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素人がそれらしい電子書籍の表紙を作る方法を考えてみた【天使の街・創作メモ】

『天使の街』の表紙は私が作りました。本職のライター編集者としてデザイナーさんに発注することはありますが、デザインすることに関して私は素人です。今回はそんな素人でも「それらしく」見える表紙の作り方を考えてみました。

making-of-coverいちおう断っておきたいのが、『天使の街』そのものはまだ発売されておらず、したがってこれが「売れる」表紙であるかは保証できないということです。あくまで、『天使の街』の表紙画像を見て「あ、ちょっといいかも」と思っていただけた方のみ、この先にお進みいただければと思います。

この記事はぎゃふん工房の作品レビューから移植したものです。

1 イラストはプロに頼む

初っぱなから身も蓋もないですが、これで表紙のクォリティは9割がた決定してしまいます。

「電子書籍だから」「セルフ・パブリッシング(自己出版)」だから「なるべくお金をかけずに」「自前で」という考え方もあるでしょう。しかし、私はどうせ手間と時間をかけるなら、できる限りのことはしてみたいと考えています。

知り合いにプロのイラストレーターがいなくてもお願いする方法はありますので、ぜひ検討してみてください。もちろん、イラストが上手な人は自分で描いてしまってもいいでしょう。

ただ、いくらイラストが素晴らしくても、それ以外の部分で手を抜いては、やっぱり「それらしい」ものにはならないですし、せっかくのイラストがもったいないことになります。

ですから、最後の詰めの部分をどうするか。以下は、そういった仕上げの部分で気を配りたい要素を挙げていきましょう。

2 タイトルを大きく

電子書籍は紙の本とちがって、サムネイルが小さく表示されるので、タイトルは大きいほうがいい──というのはよく言われることです。タイトルが大きければ、それだけ注目してもらえる可能性も高まる気がします。

それ以外にも、じつはタイトルを可能な限り大きくすると「それらしく」見える、という効果もあるのです。

『天使の街』の場合も、限界ギリギリまで、これ以上大きくすると主人公の顔が隠れてしまう、というサイズにしています。本来はイラストよりタイトルのほうが大切なわけですから、これは理にかなっているともいえます。

3 テーマカラーに差し色を入れる

これは仕上げというよりは、イラストレーターさんに発注する段階から考えておくべきことなのですが、表紙の「テーマカラー」を決めましょう。

『天使の街』で言えば、作品が「水」とか「雨」のイメージだったので、あまり深く考えず「なんとなく全体的に青っぽい感じにしてください」とお願いしました。タイトルの文字の色もそれを踏襲しています。

じつは『天使の街』は、もともと左側の『ハルカ』しか存在せず、右の『マヨ』はあとから制作したものです。『ハルカ』が青だから『マヨ』は赤でいいかと、これまた単純な理由でカラーを決定しています。

で、差し色ですが、『ハルカ』の場合は、制服のリボンに「赤」が入っているので、これを利用して、著者名・イラストレーターの名前に「赤」を入れています。『マヨ』のほうは、マヨ先生の服の青から取っています(マヨ先生の服の色はピンクの案もあったのですが、これをしたいために青にしました)。

ファッションのことに詳しくないのですが、洋服に「差し色」の靴やバッグなんかを合わせると「ワンランク上」の着こなしになるようです。

表紙は本が着る「服」みたいなものですから、最後のひと工夫で、ぐっと締まった仕上がりにしたいものです。

4 文字要素を入れる

たとえば、小説の場合、タイトルと著者名(イラストレーター名)が入っていれば、情報としては十分ですし、それだけでも成り立ちます。しかし、プラスアルファの情報が入り込んでいると、お得感が出て、「それらしく」見えます。ただ何を入れるか、というのは悩みどころです。

紙の本のように「帯」を模した部分(色の地を敷く)を作り、そこにキャッチの文字を入れるのもありでしょう。実際、書店に並ぶ本のほとんどは、帯を前提としたデザインになっています。

『天使の街』の場合は、「TENSI no Match」「YAMINO Rei」というタイトルと著者名のローマ字を文字要素として載せています。あと、それぞれ左下にうっすらと「ぎゃふん工房」のロゴも入れました。

5 フォントにアクセント

書体の選び方はとても重要で、それ自体が高度なデザイン作業になるわけですが、ここで注意したいのは「おなじ書体で統一しない」ということです。だからといって、いろいろな書体を使ってしまうと、印象が散漫になって下品になってしまいます。そこが難しいところです。

素人ができることとしては、なるべく書体を統一しつつ、「差し色」のように、どこかにアクセントで別の書体を入れるといいでしょう。たとえば、明朝体で統一しているなら、どこかにゴシック体を使ってみます(逆に、ゴシック体を多く使っているなら、どこかに明朝体を入れる)。

『天使の街』の場合はタイトルとローマ字、さらに「キャラクターデザイン・イラスト」の文字が同じ明朝体の書体(ただし太さは若干異なる)で、著者名とイラストレーター名がゴシック体です。これをすべて明朝体で統一しても問題ないのですが、両者を並べて比較すると、書体にアクセントを加えたもののほうが印象に残ることがわかります。

本の表紙は難しいよ

本の表紙のデザインには高度な技術が必要です。たとえば、雑誌の場合なんかですと、中身とは別のデザイナーに表紙をお願いすることもあります。デザイナーとか装幀家という職業が成り立つのは、素人にはできないことだからです。

といっても、セルフ・パブリッシング(自己出版)があくまで「楽しむためのもの」であるならば、肩ひじ張らず、表紙づくりも楽しむべきでしょう。少なくとも私はそうしています。たとえば、『天使の街』のタイトル文字には、『エヴァンゲリオン』などにも用いられているフォントを使ったりして自己満足に浸っています(例の極太明朝ってやつです)。

このエントリーはあくまで遊び感覚で表紙づくりをしたいときの参考にしていただければ幸いです。

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