【ほんとにあった!呪いのビデオ】おわかりいただける全巻レビュー[51〜75,etc]

「ほんとにあった!呪いのビデオ』パート51から最新巻までの全作をレビュー

こちらの記事から引き続き、『ほんとにあった!呪いのビデオ』の全巻をレビューしていく。恐怖度に応じて★印を付し、とくに優れている作品は「最恐映像42選」で紹介している。

ニセモノっぽい作品については、やはりこちらを参照してほしい。

 icon-arrow-circle-down パート1〜50のレビューはこちら。

 icon-arrow-circle-down 当ブログのオススメ作品を紹介する「最恐映像42選」はこちら。

[2018年3月11日 更新]パート75のレビューを追加しました。

もくじ

ほんとに怖い心霊映像が見極められる〈全巻レビュー〉

パート51以降から最新作までを見ていこう。“心霊ビデオ”の進化の過程がつかめるはずだ。『Special』『ver.X』などの番外編もこちらであつかう。

『ほんとにあった!呪いのビデオ51』

  • 「夜の警備」★★★
  • 「悪戯」★
  • 「空中楼閣」★★★
  • 「むげねぇ」★
  • 「溶怪 前編」★★★★★
  • 「シリーズ監視カメラ 古本屋」★★★★
  • 「ベッドの下 開かずの部屋」★★★★
  • 「溶怪 後編」★

[演出:岩澤宏樹/構成:岩澤宏樹/ナレーション:中村義洋/2013年3月2日発売]

パート51は、「溶怪」(★★★★★)「シリーズ監視カメラ 古本屋」(★★★★)「ベッドの下 開かずの部屋」(★★★★)と、3作も「最恐映像42選」に選出され、充実したラインナップになっている。

夜の警備」(★★★)は、心霊スポットめぐりをしているとき、とあるトンネルで記録された怪異。おどしのような気もするが、インパクトはある。異形にもう少し実在感があれば良かったのだが。

悪戯」(★)は、ゴミが荒らされるいたずらに悩む投稿者が撮影した映像。犯人を捕まえる様子がおさめられているが、そこに不可解なモノが映りこむ。リプレイで不気味なものが映っているとわかったが、初見では見つけられなかった。実際マネキンの首かなにかを背負っていたのでは? ただ、合成っぽさがないのは評価したい。

空中楼閣」(★★★)は、貸し別荘に置かれた不可解なノートに書かれた内容にしたがって森のなかをさまよっていると、奇妙な現象に遭遇する。これまた珍しいパターンの怪異。問題の部分だけ映像の解像度が高いように見えるのは気のせいか。も語られるが、蛇足のようにも思う。

むげねぇ」(★)は、廃墟を探索しているときに異形に出会う。絵に描いたような心霊映像という感じで、かえって珍しい。

『ほんとにあった!呪いのビデオ52』

  • 「火だるまの夢」★★★
  • 「奇怪な未来」★★★
  • 「続・不気味な置物」★★★
  • 「失われた仔ども達 前編」 ★★
  • 「シリーズ監視カメラ 廃ビル」★★
  • 「染みの記録」★★
  • 「雨の死者」★★★★
  • 「失われた仔ども達 続・前編」★★★

[演出:岩澤宏樹/構成:岩澤宏樹・押木大輔/ナレーション:中村義洋/2013年6月7日発売]

パート52は、長編取材モノ「失われた仔ども達」(★★★)がメインとなる。前半の取材部分と投稿映像はたいしたことはない。一方、後半はエピソード、映像ともに興味をそそられる。次のパートへと続いていくことになるが、期待を持たせる手腕は手慣れている。

また、このパートでは、ほかに「雨の死者」(★★★★)も見逃せない。

火だるまの夢」(★★★)は、トレーラーハウスに宿泊しているときに撮られたもの。不可解な〈顔〉が映りこんでいる。実在感もあり、かなり不気味な造形。狭い空間に現われていることを考えると、よりいっそう恐怖感が高まる。

奇怪な未来」(★★★)は、湖で遊ぶ様子を映した映像に奇妙な映像が紛れこむ。珍しいパターンの不可解さ。やや理屈めいているところが恐怖感を削いではいるが、興味をそそられる現象といえる。

続・不気味な置物」(★★★)は、正編が「最恐映像42選」にランク入りしているが、この続編も悪くない。単なる焼き直しになっていないのはお見事。

シリーズ監視カメラ 廃ビル」(★★)は、廃ビルに設置された防犯カメラが肝試しに訪れたとおぼしき若者をとらえた映像。そこに奇妙な存在が映りこむ。実在感があるので質が高い。

染みの記録」(★★)は、自宅の壁に表われた奇妙なシミを撮影したもの。シミが変化していくさまは地味な恐怖感がある。投稿者のいたずらの可能性もありそうだが。

『ほんとにあった!呪いのビデオ53』

  • 「血だまりの女」★★
  • 「復讐」★★
  • 「シリーズ監視カメラ 地下駐車場」★★
  • 「失われた仔ども達 中編」★★
  • 「寝言」★★
  • 「成人」★★
  • 「遺された呪いのビデオ」★★★★
  • 「失われた仔ども達 続・中編」★★

[演出:岩澤宏樹/構成:岩澤宏樹・押木大輔/ナレーション:中村義洋/2013年7月5日発売]

前巻から引き続き「失われた仔ども達」(★★)がメインとなるが、投稿映像はなかなか不気味に仕上がっている。取材部分はやや冗長さはあるものの緊迫感があり、最後まで目が離せない。

ほかには「遺された呪いのビデオ」(★★★★)もチェックしておきたい。

血だまりの女」(★★)は、自宅の屋上から向かいのアパートを映すと、不可解な女の存在に気づく。実際にそこに人がいたとしか思えない実在感があるのが良い。ふつうではあり得ないので、やはり〈女〉はこの世のモノではないのだろう。

復讐」(★★)は、不審なアドレスから送られてきたメールに添付されていた動画。いじめとおぼしき現場の様子がとらえられている。映像と設定が面白い。やや理屈めいているのが難点か。

シリーズ監視カメラ 地下駐車場」(★★)は、マンションの地下駐車場の防犯カメラに奇妙な現象が記録される。二段構えの怪現象だが、初見では見逃しがちなのが惜しい。

寝言」(★★)は、友人の部屋で怪談話をしている際に撮られた映像。不可解な現象が確認できるが、ややわかりづらい。映像に映る友人がもっと効果的なふるまいをしてくれれば良かったのだが。

成人」(★★)は、投稿者が幼いころに撮られた七五三の映像に奇妙な現象が映っている。ありふれている現象だが、シリーズ初期の作品にありがちな、不自然さ(合成っぽさ)がないのは評価できる。

『ほんとにあった!呪いのビデオ54』

  • 「私は誰」 ★★★★
  • 「見えぬ踏切」★★
  • 「霊界電話」★★★
  • 「失われた仔ども達 後編」★
  • 「シリーズ監視カメラ 老人ホーム」★
  • 「タワーパーキング」 ★★
  • 「今はもうない…」★
  • 「失われた仔ども達 続・後編」★★★

[演出:岩澤宏樹/構成:岩澤宏樹・押木大輔/ナレーション:中村義洋/2013年8月2日発売]

このパート54で「失われた仔ども達」(★★★)が完結。例によって煮えきらない幕切れとなるが、それによってホンモノらしさが保たれている。

ほかには「私は誰」(★★★★)が佳作。

見えぬ踏切」(★★)は、投稿者が入居している寮のロッカーにあったテープの映像。車のなかからとらえた怪異が記録されている。映像というより〈音〉の異変だが、恐怖度はそれほどでもない。冷静に考えれば、現場に危険性が感じられないからだろうか。

霊界電話」(★★★)は、投稿者が幼いころに撮影された映像に奇妙な現象がとらえられている。じわじわと不気味さが忍びよる良作。やや理屈めいているのが難点か。

シリーズ監視カメラ 老人ホーム」(★)は、深夜の老人ホームの様子を映したもの。シリーズ初期のような地味な心霊現象が起こる。あえてこの時期にこんなモノを入れているのは、やはりホンモノの心霊現象だからかもしれない……。

タワーパーキング」(★★)は、タワーパーキングで意図せずして撮影されてしまった映像。不気味な異形が現われるが、作りものっぽさがぬぐえない。

今はもうない…」(★)は、いまはすでに閉店しているバーで撮られた怪異。本作も懐かしいテイストの怪奇現象といえる。過去作(パート15「夜の買い物」)を思い出させる。

『ほんとにあった!呪いのビデオ55』

  • 「銅像」★★★★
  • 「ロールシャッハ」★★
  • 「監視カメラ 窓の外」★
  • 「悪戯電話」★★★
  • 「タイムラプス」★★★★
  • 「誰がいなくなった?」★★★★★
  • 「飛ぶカメラ」★★★★★
  • 「悪人」★★★★★

[演出:岩澤宏樹/構成:岩澤宏樹・菊池宣秀/ナレーション:中村義洋/2013年12月6日DVD発売]

このパート55はじつは劇場公開されたもの。それだけに作品制作に異様なほど力が入れられており、「銅像」(★★★★)「タイムラプス」(★★★★)「誰がいなくなった?」(★★★★★)「飛ぶカメラ」(★★★★★)「悪人」(★★★★★)と、収録作品のほぼすべてが「最恐映像42選」に入っている。また、実際にランクインしていない作品も、「42選」に入っていてもおかしくないクォリティーだ。

当ブログがこのシリーズの全巻をレビューすることに決めたのも、このパート55を観たことがきっかけであった。

また、このパートには、ある仕掛けが施されており、そこも見どころになる。ただ、そのぶんホンモノらしさも薄まってしまってはいるが。

最恐映像42選」にラインナップしていない作品について、簡単にレビューしていこう。

ロールシャッハ」(★★)は、大学の映画研究会に古くから伝わる謎の映像。不気味な雰囲気が漂う良作といえる。

監視カメラ 窓の外」(★)は、スタッフルームのあるビルの窓に不可解な現象が起こる。たいしたことのないシロモノだが、このパート55全体をひとつの映画と考えると、箸休めの役割を果たしている作品なのかもしれない。

悪戯電話」(★★★)は、いたずら電話に悩む投稿者が記録のために撮影したもの。あの世の住人とおぼしき〈女〉が現われるが、外見より〈音〉のほうが不気味だ。ただ、〈女〉は〈非霊生者〉の問題がある(具体的には演出補の川居さんにも見えるのだが)。

『ほんとにあった!呪いのビデオ56』

  • 「大女」★★★
  • 「あるはずのないモノ」★★★
  • 「リベンジ」★★
  • 「シリーズ監視カメラ 商店街」★★
  • 「手鏡」★★★
  • 「バックカメラ」★
  • 「夜の住民」★
  • 「リベンジ 後編」★★★★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀/ナレーション:中村義洋/2014年3月5日発売]

このパート56から、演出が菊池宣秀氏へと変わる。強烈なパート55と比べると見劣りしてしまうのだが、安定した恐怖度とクォリティーは保っているといえる。

また、このパートは全体的によくある怪談や都市伝説を映像化したような作品が揃っている気がする。

長編の「リベンジ」(★★★★★)は、最初の投稿映像は過去作にあったようなマンネリを感じる。一方、「後編」で紹介される映像はかなりの恐怖度で、「最恐映像42選」に入れた。

大女」(★★★)は、投稿者がバイト先の同僚たちと旅行に行った際、ひとりの寝顔を撮ろうとして怪異に遭遇する。まさしく怪談でありそうな展開だが、映像として観ると、なかなか不気味。

あるはずのないモノ」(★★★)は、恋人たちがドライブをしていると道路で奇妙なモノを発見する。なんとなく先の展開は読めるのだが、出来は悪くはない。

シリーズ監視カメラ 商店街」(★★)は、映像に映るホームレスの男性に奇妙な現象が起こる。本作も昔ながらの怪談にありそうな展開。そこはかとなく哀しみが漂うのが、本シリーズとしては珍しい。

手鏡」(★★★)は、公園で拾った手鏡に不可解な現象が起こる。現象の内容はあらかじめナレーションで説明されるわけだが、予想と異なる展開に驚かされた。

バックカメラ」(★)は、車の後部から外の様子を撮影した映像。あの世の存在が映りこむが、初見ではわからなかった。シリーズ初期のような出現のしかたをする。

夜の住民」(★)は、とあるバーで撮影された映像に異形が現われる。本作も初期の作品にありそう。なぜその場所にカメラを向けたのかも疑問だ。

『ほんとにあった!呪いのビデオ57』

  • 「隙間」★★★
  • 「シリーズ監視カメラ からみつく」★★
  • 「棲んでいる」★
  • 「邪心 前編」★
  • 「穴場」★
  • 「お焚き上げ」★
  • 「予兆」★
  • 「続・邪心 前編」★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀/ナレーション:中村義洋/2014年6月4日発売]

