KE$HA『WARRIOR』こそ真の“肉食系”なのだ喰われるぜ

音楽

KE$HA(ケシャ)に対してよくなされる形容は「女豹」。日本風にいえば“肉食系”といったところか。そんな彼女の最新アルバム『ウォーリア』をレビュー!

【喰われる1】外堀から埋められる攻撃

1曲目はCDタイトルになっている「ウォーリア」(戦士)。初っぱなから挑発的だ。もちろん、それがわかっているから、相応の心の準備はしている。気持ちを整えてから、CDを再生している。

けれども、アグレッシブな伴奏が自分のまわりを取り囲み、外堀から埋められていく。退路が断たれてしまい、逃げ場がない。そんな錯覚を覚える。

完敗。こうなると、もう彼女に身を委ねるしかない。

【喰われる2】やがて聞こえる悲痛な叫び

アルバムの前半こそ、攻撃的でアグレッシブなんだけど、後半になるにつれ、悲痛な叫びが混じる。哀愁が漂うようになる。

この意外性。

もちろん、バラードではないから、心に染み入る楽曲というわけではない。けれども、前半と後半の表現の幅に、心が少し揺さぶられるのは確かだ。

【喰われる3】そして一緒に別次元へ

ダンスとロックの違い。音楽の素人なりに考えるに、前者が盛り上がるための曲、後者が魂を感じるための曲、というイメージがある。

このアルバムはまさにダンスとロックの融合で、トランス状態に持っていかれたところに、ズサっと魂の叫びが心に刺さる。その快感。

いつしか、とんでもないところに連れていかれてしまっている自分に気づくのだ。

そう、これこそが本当の“肉食系”なのだ

“肉食系”でないボクたちが“肉食系”女に出会うことで得られるものって何かな? やっぱり、ある種の“人生賛歌”、“生の悦び”なんでしょうな。

『ウォーリア』はそのことをひしひしと感じるアルバムなのである。

赤根夕樹

赤根夕樹

ミュージックビデオ評論家(自称)。このサイトでは音楽系のレビューを担当。洋楽・邦楽・アニソンと、さまざまなジャンルの音楽をつまみ食いしている。名前の由来は夜見野レイの小説『天使のしるし』の主人公・赤根夕子から。

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ぎゃふん工房(米田政行)

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