセレクト

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バケモノどもは一筋縄ではいかない

日本のホラー映画はこれからどこへ向かっていくのか? ホラーの名手は、禁じ手のような手段で答えを出してくれた。すなわち、バケモノどもを対決させる。そこからどんな恐怖が生まれるのか。ぼくたちは予想できなかった。

【15】『貞子vs伽椰子』

おなじみのバケモノが登場するが恐怖感はまったく新しい

「呪いのビデオ」を観てしまった女子大生。「呪いの家」に足を踏み入れてしまった女子高生。ふたりを救うべく霊能力者がバケモノに戦いを挑む。

『リング』の〈貞子〉に、『呪怨』の〈伽椰子〉。日本のホラー映画を象徴するバケモノたちだが、すでになじみの深い存在となっており、もはや〈恐怖〉を覚える相手ではないはずだった。

しかし、本作は使い古されたバケモノをあつかいながら、新たな〈恐怖〉を提示する。いや。厳密に言うと「新たな」ものではない。強いていえば、1980年代のアメリカ映画のそれだ。

つまり、本作は〈貞子〉と〈伽椰子〉というまったく相いれないモノを組み合わせ、さらに日本とハリウッドのホラーという似て非なるモノを混ぜ合わせて生み出された映画といえる。

最新のホラー映画は、文字どおり古今東西の〈恐怖〉を内蔵した作品だったわけだ。

貞子vs伽椰子
監督白石晃士
脚本白石晃士
出演山本美月・玉城ティナ・佐津川愛美・甲本雅裕・安藤政信
公開年2016年
©2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

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ここで紹介したもの以外にも、もちろん傑作は数多くある。しかし、この15作を観ておけば、「日本のホラー映画」の系譜と魅力をおさえられるだろう。

この記事を参考に、みなさんがより良質なホラー体験を得られれば幸いだ。

夜見野レイ

夜見野レイ

このサイトでは、ホラー作品のレビューを担当。幼いころ、テレビで最初に観た映画がホラー作品だったことから無類のホラー好きに。ガールズラブ&心霊学園ホラー小説『天使の街』シリーズをセルフパブリッシングで執筆。ライターとしては、清水崇・鶴田法男・一瀬隆重・落合正幸・木原浩勝の各氏にインタビュー経験を持つ(名義は「米田政行」)。

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コメント

    • 匿名
    • 2015.05.24 12:22am

    ただの呪怨推しじゃねえか。おまえ監督だろ

  1. 今は〈コワすぎ!〉推しです。

    • 匿名
    • 2016.04.28 2:40pm

    監督ならこんな程度の素人レベルのレビュー書かないだろ。

    • こんな「素人レベルのレビュー」がなぜかアクセス数を稼いでいます。検索でも上位です。

    • 匿名
    • 2016.10.19 12:58am

    もっと人に知られてない物紹介してください

    • コメントありがとうございます。

      そうですね。そのほうがブログの記事にする意義があるかと思うのですが、なかなかマイナーな作品を観る時間が取れないという事情もありまして(笑)。

      コワすぎ!」「封印映像」「闇動画」あたりは「人に知られていない物」になるかな?とは思うのですが、これもメジャーですかね?

      これからもよろしくお願いします。

ぎゃふん工房(米田政行)

ぎゃふん工房(米田政行)

〈ぎゃふん工房〉はフリーランス ライター・米田政行のユニット〈Gyahun工房〉のプライベートブランドです。このサイトでは、さまざまなジャンルの作品をレビューしていきます。

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