パート57のメインコンテンツ「邪心」(★)は、心霊現象がかなりワンパターン化している観がある。取材は本巻で完結しないが、次巻を期待させる終わりかたではある。

ほかの作品も、どこかシリーズ初期を彷彿とさせるものばかりで、恐怖度が低いために満足度も低くなってしまう。

隙間」(★★★)は、部屋でハムスターの様子を撮影していると、恐るべきモノを目の当たりにする。よくあるパターンの出現のしかたではあるが、異形の造形が良い。

シリーズ監視カメラ からみつく」(★★)は、コインランドリーに異界のモノが現われる。手がこんだ展開ではあるが、この時期の作品にしては珍しく〈出現域制御〉の問題が否めない。

棲んでいる」(★)は、廃墟を探索していると、奇妙なモノに遭遇する。過去作でも見かけたような懐かしい味わいの作品。

穴場」(★)は、魚釣りをしていると、この世のモノでない存在が映りこむ。本作も懐かしいテイスト。

お焚き上げ」(★)は、神社のお焚き上げの様子をとらえた映像に、不可解なモノが映る……ということだが、最後までそれらしいモノは見えず。

予兆」(★)は、東南アジアのとある国を旅行した際に撮影された映像。奇妙な現象が記録されているが、なにか光の加減のようにも見える。

『ほんとにあった!呪いのビデオ58』

  • 「吊り橋」★★
  • 「女首」★★★
  • 「盆踊り」★★★
  • 「邪心 中編」★
  • 「シリーズ監視カメラ バックヤード」★
  • 「足元」★★★★
  • 「遊園地」★★
  • 「続・邪心 中編」★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀/ナレーション:中村義洋/2014年7月2日発売]

前巻から続く長編「邪心」(★)は、取材部分の緊迫感は評価したい。若干の笑いどころを入れているのも良い。心霊映像は前回の焼きなおしなのが惜しい。

このパートではほかに「足元」(★★★★)に注目したい。

吊り橋」(★★)は、ハイキングを楽しむ映像に異形が紛れこむ。過去作(パート42「邪願」)とおなじパターン。あちらのほうがシチュエーションやタイミングが絶妙なぶん優れている。

女首」(★★★)は、車で移動中に怪奇現象に遭遇する。確実に異様なモノが出現している実在感が良い。

盆踊り」(★★★)は、盆踊りの様子を撮影していると、奇妙な〈少女〉が映りこむ。この〈少女〉の造形が不気味で悪くない。

シリーズ監視カメラ バックヤード」(★)は、コンビニのバックヤードで記録された怪異。〈出現域制御〉などの問題があり、シリーズ初期のような雰囲気が漂う。

遊園地」(★★)は、家族が遊園地で遊んでいる映像に不可解なことが起こる。なかなか不気味な現象といえるが、後日談として理屈を説明されると恐怖が半減してしまう。

『ほんとにあった!呪いのビデオ59』

  • 「現場」★★
  • 「人形」★★★
  • 「大雪」★
  • 「邪心 後編」★★★
  • 「シリーズ監視カメラ 介護」★
  • 「海水浴」★
  • 「テープ」★★★
  • 「続・邪心 後編」★★★★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀・増本竜馬/ナレーション:中村義洋/2014年8月2日発売]

長編「邪心」(★★★★★)が完結。それなりに緊迫感があり悪くない。映像も不気味で、「最恐映像42選」にもラインナップしている。演出補の増本氏がコミカルな立ちまわりをするのも、見どころ。ただ、展開はワンパターン化してきた観もある。

現場」(★★)は、たまたま通りがかったマンションで奇妙な体験をする。なにか不気味なモノが映っているのはたしかだが、いまいちカタチがわかりにくいので、恐怖が半減する。

人形」(★★★)は、娘が人形を抱える様子を撮影していると驚くべきことが起こる。人形の不気味さは評価したい。ただ、あらかじめ映像の内容が説明されるのが、恐怖を削いでいる気がする。

大雪」(★)は、大雪が降った日に街の様子をケータイで撮ったもの。本作もなにかが映っていることはわかるが、やはりカタチがわかりづらい。

シリーズ監視カメラ 介護」(★)は、寝室で寝ている男性のもとに奇妙な人物が近づいてくる。実際に人が歩いているようにしか見えず、あまり恐怖感がない。

海水浴」(★)は、観光客でにぎわう海水浴場の砂浜に不可解なモノが現われる。本作の異形もわかりづらく、ふつうに観ていたら気づかない。

テープ」(★★★)は、廃屋の風呂場で怪異に遭遇する。小道具によって剣呑な雰囲気を醸し出しているのが良い。そこに現われるのは絵に描いたような幽霊という感じだが、造形は悪くない。

『ほんとにあった!呪いのビデオ60』

  • 「もう半分」★★★
  • 「墓所」★★★
  • 「蛭子 前編」★★
  • 「空手大会」★
  • 「シリーズ監視カメラ 駐車場」★★★
  • 「風の便り」★★
  • 「ついてくる」★★
  • 「蛭子 後編」★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀/ナレーション:中村義洋/2014年12月3日発売]

このパート60のメインは取材モノの「蛭子」(★★)。次巻に続く長編と思いきや、この巻で完結する。投稿映像はたいしたことないが、怪談としてはなかなかおぞましい話といえる。心霊現象とは無関係に、せまい場所に潜入していく場面があり、観る者も息苦しくなってくる。やや設定に凝りすぎの観もあり、それが興を削いでいる。

もう半分」(★★★)は、心霊スポットの橋で〈霊〉に遭遇する。長時間にわたり〈霊〉が映りつづけているのが珍しい。静止画ではなくきちんと動いているのも評価に値する。

墓所」(★★★)は、墓地に肝試しに行った際に撮られた映像。ビックリ系の作品だが、出来は悪くない。

空手大会」(★)は、ロビーで談笑する男たちを映していると、奇妙なモノが現われる。過去にも似たような現象を見た気がする(パート16「ライブハウス」)。

シリーズ監視カメラ 駐車場」(★★★)は、肝試しから帰ってきたカップルが車に乗りこむと、不可思議な怪異に遭遇する。ありがちな映像に見せかけて、意表を突いた展開。なかなかの良作。

風の便り」(★★)は、自宅で昔話に興じている様子を撮っていると、あの世のモノとおぼしき人物が映りこむ。異形の現われかたはありふれているが、設定がよくできている。

ついてくる」(★★)は、心霊スポットのトンネルで撮影された映像。異様なモノが現われるが、実在感があり悪くない。やや撮影時の状況に不自然さを感じるが。

『ほんとにあった!呪いのビデオ61』

  • 「野鳥観察」★
  • 「終焉」★★
  • 「人形ノ家 前編」★
  • 「露天風呂」★
  • 「シリーズ監視カメラ コインロッカー」★★
  • 「BBQ」★
  • 「入学式」★
  • 「人形ノ家 後編」★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀/ナレーション:中村義洋/2015年3月4日発売]

観る側のハードルも上がっているせいか、このパートあたりから、けっして悪い出来栄えではないのに、満足度の上がらない作品が増えてくる。長寿シリーズの宿命というべきか。

長編の「人形ノ家」(★★)は、恒例の三部作と思いきや、このパート61で完結。このあたりから長編取材モノも巻をまたがなくなった。

まず「前編」で不可思議だという音声が紹介されるが、特別なものに思えなかった。「後編」は設定や小道具が雰囲気を盛りあげる力作だが、心霊映像はたいしたことがない。ひと昔前ならこれでも満足したかもしれない。

野鳥観察」(★)は、雑木林で野鳥の鳴き声を録音していると、恐るべきモノが出現する。なかなか驚かされるものの、過去作(パート25「半面の男」)でも見たような展開なのが惜しい。

終焉」(★★)は、演劇の稽古中に起こった怪異をとらえたもの。現象はそれなりに面白いのだが、事前に内容が説明されてしまうため、恐怖が半減してしまっている。

露天風呂」(★)は、露天風呂であの世のモノとおぼしき存在をとらえてしまった映像。シリーズの初期のような出現のしかたで、よく気がついたなというのが正直な感想。

シリーズ監視カメラ コインロッカー」(★★)は、コインロッカーで女性の奇妙な行動をとらえる。心霊現象も映っているが、この女性のほうがいろいろ想像させる余地があり不気味だ。

BBQ」(★)は、公園の木々に不気味なモノを発見する。「そのように見えるだけ」とも思えるが、動いているようだから、やはり怪奇現象なのだろう。もう少しが作りこまれていたら良かったのかも(やりすぎると興ざめなので、匙加減が難しいが)。

入学式」(★)は、息子にランドセルを背負う様子を撮影した映像に奇妙なモノが映りこむ。あまりに薄いので、最初どこに映っているかわからなかった。

『ほんとにあった!呪いのビデオ62』

  • 「バッティングセンター」★★
  • 「アスレチック」★
  • 「スケープゴート 前編」★★★
  • 「シリーズ監視カメラ 門」★★
  • 「断崖」★★
  • 「タイムカプセル」★★
  • 「救急車」★
  • 「続・スケープゴート 前編」★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀・森澤透秀/ナレーション:中村義洋/2015年6月3日発売]

長編取材モノの「スケープゴート」(★★★)は、恒例の夏の三部作。「前編」で紹介される心霊映像は、けっこう怖い現象がとらえられている(ややネタバレだが、この短編ホラーに似ている)。

続・スケープゴート 前編」(★★)の映像は、たしかに異形が突然現われたように見えるのだが、肉眼ではちがった見えかたになるはず。物語はそれなりに興味をひかせるもので、次巻への期待が高まる。

バッティングセンター」(★★)は、バッティングマシーンの異変とともに、恐るべき怪異が記録されている。細かい部分に過去作にない現象が見られるが、それ自体は恐怖を呼びおこすものではない(むしろ合成技術の発達に感心する)。また、異形のモノに生気が感じられてしまう(非霊生者)のがマイナス。

アスレチック」(★)は、アスレチックの丸太の隙間に奇妙なモノが現われる。もうちょっとはっきりと出てくれれば、恐怖度が増したと思う。

本題とは関係ないが、投稿者が顔出しをしているのだから、幼いころの本人が映っている投稿映像にモザイクは必要ないのでは?

シリーズ監視カメラ 門」(★★)は、とある一軒家の玄関先で起こった怪異。なかなか不気味な現象といえる。異形にちゃんと影もついている点に注目したい。

断崖」(★★)は、心霊スポットとして有名な岬で恐怖に遭遇する。実際に起こった出来事ならかなり怖いわけだが、いかにも作りものめいているところが残念。別の心霊ビデオシリーズなら良いのだが、本シリーズの作品としてはマイナスになってしまう。

タイムカプセル」(★★)は、タイムカプセルを掘り出していると、異形が現われる。事前に異変の内容が説明されるため、驚きが少ない。カメラワークも、そこでなにが起こるかを知っているような動きかた。ただ、背景となる話はそれなりに陰惨なのは評価できる。

シリーズ初期にまったくおなじタイトルの作品がある(パート5「タイムカプセル」)。あちらは心霊現象は地味だが、本作より不気味に仕上がっていた。つくづく心霊現象の奥深さを感じてしまう。

救急車」(★)は、事故現場で奇妙な存在をとらえられる。過去作にもこんなふうに出てきたことがあったが(パート31「障害者マラソン」)、本作には生気が感じられる(非霊生者)ところがマイナス。

『ほんとにあった!呪いのビデオ63』

  • 「親子」★
  • 「ゴンドラ」★
  • 「スケープゴート 中編」★★
  • 「街撮り」★
  • 「上空」★
  • 「シリーズ監視カメラ 鳥居」★
  • 「証明写真」★★
  • 「続・スケープゴート 中編」★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀・田代聖嗣/ナレーション:中村義洋/2015年7月3日発売]

前巻から長編「スケープゴート」(★★)が続く。心霊映像は興味深いものがあるが、異界のモノの造形があまり怖さを感じさせない。理屈めいているせいだろうか。「続」では緊迫感が味わえるが、スタッフが鍵を握る人物の行方を探すのに苦労しているのに、いざコトが起こると、その人物の親戚にあっさり連絡がつけられるのは矛盾している気も。

親子」(★)は、公園の水辺で奇妙なモノが映りこむ。極端に薄いモノと濃いモノ、両極端の異形が現われるのが印象的。インパクトはそれなりにあるが、もはやありふれた映像になっている。ケータイで撮影されたものだが、肉眼ではどう見えていたのだろうか?

