『サイコブレイク ザ・コンセクエンス』は、『サイコブレイク』のダウンロードコンテンツ第2弾。前作(『ザ・アサインメント』)から引き続き、ジュリ・キッドマンを操作する。前作では、キッドマンのキャラクターとしての魅力と、謎解きの面白さを堪能した。本作はどうなのか。感想を書いていこう。
*なお、この記事はあくまでレビューであって、ストーリーや設定に関する謎解きは行なっていない。
もくじ
前作同様の良質“かくれんぼ”
本作は『ザ・アサインメント』の続きなので、基本的な要素はそのまま踏襲している。前作のポイントをおさらいしよう。
洗練された操作性
本編と異なり、主人公・キッドマンは銃などで攻撃しない。物陰に身を隠し、敵の隙を突いて脱出する。「隠れる」「移動する」といった操作がスムーズで、良質な“かくれんぼ”ゲームを楽しめる。
明らかになっていく謎
本作で起こっている怪異は、とある組織に仕組まれたもの。キッドマンはその組織の一員だ。本編で謎に包まれていたさまざまな真実が明らかになっていく。
キッドマンのキャラクター
キッドマンは本編では冷酷な人間にしか見えなかった。しかし、ダウンロードコンテンツでは、情に厚く、猫を愛する魅力的な人物として表現されている。また、女性ならではの〈二面性〉〈精神力〉〈暴力性〉がゲームに深みを与えている。
本作で新しい面白さがプラス
前作の魅力を引き継ぎながら、新しい要素も加わっている。注目すべき点を挙げよう。
心の拠りどころの〈懐中電灯〉が消える
武器を持っていないキッドマンにとって、〈懐中電灯〉は唯一の頼みの綱だった。そんな大切なアイテムを本作の序盤で失ってしまう。ここで、もっとも失望するのは、キッドマン本人ではなくプレイヤー自身だ。
しかし──。
〈懐中電灯〉の代わりに〈ケミカルライト〉が手に入る。通路に投げることで、そのまわりを照らすことが可能だ(所持数に限りはないが、一度に3つまでしか発光させることができない)。
このアイテムの登場によって、「投げ込む場所を見極める」「敵にわざとぶつけて誘導する」「壁に当てて間取りを推測する」など、新たなゲーム性が加わった。〈ケミカルライト〉を投げるのは意外に楽しく、病みつきになってしまうほどだ。
ゲームシステムを踏襲しつつ、プレイヤーを飽きさせない工夫が施されているわけだ。
武器が手に入るという恐怖
前作にも、ハンドガンで応戦する局面があった。しかし、本作の終盤では、ハンドガンはもちろん、もっと強力な武器を手にする。
ふつうのゲームなら武器を入手したら安心感を覚える。これで敵と思いっきり戦えるぞ、と。しかし、本作では逆。戦慄する。武器が用意されているのは、「ここから敵の猛攻が始まる。これで命をつなげ」という制作者からのメッセージだからだ。
ただし、焦燥感や緊張感は覚えても、本編ほどのトライ&エラーは必要ない。一発クリアは無理だとしても、数回チャレンジすれば乗り越えられる。ストレスはたまらない。そのゲームバランスが(本編同様に)心地よい。
謎解きこそトライ&エラー
本編のレビューでこう書いた。
本作はトライ&エラーを楽しむゲーム。
『サイコブレイク』は、この「トライ&エラー」こそが真骨頂だ。しかし、ダウンロードコンテンツに難所はほとんどなく、その楽しみがなくなっている。
と思ったら──。
たしかに、プレイ中に試行錯誤はあまり必要ない。しかし、プレイ後にはそれを余儀なくされる。
つまり〈謎〉の考察においてトラー&エラーが必須なのだ。
ダウンロードコンテンツでは、本編ではわからなかったことがいろいろ明らかになっていく。しかし、同時に新たな疑問もわいてくる。
当ブログは、1周目を終えたばかりで、物語の真実に到達していない。そもそも「なにがわからないのか?」すら自覚できていない。問題点をノートに書き出し、仮説を立て、ゲーム内で検証する。間違っていたら、また仮説を立て直す。今後、そんな作業をしなければならないだろう。
つまり、持論を組み立てていくのに「トライ&エラー」が必要になるのだ。
[私見]結局〈STEM〉とは何だったのか?
