『サイレントヒル:リベレーション』は原作のファンとしては哀しい

ホラー

原作ゲームである〈サイレントヒル〉シリーズは、〈バイオハザード〉のパクリ、二番煎じ、パチモンです。にもかかわらず、シリーズとして何作も制作され、いまなお人気を集めているのは、〈バイオハザード〉にはない独特の魅力があったからです。

それは、たとえば血や錆にまみれたステージであったり、悪夢を見ているような不快なプレイ感覚であったり。そして、もっとも重要なのが〈エロティシズム〉だと個人的には思っています。それも、おぞましい、グロテスクなそれ。

これらの要素がなくなってしまえば、ただのホラーゲームに成り下がってしまい、それこそ映画化されることもなかったでしょう。

さて、映画版の話ですが、前作『サイレントヒル』はとても面白かった記憶がありますが、今作はどうも楽しめない。

原因ははっきりしていて、上記のような〈サイレントヒル〉ならではの「独特の魅力がない」ことです。

べつにゲームと同じように血や錆、〈エロティシズム〉が必ずしも含まれていなくても構わない。でも、今作には何もない。ほかのホラー映画と同じことをやっているだけでは、観る価値はないわけです。

ゲームと映画で最強の敵として登場する〈三角頭〉にしても、ゲームの設定上、今作の主人公ヘザーの前に現れることは絶対にあり得ないので、その意味でも、原作に対するリスペクトが足りないのでは? とゲームのファンとしては哀しくなります(前作でも〈三角頭〉の扱い方はゲームと異なっているわけですが、映画として面白ければ許せるわけです)。

唯一の救いは、主人公ヘザー役の女優さんが可愛らしかったことでしょうか。服も同じだし。でも、それだけっていうのは、いただけません。

夜見野レイ

このサイトでは、ホラー作品のレビューを担当。幼いころ、テレビで最初に観た映画がホラー作品だったことから無類のホラー好きに。ガールズラブ&心霊学園ホラー小説『天使の街』シリーズをセルフパブリッシングで執筆。ライターとしては、清水崇・鶴田法男・一瀬隆重・落合正幸・木原浩勝の各氏にインタビュー経験を持つ(名義は「米田政行」)。

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〈ぎゃふん工房〉は瑞乃書房株式会社 代表取締役 米田政行のプライベートブランドです。このサイトでは、さまざまなジャンルの作品をレビューしていきます。

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