ゴンドラ」(★)は、ロープウェイに乗っているときに撮影された映像。本作も異形のモノの姿が薄いのが気になる。

街撮り」(★)は、外国人である投稿者が街を歩きながら撮影していると、不可解な人物が現われる。撮影者が前進するのとおなじ速度・方向に異界のモノが横に移動していくのは不自然。つまり、いかにも合成っぽい。

上空」(★)は、飛行機の荷物入れに不可思議なモノがいることに気づく。モノの造形は不気味だが、典型的な〈出現域制御〉の問題がある。過去作(パート11「曰くの物件」)に似ていて、「あれとおなじパターンか」と思ってしまうので、恐怖が半減してしまう(過去作を知らなければ楽しめるだろう)。

シリーズ監視カメラ 鳥居」(★)は、神社に設置された監視カメラがとらえた映像。その異様さに注目したいところだが、やはり〈出現域制御〉の問題がある。

証明写真」(★★)は、証明写真を撮るボックスで遭遇した怪異。これも面白い現象だが、異形の造形がいかにも作りものっぽい(電動式の人形のようにも思える)。

細かいことだが、投稿映像が撮影されたのが、スタッフがインタビューをする3日前というのは少し不自然では?(郵便が届いてすぐにアポをとったということだろうか)。

『ほんとにあった!呪いのビデオ64』

  • 「怨霊」★★
  • 「トイレ」★★
  • 「スケープゴート 後編」★
  • 「赤い傘」★★
  • 「シリーズ監視カメラ 覗き穴」★★
  • 「続・スケープゴート 後編」★★★★
  • 「寺院」★★
  • 「人身事故」★★
  • 「終・スケープゴート 後編」★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀・森澤透秀/ナレーション:中村義洋/2015年8月5日発売]

長編三部作「スケープゴート」(★★★★)が完結。終盤では、本シリーズとしては異例のドラマチックな展開が楽しめる。ホンモノらしさは薄れてしまっているが、ホラーの表現としては評価したい。

ラストにはおなじみの警告つきの心霊映像が紹介される。本シリーズの警告つき映像は恐怖度が高く良作も多いが、本作はなぜか奮わない出来栄え。

怨霊」(★★)は、とある廃墟で起こった奇妙な出来事。映像はそれほど怖くないのだが、見間違いや錯覚の類ではないだけに、実際その場に居合わせたらものすごい恐怖だ。

トイレ」(★★)は、心霊スポットのトイレで〈霊〉をとらえようとしたもの。いくつかの怪異が記録され、それなりに驚かされる。設定も悪くない。

赤い傘」(★★)は、踏切で起こった奇妙な現象をとらえる。興味深い映像になっているが、〈出現域制御〉の問題は否めない。

シリーズ監視カメラ 覗き穴」(★★)は、マンションの玄関の覗き穴に設置されたカメラの映像。ふつうは訪問者ぐらいしか覗き穴の前には立たないはずだから、どんなモノが現われても不気味な気がするが、案の定の展開となる。

寺院」(★★)は、心霊スポットの公園に現われた不可解な存在をとらえる。異形のモノの造形は悪くないが、某有名なホラー映画の幽霊にしか見えない。

人身事故」(★★)は、電車で人身事故が起こった直後に撮られた映像。不可解な人物が映りこんでいる。やや理屈めいているのが気になるものの、王道のつくりに好感が持てる。

『ほんとにあった!呪いのビデオ65』

  • 「サバイバルゲーム」★★
  • 「遊女」★★★
  • 「納骨堂」★
  • 「MEMORY 前編」★★★
  • 「写真」★★★
  • 「家族」★
  • 「シリーズ監視カメラ マンホール」★
  • 「MEMORY 後編」★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀・久保寺晃一/ナレーション:中村義洋/2015年12月4日発売]

このパートは珍しいパターンの心霊現象がおさめられている印象。菊池宣秀氏の本領が発揮されはじめたのかもしれない。

MEMORY」(★★★)は、このパート65で完結する中編。「前編」は異形の出現のしかたが新しい。「後編」も不気味さを醸し出していて評価するが、あらかじめどこに怪異が現われるか知っていたようなカメラワークでやや不自然。

サバイバルゲーム」(★★)は、廃墟でサバイバルゲームを楽しんでいると、異様なモノが撮影者に近づいてくる。本作もこれまでにない新しいタイプの異形が見られる。

遊女」(★★★)は、投稿者の同居人がアルバイト先から持ちかえってきたというビデオテープ。扇子を手にした女性が布団の上に座っている。最初から映像が不気味だ。なにか異様なモノが現われるが、やや作りものっぽいのが難点。

納骨堂」(★)は、フランスにある地下の納骨堂で撮影された映像。頭部の遺骨を映したとき、不可解な現象が起こる。実際は、なにかが反射しただけのように思える。

写真」(★★★)は、廃墟の民家で肝試しをしていると、異様な存在が映りこむ。〈それ〉があまりに自然に出現するので、ほんとうにそこに人がいたのではないかと思わせる。廃墟やそのなかにあるものの雰囲気が良い味を出している。

家族」(★)は、サプライズパーティーの様子を映した映像に異変が起こる。スローモーションにしてもわからず、静止画にして初めてわかる存在(刹那像)。これをどうやって発見したのか疑問が残る。

シリーズ監視カメラ マンホール」(★)は、街の片隅のマンホールに異界のモノが現われる。出現のしかたは古くさい感じ。あまりインパクトのある映像とはいえない。

『ほんとにあった!呪いのビデオ66』

  • 「ぎょうさん」★★★
  • 「声」★★
  • 「六十六 前編」★
  • 「残留物」★★
  • 「シリーズ監視カメラ パチンコ」★
  • 「樹海」★★
  • 「六十六 後編」★★★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀・安達光雄・山田泰秀/ナレーション:中村義洋/2016年3月2日発売]

前後編に分かれた「六十六」(★★★★)は、このパートのメインといえる。「前編」の投稿映像は、恐ろしい現象をとらえているはずなのだが、出現するモノがなぜかあまり不気味ではない。一方「後編」は、取材しているスタッフの緊迫感が良い。投稿映像に現われる〈霊〉たちがかっこよく(?)、設定も凝っている。なかなかの良作。

このあたりのパートは、どうしようもない駄作はほとんどなく、安心して観ていられる手堅い作りだ。

ぎょうさん」(★★★)は、心霊スポットのトンネルで異形に遭遇する。なかなか意表をついたモノ。暗闇が不自然に黒いので、〈なにか〉が出るのは予想できてしまうが。

」(★★)は、自撮り棒にとりつけたカメラでアパートの隣の部屋を撮影する。不気味なモノが映りこむのだが、悪くない出来。撮影者からは見えないところを撮っているのに、なぜかカメラワークが絶妙だ。

残留物」(★★)は、廃ホテルの客室で怪異に遭遇する。カメラワークが絶妙なのは不自然なのだが、そこで起こる現象は興味深いものがある。

シリーズ監視カメラ パチンコ」(★)は、廃墟となったパチンコ店に〈霊〉とおぼしき影が現われるが、薄すぎる気がする。

樹海」(★★)は、青木ヶ原樹海で投稿者たちが恐るべき体験をする。現われるモノは実在感もあって不気味だが、それだけに作りものっぽさもある。過去作(パート63「証明写真」)の異形にも似ている(おなじ人形の使いまわし?)。

『ほんとにあった!呪いのビデオ67』

  • 「ロッククライミング」★★
  • 「奇怪な過去」★★★
  • 「合唱」★★
  • 「シリーズ監視カメラ 扉」★★
  • 「人形焼」★★
  • 「テーブルゲーム」★
  • 「禁忌 前編」★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀・安達光雄・岩本慎一・今野恭成/ナレーション:中村義洋/2016年6月3日発売]

次巻へと続く長編「禁忌」(★★)は、厄介な出来事を連想させる滑り出しとなっている。ただ、過去作(パート47〜「死返(まかるがえし)」)にも雰囲気が似ている。映像も途中まで良い展開なのだが、肝心の登場する異形がけっこう粗っぽいのが残念。

ロッククライミング」(★★)は、ロッククライミングの練習風景を撮っていると、異様な事態がおこる。まったくおなじタイトルの作品が過去にもあり(パート25「ロッククライミング」)、セルフ・オマージュのような趣だが、それとは異なる展開で意表を突かれる。

奇怪な過去」(★★★)は、パート52「奇怪な未来」の後日談。取材部分がかなり長時間にわたるが、腑に落ちないまま終わる。ただ、それはそれでリアルなのかもしれない。ここで紹介される映像はかなり不気味で、〈子ども〉は人形にしか見えないが、かえって不気味さを醸し出している。映像がなにを意味しているのかがわからないだけに、より恐怖感が高められる。

合唱」は、音楽教室の発表会を撮影した映像に〈霊〉とおぼしき存在が映りこむ。オーソドックスな心霊現象という趣だが、意外にも〈出現域制御〉の問題がなく、質が高い。

シリーズ監視カメラ 扉」(★★)は、町工場の出入り口出入り口で起こった怪異をとらえる。新しいタイプの現象といえるが、異形の出現のしかたが微妙に〈光〉と連動しておらず、作りの粗さが見えてしまうのが残念。やや理屈めいているのもマイナスだ。

人形焼」(★★)は、深夜の浜辺でたき火をしていると、奇妙な現象が起こる。映像はたいしたことないが、エピソードには物哀しさが漂う(というより、ひどい話である)。

テーブルゲーム」(★)は、雀荘で麻雀に興じていると、不可解な存在が映りこむ。〈霊〉は予想どおりの場所に出現。造形はなかなか不気味なのだが、動きが人工的すぎるのが難点だ。

『ほんとにあった!呪いのビデオ68』

  • 「置き傘」★
  • 「花束」★★
  • 「ホテル」★
  • 「禁忌 中編」★★★
  • 「クリスマス」★
  • 「シリーズ監視カメラ 灯台」★★
  • 「洗車機」★★★
  • 「続・禁忌 中編」★★★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀・安達光雄・山崎太基・今野恭成/ナレーション:中村義洋/2016年7月2日発売]

前パートから続く「禁忌」(★★★★)は、不気味な風習を題材としたもので、興味をそそられる。ひとつめに紹介される投稿映像は映っているモノがわかりづらいが、「続」の映像は不気味さがあふれる。心霊現象よりも、奇妙な儀式を行なっている生きた人間の精神のほうが恐ろしい。

置き傘」(★)は、傘を差しながら歩く恋人を映した映像。異様な〈顔〉が映りこむが、あまり恐怖を感じないのは、〈顔〉が笑っているような表情だからだろうか。

花束」(★★)は、公園で遊ぶ娘を撮っていると、不可解な人物が映りこむ。典型的な〈出現域制御〉で、異形のモノも平面的。ただ、に哀愁が漂っており、そこが見どころになるかもしれない。

ホテル」(★)は、廃墟となったホテルで奇妙なモノを撮影してしまう。かなりわかりづらい出現のしかただ。

クリスマス」(★)は、クリスマスパーティを楽しむ様子を映した映像に、不可解な存在が映りこむ。悪い作品ではないと思うものの、異界のモノの現われかたが古いような気がする。本作もがやるせない。

シリーズ監視カメラ 灯台」(★★) は、海岸に設置されたライブカメラがとらえた映像。灯台の灯りに異変が起こる。珍しい現象に興味をひかれるが、やや理屈めいているため、作りものっぽさも漂う。

洗車機」(★★★)は、自動洗車機で車を洗う様子を車内から撮影したもの。シートにありえない存在が座っている。異形の格好がなかなか不気味な雰囲気を醸し出している。

『ほんとにあった!呪いのビデオ69』

  • 「火葬場」★★
  • 「消える」★★★
  • 「禁忌 後編」★★★
  • 「砂浜」★
  • 「シリーズ監視カメラ マンション」★
  • 「雛人形」★
  • 「指輪」★★★
  • 「続・禁忌 後編」★★★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀・安達光雄・山崎太基・今野恭成/ナレーション:中村義洋/2016年8月3日発売]

禁忌」(★★★★)がこのパートで完結。本格ドキュメンタリーたる本シリーズの面目躍如で、緊迫感あふれる展開となる。恐怖を覚える一方で、どこか哀しさも漂う一編に仕上がっている。

火葬場」(★★★)は、火葬場の廃墟で恐るべき現象が起こる。異形が現われる場所が予測できるため、恐怖が薄れてしまう。異形の造形は悪くないのだが。

消える」(★★★)は、ゴミ袋から発見された8ミリビデオの映像。ちゃぶ台を囲む家族の姿が映っている。もしかしたら心霊現象ではないかもしれないが、かなり気色の悪い映像。も語られるが、蛇足のようにも思う。

砂浜」(★)は、砂浜で子どもが遊ぶ様子を映したもの。奇妙なモノが出現するが、かなりわかりづらい。〈出現域制御〉が悪いように働いている。いくらなんでもそんなところに出現しなくてもよかろう。

