『戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 最終章』に裏切られた(いい意味で)

前作『史上最恐の劇場版』で異界に取り込まれたディレクター・工藤とアシスタントディレクター・市川を救出する──これが本作のストーリー。

このあらすじを聞いたとき、正直、度肝を抜かれた。前作のレビューでこう書いた。

どう考えても、この先、話を続けることはできない。誰もがそう考えていたはずだ。

ところが、あっさりと続編が作られてしまった。いや、制作陣の方々には並々ならぬ苦労があったと想像する。しかし、とにもかくにも、視聴者として最新作を堪能することができた。

そんな喜びを胸に、本作の魅力を語っていこう。

[魅力1]王道だからこそ邪道な物語

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『史上最恐の劇場版』の続編(すなわち本作)が作られると聞いたとき、下のようにいくつかの展開を予想した。

  1. 工藤には双子の兄弟がいた! そして偶然にも市川にもよく似た姉妹が……。
  2. 〈コワすぎ!〉はこうして始まった。これまでのシリーズの前日譚を描く。
  3. 今回は前作のパラレルワールド。工藤も市川もしれっと何食わぬ顔で登場。

そもそも〈コワすぎ!〉は、既成概念にとらわれない自由な作風が特徴だ。これまで誰も観たことのないストーリーや映像で構成されている。だから上記のような“肩透かし”が似つかわしいような気がしたのだ。

しかし、実際は「工藤と市川の救出」の物語となった。ふつうなら王道。だが、〈コワすぎ!〉のような奇抜な作品ではむしろ邪道といえる。

いい意味で視聴者の裏をかいてくれた。これは素直に喜びたいと思う。

[魅力2]田代の苦難はわれわれの災難

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工藤と市川を助ける話だから、本作の主役はカメラマンの田代だ。

これまでの作品でも田代が画面に映ることはあった。しかし、われわれが観ている映像は田代のカメラに写ったものだから、〈田代の視点=視聴者の視点〉という図式が成り立っていた。じつは、田代は制作者の側に立ちながらも、視聴者の代弁者のような立場でもあったのだ。

ところが、本作では田代が被写体となる。つまり、田代に襲いかかる苦難は、われわれ観ている者に振りかかる災難であるように錯覚する。

たとえば、田代が拳銃を持てば、それが画面の端に入り、あたかもFPSのゲーム画面のように見えてくる。われわれも「銃を撃たなければならない」といった焦燥感にかられてしまうのだ。

それがこれまでの作品にはない本作の特徴となっている。

[魅力3]「過酷」ではなく「地味に不条理」な試練

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工藤たちを救い出すために、4つの試練をクリアしなければならない。その内容はとてつもなく過酷、残酷、熾烈なもの──と思いきや、ここでも観ている者は裏をかかれてしまう。

もちろん、実際に行動しなければならない田代にとっては、簡単に成し遂げられるものではない。しかし、「過酷」などという言葉は、カッコよすぎる。そんな、哲学的・倫理的な課題が課されるわけではない。なんというか、もっとカジュアルな理不尽さ、拍子抜けする不条理なのだ(まあ、犯罪でもあるが)。

この設定はなかなか秀逸だ。

本作は、巨人が街の上空に浮かんでいて、なおかつそれを人々が受け入れてしまっている世界だ。なにが起こっても不思議ではない。理不尽・不条理こそが自然。ほかの作品のような「乗り越えがたい壁」が立ちはだかり、主人公がそれを克服したとしても、なんの感動もないわけだ。

「絶対にやりたくはない。でも、やろうと思えばできなくもない」。そんな〈試練〉が待ち受けているところに、本作の面白さがある。

[魅力4]手作り感のリアリティ

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本作では、不気味な人形が重要なアイテムとして登場する。この人形がこれまたチープ。部屋に転がっている材料を使って誰でも簡単に作れそうなシロモノだ。

しかし、この安っぽさ、手軽さが異様な雰囲気を醸し出している。人形がそこらへんにあるモノで作られているものだからこそ、実在感やリアリティーがある。

しかも、人形の造形はかなり大雑把だ。まさに“やっつけ仕事”。それゆえ作った人に“理性”や“正常さ”が感じられない。そこに不気味さが漂うわけだ(このあたりは『オカルト』や『カルト』にも通じるものがある)。

[魅力5]物語世界の巧みなつじつま合わせ

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当然のようにノーカット

本作は、これまでと異なり、インターネットで配信されている生放送だ。『FILE-04 真相!トイレの花子さん』において、ワンカットで映像が展開するのに驚愕したが、本作は当たり前のように全編がワンカットになっている(生放送なのでカットのしようがない)。

まさに物語はリアルタイムで進行する。“いまそこにある怪奇”を臨場感たっぷりに体験できるのが魅力だ。

きちんと伏線回収

そんななかで、さりげなく過去作の伏線が回収されていく点にも注目したい。少しぐらい謎を放置しても誰も文句は言わないと思うのだが(そこまで厳密さを求めるストーリーではないはず)、きちんと物語や世界観をまとめようという創作姿勢は高く評価したい。

つまり、意外といっては失礼だが、〈コワすぎ!〉シリーズは、かなり丁寧に作られている物語なのである。

そんなこんなで、新シリーズ〈戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!〉がスタートする。本作できちんと新シリーズへの接続を行なっているのも制作陣の誠意の表われといえる。

当ブログの期待が実現

これは余談だが、最初に述べたように本作の展開を予想した。

  1. 工藤には双子の兄弟がいた! そして偶然にも市川にもよく似た姉妹が……。
  2. 〈コワすぎ!〉はこうして始まった。これまでのシリーズの前日譚を描く。
  3. 今回は前作のパラレルワールド。工藤も市川もしれっと何食わぬ顔で登場。

じつは、上記の3つのうちひとつが新シリーズの展開として実現している。本作で予想を裏切ったと見せかけて、別のところで期待に応える。これも偉大なる“肩透かし”のひとつだろう。

たったひとつの残念なこと

本作で残念な点がひとつだけある。

それは、〈コワすぎ!〉シリーズでありながら、肝心の「怖さ」が犠牲になってしまったことだ。

このシリーズが最初からたいして怖くなければ、気にならなかった。しかし、じつは『口裂け女』『河童』などは、けっこう本格的な恐怖を与えてくれていたのだ。

新シリーズでは、原点に戻り、「コワすぎ!」と身を震わせる作品になることを期待している。

▼新シリーズの予告編。これを見る限り、少なくとも工藤と市川は「原点に戻」っているようだ。

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『ザ・コンセクエンス』『サイコブレイク ザ・コンセクエンス』で装置に接続されたのはオレだった

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