『貞子3D』を2D環境でなんとか楽しむための3つのポイント

ホラー

お急ぎの方はスルーでOK

[1]ここは作品レビューのブログである[2]「貞子」というジャパニーズ・ホラーの重要キャラクターが登場する──といった理由で、期待せずに鑑賞してみた。案の定だ。苦しい。さすがの当ブログでも、これはかばいきれない。

──といったことを何日か前にも書いた気がする。デジャブだろうか。

そもそもこの映画は3D環境で鑑賞することを前提としている。だから、2Dで見ること自体が愚の骨頂ともいえる。たとえるなら、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの「スパイダーマン・ザ・ライド」を映像だけで楽しむようなものだ。

3D環境がない場合は、2Dで観るしかない。

そこで、この作品を立体映像なしで鑑賞する場合のポイントを3つほど挙げてみよう。

[1]石原さとみを愛でる

この映画は『リング』の続編ではない。主演・石原さとみのプロモーションビデオだと思えばいい。いや、石原さとみの魅力だけに注目させるために、あえて物語をつまらなくしているのではないか。そんな邪推すら可能なのだ。

石原さとみ演じる高校教師は、ある“闇”を背負っている。この部分はおもしろい。ただ、その魅力を制作者が自覚しておらず、脚本で消化されていないのは問題がある。

だから、石原さとみの“演技”というよりは、彼女の容姿や表情に着目することが、観賞のポイントとなる。

[2]貞子の造形に驚く

「貞子」といえば「長い黒髪に白い着物」だ。本作もその法則から外れていない。けれども、大胆かつ無謀なメタモルフォーゼが施されている。

これを是とするかどうかは意見が分かれるだろう。個人的には「あり」だ。

ただ、せっかくの素材を活用しきれていない。つくづく惜しまれる。

[3]JK(女子高生)の出る学園モノとして観る

これは別に“いやらしい”意味ではない。

誰もが一生のうちで学園生活を送れるのはわずかな期間だ。学校を卒業して何年か経てば、当時の雰囲気は忘れてしまう。

だから、自分が若かりし頃のことを思い出すために、学園モノというのは、ノスタルジックな想いに浸りながら観賞したくなる。

とはいえ、主人公は高校教師だから、もっと学校のシーンが出てきてもよさそうなのに、満足できるほど描写は多くない。これもじつにもったいない。

もう貞子映画の傑作は作れない?

冒頭で述べたように、「貞子」といえばジャパニーズ・ホラーの代名詞になっている。それは『リング』という傑作があるからだ。でも、まともな作品はその『リング』しかないのも事実だ。

『リング』と同じ監督・脚本家による『リング2』は見事に失敗している。『らせん』も成功とは言い難い。『リング0』は駄作ではないが、手放しで歓迎できるほどではない。

このように、「貞子」を登場させて傑作を作るのは至難の業なのだ。だから、本作にも情状酌量の余地はある。

「3Dの劇場で観たらどうだったか」というのは想像するしかない。立体で観てもたいしたことなかったのではないかと思われる。

個人的には待っている。いつか『リング』を超える貞子映画に出会える日を。

夜見野レイ

夜見野レイ

このサイトでは、ホラー作品のレビューを担当。幼いころ、テレビで最初に観た映画がホラー作品だったことから無類のホラー好きに。ガールズラブ&心霊学園ホラー小説『天使の街』シリーズをセルフパブリッシングで執筆。ライターとしては、清水崇・鶴田法男・一瀬隆重・落合正幸・木原浩勝の各氏にインタビュー経験を持つ(名義は「米田政行」)。

関連記事

オススメ記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

ぎゃふん工房(米田政行)

ぎゃふん工房(米田政行)

〈ぎゃふん工房〉はフリーランス ライター・米田政行のユニット〈Gyahun工房〉のプライベートブランドです。このサイトでは、さまざまなジャンルの作品をレビューしていきます。

好評シリーズ

最近の記事 おすすめ記事 特集記事
  1. 『このテープもってないですか?』の恐ろしさがあなたにわかりますか?

  2. [〈社会契約論〉に対抗する死刑否定論]〈死〉がわからないから死刑を科せない

  3. [死刑否定論者が構築する死刑肯定論]自分が裁くなら死刑は正しい

  4. 神田神保町〈猫の本棚〉で ぎゃふん工房のZINEを販売!

  5. 「世界を革命する力を!」という言葉はこれからの人生のキャッチフレーズだ

  6. 関連サイト

    人生を彩るオススメの〈アニソン〉をぎゃふん工房がレビュー!

  7. 私たちはいつのまにかまちがった考えかたを身につけていた

  8. 〈考える〉ことで新しい価値を見出せば自分の人生を救済する

  9. 『天使の街』10周年! サイトリニューアル&新作制作開始

  10. 哲学者・池田晶子先生から「人生を考えるヒント」をいただく

  11. 僕のつくるZINEがAIに乗っとられた日

  12. 関連サイト

    〈心霊ビデオ〉をぎゃふん工房が独自の視点で検証・考察!

  1. 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の謎を本気で解明する[その1]何をいまさらなんだよっ!

  2. 『バイオハザード RE:4』の戦術性に隠された“ドス黒い感情”とは?

  3. 〈好き〉を極め〈仕事〉にできる文章術【著者インタビュー・Jini(ジニ)さん】

  4. 関連サイト

    リトルマガジン(ZINE)『Gyahun(ぎゃふん)』好評発売中!

  5. 『このテープもってないですか?』の恐ろしさがあなたにわかりますか?

  6. 〈フェイクドキュメンタリーQ〉の「フェイク」は「ニセモノ」ではない

  1. 名作アニメがヒント! 知的になれない人の3つの生存戦略

  2. 万策尽きた40代がいま観るべき〈お仕事アニメ〉5選

  3. おすすめ5大ホラーゲームシリーズの最後のひとつが決まらない

  4. PR

    ぎゃふん工房のニュースレターはいかがでしょう?

  5. 日本のおすすめホラー映画をお探しのあなたへ最恐の15作[2019年改訂版]

  6. 仕事で成果が上がる! 『ジョジョ(第4部)』の名言20選

TOP