シリーズ監視カメラ マンション」(★) は、マンションの住人から投稿された映像。深夜の奇妙な物音に悩まされているという。かなり地味な心霊現象が記録されているが、意外にホンモノはこんなものかもと思わせる。いずれにしても、インパクトに欠ける作品。

雛人形」(★)は、防空壕跡で起こった怪異をとらえる。心霊現象がよくあるパターンなのが残念。撮影のシチュエーションが特殊なので、出現のしかたも特殊だったらよかったのだが。

指輪」(★★★)は、側溝に落とした指輪を探すため、ケータイのカメラを隙間に差し込むと、異様なモノが映りこんでしまう。「よりにもよってなんでそんなところに?」とも思うが、インパクトがあって良い。

『ほんとにあった!呪いのビデオ70』

  • 「マリオネット」★★
  • 「染み」★
  • 「二段ベッド」★
  • 「Fake 前編」★
  • 「シリーズ監視カメラ ペットカメラ」★
  • 「寝顔」★
  • 「墓」★
  • 「Fake 後編」★★

[演出:菊池宣秀/構成:菊池宣秀・今野恭成/ナレーション:中村義洋/2016年12月2日発売]

夏の三部作(パート67〜69)の出来が良すぎたせいか、このパート70はややパワーダウンの嫌いがある。

メインとなる「Fake」(★★)は、過去にボツになった投稿映像が発端となる。不採用になった映像だからか、あまり出来はよろしくない。取材部分もどこかマンネリの観がある。物語が進めにつれ不気味さは高まるが、最後は『仄暗い水の底から』のような展開となる(ちなみに、映画『仄暗い水の底から』の脚本は本シリーズを立ち上げた中村義洋・鈴木謙一コンビによるもの)。

マリオネット」(★★)は、買ったばかりの操り人形で遊ぶ様子を撮影したもの。「人形になにか起こるのだろう」と思っていると意表を突かれる。ビックリ系だが悪くない。

染み」(★)は、とある廃屋で怪奇現象をとらえる。撮影のシチュエーションは良いが、いかんせん現れるモノの姿が薄いのが惜しい。

二段ベッド」(★)は、投稿者の幼少時に撮られた映像。その場にいるはずのない人物が映っているという。映像は怖くはないが、ナレーションでさらっと語られるこの人物のエピソードがなんだか不気味だ。

シリーズ監視カメラ ペットカメラ」(★)は、深夜のペットの様子を映したもの。シチュエーションが良く、ペットのワンちゃんもうまく動いているのに、異形の造形がイマイチなのが惜しまれる。

寝顔」(★)は、投稿者のスマートフォンの入っていたという映像。知らぬ間に自分の姿が撮影されていた。部屋の鏡に奇妙な人物が映っているが、サイズが小さく、インパクトに欠ける。映像が撮影された経緯があきらかになるが、これは不明なままのほうが不気味だったろう。

」(★)は、肝試しをしている最中に映された怪異。非常にわかりにくい。あらかじめ「そこに出る」とわかっていないと見逃してしまう。

『ほんとにあった!呪いのビデオ71』

  • 「タクシー」★★
  • 「シルエット」★
  • 「シリーズ監視カメラ 老人」★★
  • 「瑕疵 前編」★★
  • 「停電」★★★
  • 「かくれんぼ」★★★
  • 「瑕疵 後編」★★★★

[演出:福田陽平・寺内康太郎/構成:佐上佳嗣・寺内康太郎・福田陽平/ナレーション:中村義洋/2017年3月3日発売]

このパートから演出家が福田陽平&寺内康太郎に交代する。福田氏は本シリーズのパート16〜21の演出を担当。寺内氏は心霊ビデオシリーズ『ほんとうに映った!監死カメラ』やホラー作品を数多く手がける。いわばベテランが新たな心霊表現に挑戦するパートといえる。

作風もこれまでとは大きく変わっている。かなり丁寧に作りこまれ、娯楽作品としてのクォリティーは大幅にアップしているが、そのぶん嘘っぽさもあり、恐怖と結びついていない。もしかすると、シリーズ初期のテイストが好きな人は不満の残る仕上がりかもしれない。

当ブログとしては、今後の発展を期待させる出来栄えであると評価したい。

メインとなる「瑕疵」(★★★★)は、投稿映像がなかなか不気味で、設定も凝っている。物語は劇的な展開を見せるが、やはりどこか作りものめいてしまうのが惜しい。そのあたりをいかに改善できるかが本シリーズの今後の課題となろう。

タクシー」(★★)は、ドライブレコーダーに記録された怪異。映像のクォリティーは高いので評価したいが、それが必ずしも恐怖をあおる結果になっていない。理屈めいているのが一因だろうか。

シルエット」(★)は、なんの変哲もない街角で起こった異変をとらえる。なにが映っているのか初見でわかりづらいのが惜しい。リプレイで観直すと、そこそこ怖い映像なのだが。

シリーズ監視カメラ 老人」(★★)は、とある一軒家に仕掛けられたカメラが不可解な現象をとらえる。現象そのものはたいしたことないが、映像の撮られた経緯が不明で、そこはかとなく不気味さが漂う。

停電」(★★★)は、誕生日祝いの様子を撮影していると、恐るべき存在が現われる。本作は異形の造形が秀逸。ただ、リプレイで静止画にするとその神通力が失われてしまう。過去作のパート54「私は誰」にも味わいが似ている

かくれんぼ」(★★★)は、法事で親族が集まったときに撮影されたもの。かくれんぼをする子どもたちを撮っていると、奇妙な出来事に遭遇する。とても珍しい現象で興味深い。撮影者の肉眼ではどう見えていたのだろう? そのあたりをうまくごまかしていると思うが、エンターテインメント作品としてはよくできている。

『ほんとにあった!呪いのビデオ72』

  • 「ベランダ」★★
  • 「伝説の自主映画」★
  • 「曲がり角」★★★
  • 「おくりもの 前編」★★
  • 「存在しない友達」★★★
  • 「シリーズ監視カメラ 野菜泥棒」★★
  • 「続 おくりもの 前編」★★

[演出:福田陽平・寺内康太郎/構成:佐上佳嗣・寺内康太郎・福田陽平・西貴人/ナレーション:中村義洋/2017年6月2日発売]

長編の「おくりもの」(★★)は、ホームパーティで起こった怪異をとらえる。現場の緊迫した雰囲気も良く、長い取材モノの滑り出しとしては悪くない。ただ、怪奇現象の合成が粗いところがあるのが惜しい。「カメラを向けたときにうまいタイミングで」というのも気になるが、これは許容範囲か。

ベランダ」(★★)は、ベランダで野鳥を観察するために撮影した映像。ふつうでは考えられない現象が起こる。あえてあら探しをするなら、〈異形像微動〉と静止画の問題があるうえ、ややカメラワークも不自然なのが気になる。

伝説の自主映画」(★)は、20年ほど前に撮影された自主制作のホラー映画。不自然な〈顔〉が映りこんでいる。投稿者の言うように錯覚に思える。妙な後日談が語られるので、作品の本題はそっちなのだろう。

曲がり角」(★★★)は、ウェアラブルカメラを装着して自転車で走りながら撮影した映像。この世の存在とは思えないモノに遭遇する。なかなか斬新な現象。異形の造形も不気味に仕上がっている。

存在しない友達」(★★★)は、廃ホテルを探索しながら撮影したもの。きわめて珍しい現象が起こる。現われるモノに実在感があり、実際は心霊現象でない可能性もあるが、不可解な存在であることには変わりない。

シリーズ監視カメラ 野菜泥棒」(★★)は、ビニールハウスで起こった不可解な現象をとらえる。現われる異形の造形が怖い仕上がりで良い。

『ほんとにあった!呪いのビデオ73』

  • 「サプライズ」★★★
  • 「夏合宿」★★★
  • 「民宿」★★★
  • 「おくりもの 中編」★★
  • 「花火の上」★★★★
  • 「シリーズ監視カメラ 復元」★★
  • 「続・おくりもの 中編」★★

[演出:福田陽平・寺内康太郎/構成:佐上佳嗣・寺内康太郎・福田陽平・西貴人/ナレーション:中村義洋/2017年7月5日発売]

前パートから続く長編「おくりもの」(★★)は、話が異様な方向に広がっていく。映像は前回とおなじパターンなので衝撃はないが、シチュエーションは不気味。登場人物が包丁を持ち出したりするのは怖いが、やはり前回とおなじ展開なので、やや恐怖度は薄れる。

また、『監死カメラ』シリーズでおなじみのKATOR(カトール)氏が登場するのも見どころになるだろう。

サプライズ」(★★★)は、投稿者が妻と娘に誕生日のサプライズパーティーをしてもらっている様子をおさめたもの。浴室に不可解な人物の影がある。オーソドックスな現象ではあるが、異形の造形が不気味な点を評価したい。

夏合宿」(★★★)は、部活の合宿がおこなわれた部屋でとらえられた怪奇現象。〈出現域制御〉の問題はあるものの、本作も異形の造形に注目したい。

民宿」(★★★)は、旅行で泊まった旅館で撮影されたもの。異様な映像が紛れこんでいる。現われるモノよりも、そこにまつわるエピソードのほうが興味をそそられる。ただ、理屈めいているので、恐怖度が下がってしまっているのが痛いところ。


花火の上」(★★★★)は、花火大会の様子をドローンにつけたカメラで撮影していると、とんでもないことが起こる。非常に珍しい現象。いったいどんな目的があってこんなことをしたのか想像がつかない。あえていちゃもんをつければ、〈手〉に不自然な光があたっているのは、やや詰めの甘さも感じる。

シリーズ監視カメラ 復元」(★★)は、火災現場となったビルに取りつけられた監視カメラがとらえたもの。これも珍しい現象。いろいろが語られるので腑に落ちるものの、逆に恐怖度は下がってしまう。

本題とはずれるが、ふつうのオフィスにもこうした監視カメラがついているものだろうか。

『ほんとにあった!呪いのビデオ74』

  • 「山道」★
  • 「積載車」★★
  • 「ドッキリ」★★
  • 「おくりもの 後編」★★
  • 「シリーズ監視カメラ 二階の和室」★★★
  • 「カメラ機能」★★
  • 「続・おくりもの 後編」★★★

[演出:福田陽平・寺内康太郎/構成:佐上佳嗣・寺内康太郎・福田陽平・西貴人/ナレーション:中村義洋/2017年8月2日発売]

おくりもの」(★★★)がこのパートで完結。3巻をとおしてロジカルに要素を積みあげているため、作品の完成度は高い。これまでの長編と同様、煮えきらない終わりかたをするが、すべてが丸くおさまるよりはリアリティーがあるだろう。ただ、ここまでロジカルに攻めてきたのなら、もう少し真相に踏みこんでも良かった気がする。もしかすると、続編を予定しているのかもしれない。

このパートは、全体的に“心霊現象”の仕上がりが綺麗でクォリティーは高い。しかし、やはり必ずしも恐怖を呼びおこしていないのが惜しいところだ。こちらの目が肥えてしまっているのも理由ではあるが……。

山道」(★)は、マウンテンバイクで山道を走行する様子を、ヘルメットに取りつれた小型カメラで撮影したもの。パート72「曲がり角」とシチュエーションが似ている。異形の動きはパート65「サバイバルゲーム」を思いおこさせる。

映像としてはとても良くできていて、仕上がりが丁寧。しかし、それが必ずしも怖さへとつながっていない。投稿者が恐怖におののいているのだから、異形には実在感が欲しかった。

積載車」(★★)は、車に搭載されたカメラが運転手である投稿者の姿をとらえる。突然、奇怪な存在が現われるが、意表を突くタイミングで驚かされる。異形の造形も不気味だ(強いていえば、パート68「洗車機」に現われたモノに似ている)。

しかし、ビックリはするのだが、恐怖を覚えるところまではいかない。もっとそれらしい“兆し”を仕込んでおくべきだったと思う。あとから、“伏線”のようなものは語られるが、後出しでは怖くない。

ドッキリ」(★★)は、バラエティ番組のドッキリ企画で、心霊現象をしかけて出演者を驚かそうとすると、ホンモノの異界の存在が現われてしまう。これまでありそうでなかったシチュエーションは面白い。

映像に映るのは、パート2「自主映画に映った男の影」に出現したモノにも似ている。あちらでは実態が不明だったが、本作では異界のモノの実態が垣間見える(ご丁寧に映像を加工して、わかりやすくしてくれる)。

シリーズ監視カメラ 二階の和室」(★★★)は、とある民家にしかけられた監視カメラの映像がインターネットに流失したもの。不可思議な存在が現われるが、そのカタチと動きが独特だ。この〈霊〉とおぼしき存在のインパクトはそれほどでもないが、後日談にひねりが加えられ、あじわい深いものになっている。

