「俺の人生はバラ色だ」「まさに順風満帆」「恐れるものはなにもない」などとは、なかなか思えないものです。「どうやったら人生がうまく運ぶか」と毎日のようにヒントを探しもとめても、答えを見出すのは簡単ではありません。
とはいえ、あるときふと「いや、じつは思いこみかも。ほんとうは順調なのかも」と気分が切りかわることもあります。
人生がうまくいっているかどうか、それを決めるのはほかでもない自分自身なのだから、自分がそう思えば真実になります。
つまり、自分の考えかたを変えればいいのです。
そうやって、人生の〈戦術〉を転換するきっかけとなったのは、『闘牌伝説アカギ』でした。
相手に〈花〉を持たせ自分は〈実〉をとる
ここでお断りがあります。『アカギ』は麻雀を題材にしたアニメですが、私は麻雀のルールを一切知りません。自分が理解できたことだけを述べようとしても、的外れの説明をしてしまう可能性もあります。その点、あらかじめご了承ください。
アカギは超人的な雀力の持ち主。第5話「裏切りの絶一門」では、ヤクザの代打ち・市川と対戦します。
強敵の市川に対し、アカギは派手な打ちまわしで圧倒しているように見えましたが、じつは実際に点棒を制していたのは市川のほうでした。アカギの仲間である安岡は、市川のふるまいに対し「花をアカギに持たせ市川は実をとる作戦」と解説します。
市川は心のなかでこうつぶやくのでした。
「ま、きみはせいぜい上手な麻雀をやるがいい。
ワシは下手でいい。ただ勝つ」声:[市川]田中秀幸
『闘牌伝説アカギ』第5話「裏切りの絶一門」
©福本伸行/竹書房・VAP・4Cast・NTV
生き方は下手でいい
市川の戦術を自分の人生に応用するとしたら? ポイントが2つあります。
麻雀における「勝ち」とは、いかに多くの点棒を得るか。アカギのやっているのは賭け麻雀なので、「点棒」とは「お金」です。つまり、市川の言う「勝つ」とは「相手より多くのお金を得る」という意味。〈花〉が「派手な打ちまわし」、〈実〉が「お金」になるわけです。
では、人生における〈実〉もお金になるのでしょうか? そう思う人もいるでしょう。しかし、人生における〈実〉は自分が自由に決めてよいはずです。お金以外を〈実〉と考えてもよいのではないでしょうか。
私は〈実〉を〈ココロの平穏〉に定めました。自分の人生において、お金は〈実〉ではないと考えるのです。
もちろん、お金が少ないと〈ココロの平穏〉が得られない場合もあるでしょう。お金がまったくいらないわけではありません。一方で、お金に執着するあまり、ココロがかき乱されるケースもありそうです。
あくまで〈ココロの平穏〉が目的で、お金はそのための手段。そこを取りちがえないようにしたいものです。
また、市川のセリフにはもうひとつポイントがあります。
きみはせいぜい上手な麻雀をやるがいい
ここで市川は自分の意識を相手に向けています。対戦しているのですから当然です。しかし、人生には対戦相手などいません。というより、対戦相手を想定してしまうと、人生が行き詰まる気がします。
他人の心のなかまではわかりませんから、収入だとか肩書きだとか、表面的な要素ばかりが目につき、自分のココロが支配されてしまうことになります。そうすることになんのメリットもありません。
あくまでも
ワシは下手でいい。ただ勝つ
と自分自身のありように意識を向けるのです。
「ワシの人生は下手でいい」
そう思えば、収入とか肩書きなんかにココロが惑わされることなく、「勝ち」すなわち〈ココロの平穏〉が得られると思っています。
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