冒頭に記したように、当ブログは〈ネタバレなし〉のレビューであるから、謎解きは行なわない──というのは建前で、じつはまだ解明しきれていないわけだ。
この作品において重要な設定である〈STEM〉。これはいったい何だったのか? この点についてメタフィクションのレベルで軽く考察してみたい。
断片的な情報で形づくられた世界
結論からいえば、
〈STEM〉とは〈インターネット〉である
というのが持論だ。
〈STEM〉は、じつは●●●●●、被験者は●●か●●で接続される。そのことが本作『ザ・コンセクエンス』で明らかになった。
*ネタバレ防止のため、伏せ字にしました。リンク先に●●●部分を記しています。
これはまさに、われわれになじみのある〈インターネット〉を連想させる。
また、〈STEM〉の中は、そこにつながれた人々の記憶の断片で形づくられた世界。〈インターネット〉もユーザーが発信するさまざまな断片的な情報で構成されている。
両者にはそんな共通点もある。
“悪意”に満ちあふれた虚構世界
ただ、ゲーム内の虚構世界を〈インターネット〉になぞらえる考え方は、目新しいものではないだろう。
『サイコブレイク』が画期的なのは、そこで描かれる虚構世界(=〈STEM〉の中の世界)が“悪意”に満ちている点だ。それだけでなく、人の“悪意”が同調・増幅されている。そのように虚構世界を描いた作品はあまりない気がする。
同じように、〈インターネット〉も“悪意”が同調・増幅する虚構世界と言えないだろうか。
本作に向けられた“悪意”
その点をもう少し考えてみる。
本編のレビューで触れたように、『サイコブレイク』に対しては、〈インターネット〉で絶賛する声も多いが、悪評も買っている。
たとえば、「画面の上下に黒帯がある」ことを責める声がある。当ブログが把握する限り、この点を最初に指摘したのは下記の記事だ。
もちろん,ゲーム中に少々気になった点もいくつかあり,例えばゲーム画面が上下に枠のあるレターボックスとなっているため,敵との戦いのシーンや探索時に時折見にくいと感じることがあった。怖さを助長する演出やゲームの難度の一部とも捉えられるが,上下の枠がなければもう少しプレイしやすくなったはずで,個人的にはもったいないと思えた部分だ。
上の記事は、ソフトのリリース時に、ゲーム内容を紹介する目的で書かれたもので、作品を批判するのが趣旨ではない。だから、この記事を責めるわけではない。
当ブログは黒帯はまったく気にならなかった。同じように感じる人も多いだろう。もちろん、この記事のように、目障りだと思う人もいよう。それも理解できる。要は人それぞれだ。
しかし、記事を目にしたプレイヤーは、黒帯の存在に“気づいてしまった”ために、“悪意”を増殖する結果になってしまった。“悪意”の源泉となる上の記事がなければ、ここまで多くの人が黒帯をあげつらうことはなかった。そう考えられないだろうか。
ほかに「ロード時間が長い」ことを欠点に挙げる人もいる。この点は上の記事では触れていない。しかし、〈インターネット〉のどこかで誰かがそう書いたのに“同調”してしまった人が多かったのではないか?
われわれこそが〈STEM〉につながれた被験者
さらに、〈STEM〉=〈インターネット〉と考えると、下のように連想できる。すなわち、
装置につながれた被験者=ゲーム機につながれたプレイヤー
という等式だ。
じつは 〈STEM〉の中には自由に出入りできる。さらに、ダウンロードコンテンツの第3弾で、任意の人物になりきって行動できることもわかった。
まさに、本編でセバスチャンを操作し、ダウンロードコンテンツではキッドマンでプレイ。キャラクターを変えてゲームを遊んできたわれわれプレイヤー自身と、〈STEM〉に接続された被験者を重ね合わせることができよう。
〈インターネット〉の真実が謎を解く鍵
〈STEM〉を〈インターネット〉になぞらえようとする考えが制作陣にあったかどうかはわからない。しかしながら、〈STEM〉=〈インターネット〉と考えることは、『サイコブレイク』のストーリーや設定を理解するのに役立つ気がする。
〈インターネット〉とは何か? そこでユーザーが求められる振る舞いとは? 人々に何をもたらし、どんな不利益を与えるのか? 〈インターネット〉を利用する者が持つべき行動規範や倫理観と、〈STEM〉に潜り込んだキッドマンのそれを重ね合わせることで、〈STEM〉の真実、ひいては『サイコブレイク』という壮大な謎に迫れるのではないだろうか?