カメラ機能」(★★)は、スマートフォンの「ライブカメラ」という機能を使って撮影された映像。写真を撮ると、その前後15秒間の動画が記録される。そこに奇妙なものが映りんでいた。

往年の心霊写真ブームの際に「危険」と言われたタイプの写真が撮影されてしまう。心霊写真ブームのオマージュと見ることもでき、懐かしい味わいだ。

じつは〈刹那像〉でもあり、本来ならニセモノっぽさが漂うところだが、新しい機能で撮影されていることを考えれば、不自然さは感じない。

『ほんとにあった!呪いのビデオ75』

  • 「下見」★★
  • 「かいぼり」★
  • 「母の願い 前編」★★★
  • 「無人駅」★★
  • 「GPS機能」★★★
  • 「シリーズ監視カメラ 厠」★★
  • 「母の願い 後編」★★★★

[演出:福田陽平・寺内康太郎/構成:佐上佳嗣・寺内康太郎・福田陽平・西貴人/ナレーション:中村義洋/2018年1月4日発売]

パート75のメインコンテンツは前後編に分かれた「母の願い」(★★★★)。収録時間はこの巻のおよそ半分を占め、“夏の三部作”の長編並のボリュームを誇る。投稿映像には、それほど恐ろしい怪異は記録されていないのだが、調査によって明るみに出る真実が、心霊系ビデオであまりお目にかかれないモチーフを題材としており、とても興味をそそられる。設定の奇抜さだけでなく、「前編」から「後編」にかけてストーリーを盛りあげていく手腕はじつに手慣れたもの。最終的にきちんと恐怖へ落としこんでいるのは、本シリーズの面目躍如といった印象だ。

下見」(★★)は、キャンプ場の下見に行った際に撮られた映像。はっきりと異界のモノが映し出されている。怪異のがナレーションで語られるが、観る側の予想を上回るものではないため、あえて語らないほうが想像させる余地があるぶん恐怖度は高まったかもしれない。

かいぼり」(★)は、池の水を抜く行事をとらえたもの。〈霊〉とおぼしきモノが映っているとされるが、初見やリプレイでは「おわかりいただけ」なかった。静止画にしてはじめてわかるのだが、背景に溶けこんでしまっているので、見つけにくいのも当然か。

無人駅」(★★)は、ずばりこの作品の二番煎じというかセルフオマージュの趣(リンク先は観賞後にご覧ください)。ずいぶんと技術が進歩したのだなと感慨深くもあるが、インパクトは過去作のほうが上だ。表現力はアップしているが、それが必ずしも恐怖につながらないことの好例となってしまっている。

GPS機能」(★★★)は、最近話題になった某ゲームアプリをモチーフにしたもの。“あの世ならざるモノ”はこんな最新の技術にも対応しているらしい(じつは、アプリと心霊現象は無関係かもしれないが)。それほど恐ろしい現象とはいえないものの、〈出現域制御〉のように見えて、じつはそうでない点を評価したい。

シリーズ監視カメラ 厠」(★★)は、いたずらが頻発する公衆トイレにしかけられた監視カメラの映像。出現する異界のモノが地味……と思ったのだが、よく見るとなかなか不気味だった。

『ほんとにあった!呪いのビデオ76』レビュー準備中

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『ほんとにあった!呪いのビデオ Special』

  • 「続・作業服の男」★
  • 「ストーカー」★
  • 「続・父を呼ぶ声」★
  • 「続・白い着物の女」★
  • 「続・タイムカプセル」★★
  • 「ニュース映像の怪」★★★

[構成:中村義洋・鈴木謙一/2000年8月22日発売]

本編とはやや趣を異にするスペシャル版。全体的に映像そのものはたいしたことがない。心霊現象に期待すると肩透かしを食らう。作品の主眼は「生きた人間の怖さ」を描くことに置かれており、そのつもり鑑賞すべきだろう。

続・作業服の男」(★)は、パート2で紹介された「作業服の男」の後日談。怪異の背景がわかっていく様子がミステリーを見ているようで楽しいが、一方で元の映像の持つ神通力が失われてしまっている気もする。

ストーカー」(★)は、ストーカーに悩まされていた投稿者が証拠集めのために撮影した映像。設定は面白いが、実際に映像に現われるモノはたいしたことがない。

続・父を呼ぶ声」(★)は、パート5に収録されている「校庭」の後日談。本作も設定が凝っており、このパートのメインとなる。

続・白い着物の女」(★)は、パート1の「白い着物の女」の続編。くだんの〈霊〉が映りこんでいるらしいのだが、そのようには見えない。

続・タイムカプセル」(★★)は、パート5「タイムカプセル」の続編。問題の映像で怪異の起こった女の子を追う。意外なほうに話が展開し、「人間の怖さ」に焦点があたる。心霊の怖さはないが、こんなアプローチもたまには良かろう。

ニュース映像の怪」(★★★)は、ニュースの映像に映りこんだ怪異を紹介するが、まったくリアリティがない。ただ、これは本題ではなく、そこから続く取材がメインとなる。霊媒師の存在がうまい具合に現場をかき回し、雰囲気を盛りあげる。なかなかの力作と評価したい。

『ほんとにあった!呪いのビデオ Special 2』

  • 「祭り」★
  • 「雨道」★
  • 「ゲーム」★
  • 「廃墟」★
  • 「祭己(チェサ)」★
  • 「万博」★
  • 「合宿」★
  • 「道路」★
  • 「白い足」★
  • 「結婚式」★
  • 「オルガン」★
  • 「滝-白い影」★

[演出:松江哲明/構成:松江哲明/ナレーション:中村義洋/2001年12月21日発売]

このパートで紹介される心霊現象は、ナレーションで説明されるようには見えないものがほとんど。現在とは心霊現象に対する価値観(どういう心霊現象が怖くて面白いか)が異なるので、リリース時期を考えれば、やむをえないかもしれない。

祭り」(★)は、阿波踊りの様子をおさめた映像。やはりナレーションで言うモノには見えない。

雨道」(★)は、空にかかる虹を撮ったもの。典型的な合成で、しかも仕上がりが粗い。

ゲーム」(★)は、テレビゲームで遊んでいるときに奇怪な存在が現われる。〈それ〉はブレており、〈異形像微動〉の問題がある。

廃墟」(★)は、廃墟を探索しているときにとらえられた怪異。なにかが映っていることはたしかだが、これもナレーションの説明するモノには見えない。

祭己(チェサ)」(★)は、韓国の儀式「チェサ」を行なう様子を撮影したもの。奇妙な声が聞こえたとのことだが、それが「奇妙」であることを裏づけるのは投稿者の証言しかない。つまり、理屈で説明のつく現象だったのではないか。

万博」(★)は、万博の様子を8ミリフィルムで撮影したもの。不可解な〈影〉が現われるが、とってつけたような感じ。いかにも合成っぽい。

合宿」(★)は、運動部が合宿で泊まっていた部屋にあの世のモノらしき存在が現われる。なにかしら映ってはいるが、特別なモノには思えない。

道路」(★)は、交通違反の取締用のカメラがとらえた怪異。このような映像をチェックしつづけていたというのは解せない。なにか理由があったのだろうか? これを〈人影〉と言いはるのは、それこそ奇妙だ。

本題からはずれるが、投稿者の名前にモザイクがかかっているのはなぜなのか。仮名にすればいいだけの話。現にこの後の投稿者は仮名になっている。

白い足」(★)は、子どもが日本人形で遊ぶ様子を撮影したもの。その背後で怪現象が起こる。現われるモノは、過去作(パート2「踏切に現われた足」)とおなじ素材を使いまわしているようにも思える。

結婚式」(★)は、結婚式で発せられた不気味な〈声〉を記録する。〈声〉はあまりに自然で、ほんとうにその場にいただれかのものかも。

オルガン」(★)は、オルガンの練習をしていると、奇妙な〈顔〉が現われる。オーソドックスな出現のしかたがかえって新鮮。〈出現域制御〉の問題はあるが。

滝-白い影」(★)は、滝に不可解な〈女〉が現われる。投稿者の女性が素人っぽくない(美人)のが気になる。異形はとってつけたような感じ。

余談だが、この作品の〈霊〉が現われる場面で、DVDの映像が止まってしまった。なにか関係あるのだろうか。“除霊”*1をしたら改善はしたが。

*1:除霊=DVDの盤面を拭くこと。

『ほんとにあった!呪いのビデオ Special 3』

『ほんとにあった!呪いのビデオ』中古ビデオ

「中古ビデオ」©2002 NSW/パル企画

  • 「首都高の霊」★
  • 「巨大団地」★
  • 「最後の一人」★
  • 「人影」★
  • 「漂流する霊」★
  • 「霊公園」★★
  • 「区画整理」★
  • 「コンビニの噂」★
  • 「子供の声」★★
  • 「中古ビデオ」★★★★
  • 「続・巨大団地」★

[演出:近藤太・坂本一雪/構成:近藤太・坂本一雪/ナレーション:朝コータロー/2002年11月22日発売]

このパートにおさめられている心霊映像は全体的に地味。とくにメインのあつかいの「巨大団地」(★)が弱い。それだけに「中古ビデオ」(★★★★)の存在感が圧倒的だ。

首都高の霊」(★)は、首都高から夜景を撮った映像に不可解なモノが映りこむ。ふつうに観ていると気づかないので、どうやって発見したのか気になる。

巨大団地」(★)は、自殺が絶えない団地に女の子2人組がカメラを持って忍びこむ。ここでは投稿者へのインタビューが中心で、投稿映像は紹介されない。

続・巨大団地」(★)で投稿映像が紹介されるが、そこに現われるモノは合成っぽさがあふれる。本作のメインは、スタッフと投稿者が団地を歩きまわるシーンだと思うが、これも特筆すべきことがない。

最後の一人」(★)は、演劇の公演を記録したもの。やはり、とってつけたような〈霊〉が出現。演劇の演出のようにも思える。

人影」(★)は、何者かがいたずらをするというのでしかけられた監視カメラの映像。あとから合成したような異形が現われる。いわくありげな鏡が登場するが、これについてはなにも追求されない。

漂流する霊」(★)は、河川に設置された監視カメラが、川面に浮かぶ〈人影〉らしきモノをとらえたらしいが、〈人影〉には見えない。

霊公園」(★★)は、公園で子どもが遊ぶ様子を撮影していると、奇妙な〈手首〉が現われる。一瞬の現象なので初見ではわからなかったが、静止するとたしかにそう見える。エピソードにひとひねり加えてあるのがいい。

区画整理」(★)は、廃屋が建ちならぶ場所でビデオの試し撮りをした映像。異形が現われたとの触れこみだが、輪郭線を描かなければわからないのは、ホンモノとは言えまい。

コンビニの噂」(★)は、深夜のコンビニに女の〈霊〉とおぼしき存在が現われる。たしかに人影のようには見えるが、あまりに平面的で現実味がない。

子供の声」(★★)は、デートを楽しむカップルが映った映像。不可解な声が聞こえるが、これがなかなか不気味だ。はっきりとした声なので、まわりのだれかが発した可能性も。

中古ビデオ」(★★★★)は、フリーマーケットで買ったビデオカメラのなかに残されていた映像。けっこう不気味に仕上がっていて、良作といえる。ただ、異形はいかにも写真を加工した感じで、ニセモノっぽさも漂う。

『ほんとにあった!呪いのビデオ Special 4』

  • 「夜の海」★
  • 「尾行」★
  • 「屋根裏」★
  • 「コンビニ」★
  • 「ヒッチハイク」★★
  • 「駐車場」★
  • 「無名の投稿」★
  • 「謎の女」★★★
  • 「オフィス」★
  • 「消えた友人」★

[演出:坂本一雪/構成:坂本一雪/ナレーション:中村義洋/2003年8月22日発売]

全体的に心霊現象が地味な印象。時代を考えると「こんなものか」という想いはあるが、「ヒッチハイク」(★★)「謎の女」(★★★)あたりは力が入っており見ごたえがある。

夜の海」(★)は、深夜の海岸でカップルが遭遇した怪異をとらえる。映っているモノが非常にわかりにくい。光があたっているのではなく、みずから光っているように見えるのも不自然さを感じる。

尾行」(★)は、興信所に勤める投稿者が、ある女性を尾行しながら撮影したもの。心霊現象の類いが起こっているようには見えないのだが……。ただの光の加減ではないか。

屋根裏」(★)は、天井から不審な音が聞こえるため屋根裏を調べると、そこから不審なビデオテープが発見される。エピソードの背景には不気味なものを感じるが、テープに残された映像はいかにも合成でインパクトに欠ける。

コンビニ」(★)は、コンビニの床に女性の顔が映っているという。なぜ床に出なければいけないのかが不可解(もっとふつうに現われてもいいのでは?)。

ヒッチハイク」(★★)は、卒業旅行をしていた投稿者が遭遇した怪異。本題の心霊現象はしょぼいが、エピソード全体では“生きている人間の怖さ”を描いているようで悪くない。

駐車場」(★)は、深夜の駐車場にありえないものが映っているという。そう言われなければ気づかないし、ほんとうに〈霊〉だろうか。これも光と影による錯覚にすぎない気がする。

無名の投稿」(★)は、投稿者が日記代わりに撮影した映像。〈霊〉とおぼしき影が現われるが、うっすらとしすぎてわかりづらい。

謎の女」(★★★)は、交通事故の現場を野次馬がてら撮影したあとに遭遇した現象。〈霊〉らしきモノに実在感があってよい。撮影者がその場で気づかないのは解せないが。

オフィス」(★)は、オフィスを映した監視カメラの映像に不気味なモノが現われる。動きかたやサイズが不自然で、いかにも合成っぽい。

消えた友人」(★)は、パート11「ランドセルの少女」の続編。〈少女の霊〉らしきモノが映りこむ。電球が灯ったり消えたりするように霊が現われたり消えたりするのは、人工的すぎてホンモノらしさに欠ける。

『ほんとにあった!呪いのビデオ Special 5』

『ほんとにあった!呪いのビデオ』疾走!

「疾走!」©2004 NSW/パル企画

  • 「寂れた公園」★
  • 「呪いのビデオ12より」★
  • 「シリーズ監視カメラ No.1 人体欠損」★
  • 「疾走!」★★★★
  • 「淫霊」★
  • 「シリーズ監視カメラ No.2 ATM」★
  • 「2003090909」★
  • 「サービスエリア」★
  • 「井戸」★★★★
  • 「携帯電話・デジタルカメラ」★
  • 「シリーズ監視カメラ No.3 夜間の道路」★
  • 「日本人形」★★
  • 「その後」★

[演出:坂本一雪/構成:坂本一雪・勝屋敷隆志/ナレーション:中村義洋/2004年7月2日発売]

このパートのはくは「疾走!」(★★★★)と「井戸」(★★★★)。まさに「Special」の名にふさわしい傑作で、当然「最恐映像42選」にも選出している。とくに、ほかがしょぼいだけに、この2作の出来栄えが際立つ。

寂れた公園」(★)は、実家の近くにある寂れた公園を映像におさめたもの。公園の雰囲気が良い。異界のモノも現われるが、かなり地味。ホンモノの霊はこういうものかもしれないと思えば、情緒があるといえる。

呪いのビデオ12より」(★)は、パート12「謎の廃墟」の舞台となった廃墟の映像が別の投稿者から寄せられる。異形が映っているとのことだが、光の加減でそう見えるだけのような気がする。スタッフが現地におもむいた際、廃墟の様子を長々と映しつづけるが、不気味な雰囲気が漂っているのが良い。

監視カメラ No.1 人体欠損」(★)は、街中に設置された監視カメラがとらえたもの。地味ながらそれなりにインパクトのあるモノが現われるが、いかんせん古臭い手法だと思う。

淫霊」(★)は、投稿者の知人の女性にいたずらする〈霊〉がテーマ。奇怪な現象の根拠は女性の証言しかなく、いまいち盛りあがりに欠ける。取材部分で面白がせる狙いなのだろう。

監視カメラ No.2 ATM」(★)は、ATMの防犯カメラがとらえた怪異……というのだが、なにが映っているのかまったくわからない。

2003090909」(★)は、『Special 3』の「中古ビデオ」を観た視聴者に異変が起こるというもの。この「中古ビデオ」の映像が怖いだけで、本作のエピソードは特筆すべきことがない。

サービスエリア」(★)は、サービスエリアで起こった怪異をとらえる。問題のモノがどこに映っているかまったくわからない。ノイズのなかに現われるらしいが、だとすると〈それ〉もノイズなのでは?

携帯電話・デジタルカメラ」(★)では3作が紹介されるが、初見ではまったくわからず、いずれも光の加減のようにしか見えない。

シリーズ監視カメラ No.3 夜間の道路」(★)は、それらしいモノは映っているが、いかんせん粗い映像なので、ノイズかなにかのようにも思える。

日本人形」(★)は、町工場の倉庫から見つかった8ミリフィルムの映像。古い日本人形が映っている。ただ不気味なだけという気もするが、映像に漂う雰囲気は悪くない。

その後」(★)は、蛇足のような作品。

『ほんとにあった!呪いのビデオ ver.X』

  • 「見えない霊」★
  • 「人身事故」★
  • 「消えた腕」★
  • 「偽ビデオ」★
  • 「車」★
  • 「8ミリフィルム」★
  • 「うめき声」★
  • 「砂嵐」★

[構成:九重勇次朗/ナレーション:宮川宏司/2001年5月25日発売]

「ver:X」という名が付され、本編とも「Special」とも方向性の異なるシリーズ。スタッフも本編とは別だ。特筆すべき作品はなく、積極的に視聴する必要もない感じだ。設定にこだわりを見せる作品もあるが、全体的に心霊現象は小粒。

見えない霊」(★)は、パート2「窓の外を落下する光」を観た視聴者が、映像で取りあげられているモノとは別の怪異が映っていると主張する。きわめて珍しいパターンの展開。霊能力者・中田氏がここでは意外にまともなことを言っている。

人身事故」(★)は、電車とホームのすき間に異界のモノが現われる。合成があまりにも粗すぎる。なぜそこを映しているのか、カメラワークにも疑問が残る。

消えた腕」(★)は、公園で遊ぶ子どもに異変が起こる。ナレーションの言うようには見えず、特別な現象に思えないのだが……。

偽ビデオ」(★)は、不気味な声が入っているというビデオ。途中に意外な展開があり、そこは面白いが、後半はグダグダ。〈声〉ももう少し工夫の余地があったように思う。

」(★)は、投稿者が帰省する際に車のなかで撮られた映像。その後、投稿者に不幸が訪れたというが、こじつけでは? 〈霊〉とおぼしきモノはたしかに映っているが、合成が粗い。

8ミリフィルム」(★)は、骨董屋で買った8ミリカメラに残っていたフィルムの映像。不可解なモノが映っているような気もするが、フィルムの二重映しの可能性はないだろうか?

うめき声」(★)は、眠っているはずの娘が不気味なうめき声をあげるというもの。映像の時間が短すぎて、ほんとうに娘のいびきなのか判断できない。

砂嵐」(★)は、放送終了後の砂嵐をたまたま録画してしまった投稿者の友人が、そこに「霊が見える」と言って失踪してしまう。本シリーズがあつかう案件ではないように思う。スタッフの取材もなんだか要領を得ないのも気になる。それぞれの事象の因果関係が不明で、登場人物も無駄に多すぎる。投稿映像に〈霊〉らしきモノも映るが、あきらかに後づけだ。

『ほんとにあった!呪いのビデオ ver.X:2』

  • 「続・砂嵐」★
  • 「喧嘩」★
  • 「双子」★
  • 「エレベーター」★
  • 「東京湾」★

[構成:九重勇次朗・湯河健太/ナレーション:高橋眞三樹/2001年7月27日発売]

全体的に、どこを楽しめばいいかわからない作品がそろってしまっている。それでもリリース当時は少しは怖かったのかもしれないが、いまとなってはスルーしてもよさげなパートだ。

続・砂嵐」(★)は、前作「砂嵐」の後日談。本作でも新たに心霊映像が紹介されるが、ただの白いモヤにしか見えない。

喧嘩」(★)は、結婚式の二次会のあとに起こったケンカの様子をおさめたもの。カメラが激しく揺れるなか、異形が映りこむが、カメラのブレと連動しない動きは不自然。つまり合成であることがバレバレだ。

双子」(★)は、双子のミュージシャンから投稿された映像。花見の会場で異様なモノが映ったという。静止画でも見せてくれるが、異形の姿があまりに薄いのでわかりづらい。画面の端であり、よく発見できたなというのが正直な感想だ。

エレベーター」(★)は、エレベーターに設置された監視カメラが異様な出来事をとらえる。〈なにか〉が現われるが、ナレーションで説明するようなモノには見えない。合理的に説明がつきそうである。ほかに怪現象が起こっているようなのだが、それをもっと調べるべきだったのでは?

東京湾」(★)は、東京湾で調査員をしているという人物から怪情報がもたらされる。スタッフが東京湾で潜水調査を試みるなど、取材に手間はかかっているが、結局どんな成果があがったのか、まったくわからない。プロデューサー氏の体に異変が起こるが、スキューバーに慣れていないだけだろう。

『ほんとにあった!呪いのビデオ ver.X:3』

  • 「登山」★
  • 「進学塾にて」★
  • 「雪の夜に」★
  • 「観覧車」★
  • 「電車の窓に」★
  • 「線路上の影」★
  • 「添付メール」★★
  • 「彼女の秘密」★
  • 「バレーボール」★
  • 「砂嵐・その後」★

[演出:白石晃士/ナレーション:宮川宏司/2002年7月26日発売]

このパートは、『カルト』や『コワすぎ!』シリーズなど、傑作ホラー映画を量産する白石晃士監督が手がけている。ただ、その本領はここでは発揮されておらず、凡作の域を出ていない。

登山」(★)は、山登りの途中で見つけた廃墟を探索しながら撮影した映像。不可解な「人影」が映ったとされるが、そのようには見えず、心霊現象のようにも思えない。

進学塾にて」(★)は、進学塾で行なわれた合格パーティの様子を映す。「霊」とおぼしきモノが現われるが、なぜこのように平面的なのかが謎。

雪の夜に」(★)は、大雪の降った東京の模様を撮影したもの。〈それ〉が現われた瞬間に映像が終わってしまうため、なにが映っているのか不明だ。リプレイで初めてわかる。

観覧車」(★)は、デートを楽しむ観覧車のなかに異界のモノが現われる。映りかたが不自然で、もう少し実際にゴンドラに乗っているような実在感があると良かったのだが。

電車の窓に」(★)は、早朝の電車内で起こった怪異をとらえる。スローモーションにして初めて心霊現象らしきモノがわかるが、ふつうに見ていてどうやってこれを発見したのは謎。

線路上の影」(★)は、線路に現われた異形をとらえるが、心霊現象ではなくただの光の加減ではなかろうか。

添付メール」(★★)は、投稿者に送られた差出人不明のメールに添付されていた映像。全編に漂う剣呑な雰囲気は評価したい。〈それ〉が現われる場所が意外だったが、素直に〈扉〉から出てきても良かったと思う(ただ、この不気味さは白石監督の『貞子vs伽椰子』で開花することになる)。

彼女の秘密」(★)は、傷害事件を起こした少女を映した映像。不可思議な〈光〉が映りこんでいるそうだが、ただの光にしか見えない。

バレーボール」(★)は、バレーボール大会を撮影した映像に不可解な現象が起こる。現象は人工的。よく発見できたなと感心するほど細かいシロモノ。

砂嵐・その後」(★)は、『ver.X』『ver.X:2』でも取りあげられた「砂嵐」の続編。展開はなかなか面白い。ただ、いかんせん砂嵐そのものはそれほど怖いものではないので、満足度は低い。

『ほんとにあった!呪いのビデオ ver.X:4』

  • 「差出人不明の投稿ビデオ」★★
  • 「ライブハウスに異形の物体が…」★
  • 「社内の宴会に謎の光球が…」★
  • 「野良猫の体に何ものかの顔が…」★
  • 「廃坑をさまよう霊」★
  • 「火事の煙の中に死神の顔が…」★
  • 「芝居の稽古の最中に…」★
  • 「お化け屋敷に本物の霊が…」★
  • 「砂嵐のTV画面から」★
  • 「8ミリフィルムに奇怪な目が!」★★
  • 「波間に現われた霊」★
  • 「結婚式に現われた怨霊」★
  • 「呪われた椅子」★

[演出:白石晃士/構成:近藤太/ナレーション:宮川宏司/2002年8月23日発売]

ver.X;3』と同様、特筆すべき作品もなく、やはり白石監督の真価は発揮されていない。一部の作品の小道具や設定には興味深いものもあるのだが……。

差出人不明の投稿ビデオ」(★★)は、9回観ると呪われるとされる映像。小道具がよくできていて、不気味というより一種のアートのような趣がある。巻末でこの映像が紹介されるが、小道具によってハードルが上がったぶん、怖くなくなってしまっている。出現するモノもいかにも合成だ。

ライブハウスに異形の物体が…」(★)は、ライブの様子を撮影した映像に奇妙なモノが映りこむ。そこにあったモノではなく、あとから合成した感じが強い。

社内の宴会に謎の光球が…」(★)は、会社の会議室で宴会が催されているところに、不可解な光が現われる。ノイズやなにかの反射として説明がつきそうなくらい微妙な存在感だ。