『ザ・エクセキューショナー』でフラストレーションを解消
そんなふうにプレイヤーが謎の解明に頭を悩ませているのを尻目に、ダウンロードコンテンツの第3弾『サイコブレイク ザ・エクセキューショナー』が配信された。
プレイヤーは、本編のボス〈キーパー〉を操作して、敵をなぎたおしていく。もはや、トライ&エラーは必要なく、向かってくる相手に武器を振り回すだけで進めてしまう。本編で血のにじむような努力を重ねた結果、ようやくクリアした難敵も、じつにあっさり倒せる。これまでたまったフラストレーションをここで一気に解消できるのが魅力だ。
トライ&エラーをしないので、戦術を立てる必要もない。本編では、ゲームオーバー後のロード時間を“分析タイム”にあてていた。本作ではそれが不要なので、ロードで待たされることはない(ちなみに、黒帯もなくなっている)。
「おまえら、こういうのが欲しかったんだろ?」という、これまた制作者からの粋なプレゼントというわけだ。
[小ネタ]ラ●ーンシティの同窓会?
以下は蛇足。
本作の主人公・キッドマンの日本語吹き替えを担当するのは甲斐田裕子氏。ご存知のとおり、『バイオハザード』シリーズのクレアの声も務めている。
キッドマンに命令を下す謎の男(ザ・アドミニストレイター)は、山野井仁氏が声をあてている。山野井氏はCGアニメ『バイオハザード ディジェネレーション』のレオンだ。
そして──。
本作のラスボス・ルヴィク役は関俊彦氏。『バイオハザード』シリーズで誰をやっているかといえば……“マッド・サイエンティスト”で、ラクーンシティの怪異を作り出した張本人であるウィリアム・バーキンだ(『バイオハザード オペレーション・ラクーンシティ』)。
これらは偶然だろうか? そんなはずはない。制作陣の遊び心によるものに違いない。
細かいところに目を向けると、そんな楽しみ方もできるという一例だ。
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こんにちわー!
コンセクエンス!金庫番パパの奮闘記!をクリアし舞い戻りました!!
コンセクエンスですが!まさしくホラーゲームの良さをサイコブレイク内で引き出していますね!
ケミカルは無限に投げられるのかよ!と言う突っ込みは置いておいて
セバスルートで素手でも楽勝だぜ!だったザコも脅威!敵よ!いないでくれ!!と願いながら進む感じ!心地よい疲労感でした!
黒猫と戯れるキッドも可愛かったですね!結局あの猫はなんだったのか?w
荒んだ生活を送っていたキッドも見れてキッドの三面性が覗けでとってもお得でした!^^
エクセキューショナー!こっちの方が実際サイコブレイクの裏部隊を描いていた気がしますねw
もっと強敵を生み出した被験者の事を掘り下げて欲しかった気もしますが!
ザコは楽勝でもボス戦は結構手こずりましたが!自分の首獲りワープはノーダメなのに、ザコの攻撃も結構
喰らってましたが!楽しかったです♪
まさかジョセフルートはアレが結末とかはやめて欲しいですがw
我々こそSTEMに繋がれていた!
マトリックスを思い出しますな!!どこからが現実で、どこからがルヴィクの悪意のだったのか!
やはり続編は必須ですな!
お友達が大体犯罪者になってしまった千葉刑事ジョセフ!w
ちなみに、セバスの木下さんはコナンでは黒ずくめのコルン!他
甲斐田さんは氷室綾!他で登場してますね!!
真実は、いつも一つとは限らないかもしれない!!w
ぜろなみさん、こんにちは。ご愛読ありがとうございます。
プレイしてからだいぶ時間が経ってしまったので、どんな内容だったか忘れかけているのですが(笑)、『サイコブレイク』の世界観や物語をつかむには、やはり『コンセクエンス』も必須ですね。
『エクセキューショナー』は、スタッフの遊び心満載で、やはり必須ですね。
『コナン』はしばらく観ていないのですが、甲斐田さんも出演されているのですね。まあ『コナン』は“日本声優名鑑”ですから、当然ともいえますね。
コメントどうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
ザ・コンセクエンスもクリアしました。
トロフィーは全然ですが。
相変わらず、物語は分かったような分かったなかったような感じです。
本編と比べてほとんどゲームオーバーにならないから楽でした。
ザ・コンセクエンスのトロフィー全獲得しました。
おおっ!? 早くもダンロードコンテンツをすべてプレイされましたか。ぜひご感想もお聞かせください。
あ、
ザ・エクセキューショナーはまだ遊んでいませんでしたが
今日遊んでトロフィーも全て獲りました。
セバスチャンとジョセフが強かったです。
これにてサイコブレイク全てを遊びきりました。
物語は相変わらず良く分かりませんけど、
近年の中で熱中できたゲームでした。
物語の謎解きは中断してしまっているのですが、続編が出るまでには自分なりの仮説を立てておきたいとも思っております。
完成度という点では、もしかしたらまだまだ改良の余地はあるのかもしれませんが、満足度という点では申し分ないゲームでしたね。
同志を見つけた気分で、こちらも嬉しいです。
これからもよろしくお願いします。