野良猫の体に何ものかの顔が…」(★)は、タイトルのとおり、猫のカラダに人の顔のようなモノが浮かぶ。本作もあとから付け足した(合成した)印象を受ける。

廃坑をさまよう霊」(★)は、女子大生が研究発表のために訪れた廃坑で奇妙な映像を撮影してしまう。本作もいかにも合成という感じ。

火事の煙の中に死神の顔が…」(★)は、偶然に撮影された火災の映像に奇怪なモノが記録される。煙のカタチが一瞬だけナレーションの言うように見えるのだが、ただの偶然としか思えない。合成だとすると、違和感なく仕上げたなと感心する。

芝居の稽古の最中に…」(★)は、芝居のリハーサル風景を撮影したもの。不可解な〈手〉が現われるが、ホンモノだとしたら、なぜほんの一瞬しか映らないのか疑問が残る。

お化け屋敷に本物の霊が…」(★)は、お化け屋敷で撮られた映像に不気味な顔が映っている。本作も付け足し感が強くニセモノっぽい。

砂嵐のTV画面から」(★)は、ダビングが繰りかえされたいわくつきの映像。砂嵐の映るテレビを長々と撮影しているのだが、意図がわからないだけに不気味だ。心霊現象らしきものも起こるが、これは合成っぽい。

8ミリフィルムに奇怪な目が!」(★★)は、1970年代の沖縄の様子を撮った映像に、奇怪なモノが映りこむ。これはなかなか不気味。8ミリフィルムであることを考えると、二重写しかもしれない。

波間に現われた霊」(★)は、サーフィンをする友人を撮影していると、波間に不可解なモノが現われる。ナレーションでは「顔」と言っているが、そのようには見えず、霊の類いと主張するのも無理がある。

結婚式に現われた怨霊」(★)は、結婚披露宴の様子を映した映像に奇妙な顔が出現する。あとから合成したような仕上がり。かりにホンモノだとして、なぜこんなふうに現われるのかが謎だ。

呪われた椅子」(★)は、若い夫婦が自分たちの子どもを撮っているときに遭遇した怪異。スタッフがその原因を探っていく。終盤、とある場所に行きつくが、そこの雰囲気が不気味で良い。

『ほんとにあった!呪いのビデオ リング編』

[演出:近藤太・坂本一雪/構成:近藤太・坂本一雪/ナレーション:中村義洋/2003年1月24日発売]

スタッフのもとに、おなじような内容の投稿が続々と届く。それらの映像を観た者はことごとく自殺を遂げているという。スタッフが謎の究明に乗り出す。

このパートは、全編が長編の取材モノになっている。

このパートのリリース時に初めて観たときは、とんでもない駄作を見せられたと閉口したが、いまあらためて観直すと、なかなか味のある仕上がりになっている。

心霊映像はそれほど怖いものではなく、お世辞にもクォリティーが高いとはいえない。ただ、途中でスタッフと投稿者のやりとりに焦点をあてた作品だとわかるので、頭をそこで切りかえると、そこそこ楽しめる。

『ほんとにあった!呪いのビデオ The Movie』

[演出:白石晃士/構成:白石晃士/ナレーション:中村義洋/2003年4月25日DVD発売]

パート2の巻末に収録されている「観ると呪われる映像」(具体的には「続・作業服の男」)を観た人物が路上で突然死する。その謎を探ろうと、スタッフが奮闘する。本作は全編がこの怪事件に関するスタッフによる取材や検証となっている。

何度か述べているが、問題の映像に映る〈男〉は、『Special』で素性があきらかになるが、これほどまで多くの人に災いをもたらすとは思えない。

本作では、「呪われた人」が何人か登場するわけだが、人によって災いの程度に差がある。これも不自然ではなかろうか。こじつけもかなり含まれていると思う。

終盤、とある映像が紹介されるが、これはなかなか不気味に仕上がっている。最近の作品に比べればインパクトは小さいが、本作が制作された時期を考えれば健闘しているほうだろう。おなじ白石監督による『ver.X:3』に収録された「添付メール」よりはクォリティーはアップしており、着実に腕を上げているのを感じる。

白石監督による『貞子vs伽椰子』にも、まさしく「呪いのビデオ」が登場するが、本作の映像もそれに通ずるものがある。ホラーファンとしてはチェックしておきたい一編だ。

『ほんとにあった!呪いのビデオ The Movie 2』

  • 「携帯電話」
  • 「首なし」
  • 「居酒屋」
  • 「事故」
  • 「腕」
  • 「続・事故」
  • 「続・携帯電話」

[演出:白石晃士/構成:白石晃士/ナレーション:中村義洋/2003年11月21日DVD発売]

本作で紹介される投稿映像は、いずれもたいした怪異ではなく、見間違いとも解釈できるものばかり。ただし、本作において投稿映像は本題ではなく、そのあとのスタッフによる取材であきらかになる怪異の背景こそが肝である。なかなか凝った構成になっており、映像よりそちらを楽しむべき作品といえる。

投稿映像は本題ではないが、いちおうそれぞれを簡単にレビューしておこう(ほかのパートと投稿映像の趣旨が異なるので、上記のリストに評価の★印は付していない)。

携帯電話」は、滝の前に人影のようなモノが映りこんだという。のちにスタッフも検証するが、「人影」に見えない。

首なし」は、首なし地蔵の上に顔とおぼしきものが浮かんでいるという。「苦悩の表情を浮かべて」とナレーションでは言うが、そのように見えず、そもそも「顔」だったのかどうか。フレームギリギリに現われるのも怪しい。

居酒屋」は、女性の姿とおぼしきものがふすまに映っている。あまりに薄いので、わかりづらく、どうやって見つけたのかが疑問。むしろそのほうがホンモノらしいともいえなくはないが。

事故」は、奇妙な声が入っている。これがこのパートのメイン。空耳のようにも聞こえるが、はっきりと聞こえないというのがポイントとなる。

」は、窓の外に白い腕が映っている。これも薄いのでわかりづらい。

続・事故」は、事故の遺族の家を訪ねた様子を隠し撮りした映像。奇妙な影が映っているが、ここはやはり本題ではないためか、あまりはっきりとクローズアップされない。

続・携帯電話」は、これ以降がメインの取材モノになる。街頭で問題の音声を聞いてもらうなどなかなか凝っている。白石監督の『ノロイ』『オカルト』などを思い出させる展開。

かなり曖昧な根拠をもとに投稿者の求めに応じて行動し、いちおうは解決したかのように見えるが、これで良かったのか、煮えきらないものが残る。ただ、「もしかしたら解決していないかもしれない」というのを匂わせているのは、意図的なものであろう。

『ほんとにあった!呪いのビデオ 戦慄投稿BEST20』

  1. 「温泉旅館の夜」
  2. 「チャイムを鳴らすのは誰?」
  3. 「肝試し」
  4. 「廃墟映画館」
  5. 「フリーマーケット」
  6. 「大人には見えない」
  7. 「霊の通る道」
  8. 「街頭防犯カメラ」
  9. 「電車からの風景」
  10. 「航空イベント」
  11. 「添付された呪」
  12. 「御神輿の傍」
  13. 「留守番電話の怪」
  14. 「血塗られた人形」
  15. 「線路に飛び込むもの」
  16. 「幼稚園運動会の怪」
  17. 「盗撮コスプレイヤー」
  18. 「生霊の声が聞こえる」
  19. 「少年蹴球」
  20. 「砂嵐」

[演出:山本清史/構成:黒薔薇の貴婦人/ナレーション:中村義洋/2004年2月6日発売]

ほぼすべての作品において、初見はもちろん、リプレイしたり静止画にしたりしても、なにが映ってるのかわからない。

たんに「怖くない」「合成っぽい」というなら良いのだが、制作スタッフには失礼ながら、どこか心霊映像を小馬鹿にしたようなシニカルな創作姿勢が透けて見え、本シリーズのファンとしては不快感を覚える。

『ほんとにあった!呪いのビデオ』というタイトルが付けられてはいるが、まったく別ものと考えたほうがよさそうだ。

*大変恐縮ながら、評価の対象外とさせていただき、★印は省略しています。

温泉旅館の夜」は、枕投げをしていると不可解な存在が現われたのことだが、わからなかった。

チャイムを鳴らすのは誰?」は、イタズラ対策のために仕掛けたカメラに奇怪なモノが映りこんだそうだが、それらしいモノは見つけられない。

肝試し」は、サークルの恒例行事である肝試しの最中に怪奇現象が起こる。なにかが映っているのはたしかだが、ただの光の加減にしか見えない。

廃墟映画館」は、廃墟となった映画館のスクリーンに異様なモノが映ったとのことだが、やはり光の加減のようだ。

フリーマーケット」は、にぎわう人々の間に不可解な影が見えるそうだが、見つからない。

大人には見えない」は、少女がなにもない空間に向かって話しかけている。不可解な「声」が記録されているそうだが、聞こえなかった。

霊の通る道」は、ビルの監視カメラに謎の現象が映りこむ。心霊現象などではなく、合理的に説明がつけられそうだ。

街頭防犯カメラ」は、防犯カメラに奇妙なモノが映る。ホンモノなら不思議な現象といえるが、カメラの不具合にも思える。

電車からの風景」は、東京を観光している際に撮られた映像に不可解なモノが映ったらしいが、どれが〈それ〉なのかわからない。

航空イベント」は、飛行機に不可解な影があるらしいが、あとから合成したような仕上がり。

添付された呪」は、フリーメールから届いたメールに奇妙な画像が添付されていたという。これも不思議な現象といえるが、投稿者の話を100%信じていいものかどうか……。

御神輿の傍」は、神輿の様子をおさめた映像に不可解なモノが映りこむ。〈霊〉とおぼしき存在はカメラのブレに連動せずに動く(異形像微動)。

留守番電話の怪」 は、留守番電話に奇妙な声が入っているそうだが、空耳としか思えない。

血塗られた人形」は、投稿者の大切にしていた人形に異変が起こる。不気味な雰囲気が漂っている点は評価したいが、もう少しスタッフが踏みこんで検証しても良かったのでは?

線路に飛び込むもの」は、駅のホームに設置されたモニターに不可解なモノが映っているというが、わからない。

幼稚園運動会の怪」は、幼稚園の運動会で園児に奇妙な現象が起こっているのだが、かなりわかりづらい。

盗撮コスプレイヤー」は、コスプレのイベントで盗撮した映像に不可解なモノが映っているという。なにかが映っているのはたしかだが、合理的に説明できないシロモノかどうかは不明。

生霊の声が聞こえる」は、部屋でラップ音と奇妙な女の声が聞こえたという。ラップ音すら聞こえず、声はまったくの空耳としか思えない。

少年蹴球」は、サッカーの試合を記録した映像に奇妙な存在が映っている。不気味であるのはたしかだが、人為的なモノのように思える。

砂嵐」は、テレビの砂嵐に恐ろしい顔が浮かぶ。『戦慄投稿BEST20』のなかでかろうじて楽しめる作品といえる。ただ、それは作りものだからだろう。

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ニセモノっぽさが漂う6つの心霊現象パターン

「この心霊映像はホンモノなのか? それともニセモノ?」。本シリーズを観る者が、作品を鑑賞しながら、つねに気になる疑問だろう。

「本シリーズはすべて作りもの」と考える当ブログにとっては、心霊映像が真実かどうかよりも、「ホンモノらしさ」「もっともらしさ」のほうが重要だ。たとえフェイクであっても、「ホンモノらしさ」があれば恐怖を感じるし楽しめるからだ。

だが、残念ながら、それぞれの作品のレビューでも述べたとおり、ほとんどの作品には「ニセモノっぽさ」が漂っている

なぜニセモノっぽく見えるのか。ここでは、その原因を検討し、いくつかのパターンに分類してみた。

ただし、注意してほしいのは、これから述べる特徴を持つ作品が必ずしも駄作というわけではない点だ。「最恐映像42選」にラインナップされている良作・傑作のなかにも、これらのパターンにあてはまるものがいくつもある。その作品から得られる恐怖が「ニセモノっぽさ」を上回っているなら、評価に値するのだ。

「この作品はなんかイマイチだな」と感じたとき、その理由を追求すると、これらのパターンにあてはまる場合が多いというわけだ。

そんなふうに作品鑑賞の参考にしてもらえれば幸いだ。

現われることがわかっていた!?〈出現域制御〉

心霊映像のなかには、〈霊〉とおぼしき存在の現われる場所がさりげなく〈制御〉されているものがある。

たとえば、カメラの前に被写体の人物がおり、その人物が動くと背後に〈霊〉が立っている、といったケース。〈霊〉の出現する場所が最初から、あるいは現われる直前に人やもので隠されており、その人やものが動き出現場所が露わになると、そこに〈霊〉が現われる。そんなパターンの映像も多いのだ。

このパターンのバリエーションとして、被写体ではなくカメラのほうが動く場合もある。カメラが動くことで隠されていた出現場所が見えるようになり、そこに〈霊〉が現われるのだ。

このパターンの映像は、漫然と観ていると、とくにニセモノっぽさは感じないかもしれない。だが、自分が心霊現象の起こっている現場に居合わせた場合を想像してほしい。

〈霊〉の出現場所が人やもので隠れていたとしても、それはあくまでカメラを通して見た場合だ。カメラから離れた場所にいる人から見れば、〈霊〉の出現場所は隠れていない。もしその人が〈霊〉の姿を見られる“霊感”を持っていたら、〈霊〉は映像とは異なるふるまいをするはずだ。

人の背後に立っているとおぼしい〈霊〉が、その人がわずかに動いた隙にカメラにとらえられる。そんな映像を実現するためには、〈霊〉がカメラのフレームを十分に理解したうえで、数センチ単位でカラダを動かす必要があるる。そんな繊細なふるまいは、長年トレーニングを重ねたベテランの俳優でもなければ無理な芸当だろう

〈霊〉と呼ばれる存在にそんな真似ができるのか。いや、そもそもなぜそんな手のこんだことをしなければならないのか。

心霊映像としての見栄え。それ以外の理由が思いうかばない。

だから、〈霊〉の出現場所が制御される映像はニセモノが疑われるのである。

 icon-arrow-down カメラから見た場合、〈霊〉がどのように出現するか見てみよう。まず、被写体となる人が映っているが、〈霊〉はまだ現われていない。

出現域制御A

 icon-arrow-down 人が動き、〈霊〉の出現する予定の場所(出現域)が見えなくなる。

出現域制御B

 icon-arrow-down さらに人が動くと、そこに〈霊〉が現われる。

出現域制御C

 icon-arrow-down 再び人が動き、〈霊〉の姿が見えなくなる。

出現域制御B

 icon-arrow-down さらに人が動いて〈霊〉のいた場所が見えるようになるが、その姿は消えている。

出現域制御A

 icon-arrow-down では、〈霊〉としては、以上のような映像を実現するために。どう行動すればいいだろう? この点を考察してみよう。まず、人の動きを確認しながら、みずからの出現する場所を見極める。

出現域制御H

 icon-arrow-down みずからが出現する場所が人によって隠されていることを確認したら、出現の準備を開始。

出現域制御G2

 icon-arrow-down 引きつづき人の動きに注意しながら、慎重に姿を現わす。位置とタイミングがわずかでもズレれば、カメラに映ってしまうので、細心の注意を払う必要がある。

出現域制御I

 icon-arrow-down 人が動き、自分の姿がカメラに映る。この段階でも気は抜かず、今度は消える準備を整える。

出現域制御J

 icon-arrow-down さらに人が動き、自分の姿がカメラから見えなくなったら、消える行動を開始する。出現した際と同様に、位置とタイミングの確認に全力を尽くす。

出現域制御I

 icon-arrow-down 〈出現域〉が隠されている間に、姿を消す。早すぎても遅すぎても、すべてが水泡と化す。

出現域制御G2

 icon-arrow-down 人が動き、カメラでもみずからの姿が消えたことが確認できれば、ひと安心。これで“心霊映像”が完成する。

出現域制御H

 icon-link 【心霊・ネタバレ注意】リンク先で〈出現域制御〉の実例を解説

合成だからそうなる!?〈異形像微動〉

心霊映像において、〈霊〉とおぼしき存在をよく見ると、小刻みに動いていることがある。撮影時にカメラが大きく揺れた(ブレた)映像に、そんな“微動する霊”が現われることが多い。

ふつうカメラが揺れると、画面では被写体が動いて見える。もし、その場に〈霊〉の類が居合わせたとしたら、(被写体とおなじように)カメラのブレに合わせて動くはずだ。

ところが、実際は“微動する霊”はカメラのブレに合わせて動くわけではない。〈霊〉はカメラのブレとは関係なく微動しているのだ。

ホンモノの〈霊〉は、じつは微動している——とでも言うのだろうか?

“微動する霊”が出現するのは、おもにシリーズ初期の作品だ。最近の〈霊〉はほぼ微動していない。これは「初期の〈霊〉はホンモノで、最近のはニセモノ(だから微動していない)」と考えるべきか。それとも……。

次のように考えるほうが合理的では?

なぜ〈霊〉はそんな奇妙な動きをするのか。その〈霊〉は映像の撮影された場所にいたのではなく、あとから合成されたから——そんな邪推が成りたつ。

実際は映像に〈霊〉など映っていないのに、あたかも〈霊〉が出現したように見せるには、人物の背後に〈霊〉を合成しなければならない。そして、カメラが大きく動いているのなら、カメラの動きに合わせて〈霊〉も位置を変えながら合成していく必要がある。

シリーズ初期は、おそらく手作業で〈霊〉を合成していたはずだ。しかし、カメラのブレと〈霊〉の動きを完全に一致させるのは至難のワザだ。ほんのわずかにズレただけで、完成した映像ではズレの連続が〈微動〉として表現されてしまう。

一方で、最近の画像編集・加工ソフトには、カメラのブレを追跡する機能がある。〈霊〉を微動させずに合成することができるのだ。

作品の作られた時期によって〈霊〉が微動したりしなかったりするのは、合成技術の発達の度合いによるため。そう考えられる。

いずれにしても、〈霊〉は合成されたと考えるべきなのだ。

 icon-arrow-down 人のうしろに〈霊〉が立っている映像があるとする。

異形像微動A

 icon-arrow-down カメラが動くと、映っている人の位置が変わる。本来ならば〈霊〉も人とおなじように位置が変わるはずである。

異形像微動B

 icon-arrow-down しかし、カメラが激しくブレたりすると、正確な位置に〈霊〉を合成できない場合がある。これを映像で見ると、わずかなズレが〈霊〉の微動として表現されてしまうのだ。

異形像微動C

 icon-link 【心霊・ネタバレ注意】リンク先で〈異形像微動〉の実例を解説

そこにはいなかった!?〈平面像密着〉

上の〈異形像微動〉とは対照的に、〈平面像密着〉はまったく動かない〈霊〉だ。

人物のうしろに〈霊〉とおぼしき存在が立っている。じっとしたまま微動だにしない。それどころか、〈霊〉には厚みがない。前の人物にぴったり張りついているように見える。

いくら〈霊〉があの世の存在で、まったく動かずに立っていたとしても、この世に現われ映像にとらえられたなら、わずかな揺らぎ、微妙な変化があるはずだ。三次元の世界に現われたのなら、まったく厚みがないのも不合理だ。

合成。またしても、この不合理さは「合成」でないと説明がつかない。

ホンモノの〈霊〉とは、この世ではまるで静止画のように見える——とでも言うのだろうか?

そんな強弁は、そろそろ苦しくなってくる。〈異形像微動〉の場合と同様に、近年の作品では、動き厚みも感じられ、実在感を持つ〈霊〉が現われる。これも合成技術の発達によるものだろう。

〈霊〉の性質が技術に左右される理由はないはずだ、もしホンモノならば。

〈平面像密着〉の心霊現象はニセモノと疑われてもしかたがないのである。

 icon-arrow-down 〈霊〉が人の真うしろに立っているとする。

異形像微動A

 icon-arrow-down 下のように別のアングルからは〈霊〉の横が見られるはずである。

平面像密着

 icon-arrow-down ところが、実際の心霊映像では、まったくの厚みのない平面的な像が人のうしろに張りついているように見えるのだ。

平面像密着

 icon-link 【心霊・ネタバレ注意】リンク先で〈平面像密着〉の実例を解説

サイズがおかしい!?〈過剰規模像〉

壁一面に現われる不気味な顔。道路いっぱいに浮かぶ苦しげな表情……。〈過剰規模像〉は、ヒトのモノとは思えぬほど大きい〈霊〉の姿だ。

〈霊〉とは、死んだ者の魂の姿だというなら、その大きさは人間とほぼおなじであるはずだ。部屋の壁一面が顔だけで埋まるなど、どれだけ巨大な〈霊〉なのか。

ホンモノの〈霊〉は、みずからの大きさを自由に変えられる——とでも言うのだろうか?

もしそれが真実ならば、もっとさまざまなサイズの〈霊〉が映像に記録されてもいいはず。実際は、ほとんどの〈霊〉が人間とほぼおなじ大きさで現われる

かりにホンモノの〈霊〉が実在するとしたら、おそらく生きた人間とおなじ大きさだろう。極端にサイズが大きいモノはニセモノの可能性が高いわけだ。

 icon-arrow-down 人とくらべて、極端に大きさの異なる〈霊〉が出現する場合がある。

過剰規模像

 icon-link 【心霊・ネタバレ注意】リンク先で〈過剰規模像〉の実例を解説

どうやって見つけたの!?〈刹那像〉

花火が打ちあがり閃光のなかに見える異形。カメラのフラッシュが瞬いた瞬間に姿を現わすあの世のモノ。その姿は一瞬にして消えうせる。

〈刹那像〉は、一秒にも満たないほんのわずかな刹那にだけ映像に映し出された〈霊〉だ。本シリーズにしばしば登場するが、2つの点で理に合わない。

まず、なぜそんなわずかな間だけ映像に記録されたのか。それも花火やフラッシュが光った絶妙なタイミングを狙って……。

そもそも心霊現象はきわめて稀な出来事だ。だれもが日常的に目撃できる現象ではない。たまたま映像に記録される確率は、奇跡といっても過言ではないほど低いものだろう。ましてや、花火やフラッシュと同時に現われたとして、その瞬間にカメラが向けられている確率は、ほぼゼロといっていい。

そんなレアなケースが都合よく起こっては困るのだ。

2つめの不合理は、刹那的な〈霊〉の存在をどうやって発見したのか、ということだ。

作品では、〈霊〉の出現がスローモーションや静止画で紹介される。なるほど、そこに〈霊〉が現われることを知っていれば、映像を停止することで見つけられるだろう。あくまで「知っていれば」だ。

心霊スポットで心霊映像を撮ろうとしたのならともかく、撮影した映像に〈霊〉が映りこんでいるなど、ふつうは想定の範囲外。想像だにしない。

〈刹那像〉もやはり合成——。これがもっとも合理的な解釈ではなかろうか。

 icon-arrow-down 映像の1フレームにだけ記録された〈霊〉。これを偶然に発見するのはほぼ不可能である。

刹那像A

刹那像C

 icon-link 【心霊・ネタバレ注意】リンク先で〈刹那像〉の実例を解説

死んでいない!?〈非霊生者〉

〈非霊生者〉とは、〈霊〉らしさがなく、「生きている人間」のように見えるモノである。

ここで原点に立ちかえって考えてみる。

心霊映像に映りこむ〈霊〉の正体は何なのか? 死んだ者があの世に行ったあとの姿なのか、それとも人智を超えたモノノ怪の類か……。何万年かかろうと、答えの出せない疑問といえる。

では、次のような問いかけはどうか。「〈霊〉は少なくとも何ではないのか?」

これに回答するのは簡単だ。「〈霊〉は少なくとも生きている人間ではない」。映りこんだのが「生きている人間」なら、心霊現象とは言わないからだ。

しかし――。

本シリーズで紹介される心霊映像で、〈霊〉の類だと紹介されるもののなかには、正体が「生きている人間」ではないかと疑われるケースがある。

つまり「生きている人間」のふるまいを映像に合成し、不可解なモノとして紹介しているのではないか。そう邪推できる作品があるのだ。

では、〈霊〉の類と「生きている人間」はどう見分けるのか? そもそも〈霊〉の実態が不明なのだから、正確に見分けることなど不可能だ。

ただ、ホンモノの〈霊〉であれば、およそ「生きている人間」とは思えない感じを受けるのではないか。

「生きている人間」が〈霊〉を演じているような心霊映像には、ニセモノっぽさが漂っているわけだ。

 icon-arrow-down 生きている人間が〈霊〉を演じているように見える場合がある。

非霊生者

 icon-link 【心霊・ネタバレ注意】リンク先で〈非霊生者〉の実例を解説

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コメント

    • sandbag
    • 2018年 6月 17日

    いつもレビューを楽しませていただいております。
    53巻の「復讐」ですが、低い声で「オマエタチノセイデシンダ」「オマエタチノセイデシヌンダ」のような音声が繰り返し恨むように入っているように思えます。
    作品内でも特に言及されておらず、とても不思議です。
    虐められた子の客観的な姿勢で撮影されたという観点であれば、この音声も辻褄の合う内容です。
    確認いただければと思います。

    • いつもご覧いただきありがとうございます。

      ウロ覚えですが、私もそのような声を聴いたような記憶があります。ちなみに、心霊現象とおぼしきものが作品内で触れられないのは、本シリーズではよくあることです。

      今後ともよろしくお願いします。

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